トヨタも苦戦する「全固体電池」をフィンランドの小企業が実用化? 疑惑と期待が入り交じるドーナツ ラボの正体

世界的巨大メーカーが血眼になって開発を続ける全固体電池のブレイクスルーを、わずか70人の企業が達成したという。フィンランドのドーナツ ラボが主張するエネルギー密度409Wh/kg、5分で80%充電、希少鉱物不使用という「魔法のようなスペック」は事実なのか。情報の空白地帯で錯綜する真実と、自動車業界のパワーバランスをひっくり返す可能性を秘めた技術の全貌に迫る。


ドーナツ ラボ(Donut Lab)の全固体電池をめぐる騒ぎは続いている。そして、論争も続いている。本日、フィンランドとエストニアに拠点を置くこの企業は、フィンランドの国立技術研究センター(VTT)による同社のセルのエネルギー密度に関するテスト結果を発表した。その数値は1kgあたり409Whだ。これは平均的なリチウムイオンセルの約1.5倍に相当し、言い換えれば、同じ蓄電容量ならバッテリーの質量が3分の2で済むということになる。

さらに、以前彼らが主張していた「5分未満で0%から80%までの充電が可能」という言葉も思い出してほしい。もしこれらの主張通りに機能するのであれば、同じ航続距離でも現在のものよりはるかに軽く、かつ高速で充電できる電気自動車用バッテリーが手に入ることになる。

正確に言えば、この409Wh/kgという数値はセル(バッテリーの最小単位)レベルでの話だ。これは、例えばガジェットやドローンなど、この技術が最初に使われるであろう分野で得られる数値である。車に搭載する場合、セルを保護する構造材や、すべてのセルを繋ぐための銅線、そして液冷システムが必要になる。
しかし、この全固体電池は熱に対して非常に堅牢であると主張されている(これこそが全固体の大きな利点のひとつだ)。そのため、冷却システムは従来のリチウムイオン電池(ゲル状の電解質を使用するもの)よりも単純で軽くできる可能性がある。

ドーナツ ラボのCEO、マルコ レヒティマキはTopGear.comに対し、「我々はパック(複数のセルをまとめた車載用の最終形態)レベルで350Wh/kgを目標にしている」と語る。これが実現すれば、重量500kgのバッテリーで175kWhの容量を持つことになり、現在の市販車よりもはるかに優れた性能となる。

ドーナツ ラボは以前、摂氏80度でも性能の安定性を示すセルのテスト結果を公開している。別のテストでは、物理的な損傷を受けた後も(フル容量ではないにせよ)機能し続け、発火することもなかった。さらに、充放電中の膨張や収縮が他の全固体電池の設計ほど大きくないため、ドーナツ社は他の設計で必要となる重い物理的なクランプ(固定装置)は不要だと主張している。

堅牢性はどうだろうか? レヒティマキがTopGear.comに語ったところによると、この方法で90%以上の容量まで急速充電を繰り返しても、5,000回のサイクルに耐えられるという。電力網のエネルギー貯蔵など、より穏やかな温度で緩やかに充放電を行えば、100,000回のサイクルも可能だと彼は言う。

さらにレヒティマキは、以前にもTop Gearに対して主張した「セルにリチウムやコバルトを使用していない」という見解を繰り返した。これらの鉱物の世界的な供給網はほぼ完全に中国で処理されており、バッテリー生産を地政学的に極めて脆弱なものにしている。しかし彼は、ドーナツ社が使用する鉱物は安価で、どこでも手に入るものだと主張する。「新たな鉱山を開拓しなくても、英国が必要とするすべてのバッテリーを、英国国内の材料を使って英国で作ることができる」

彼らの主張は止まらない。従来のバッテリーセルの工場では、医療レベルの無塵環境(クリーンルーム)が要求される。しかし、ドーナツ社のセルにはそれが必要ないと言うのだ。「つまり、既存の工場跡地(ブラウンフィールド)で製造できるということだ。爆発などの危険もなく、特殊な有害物質の取り扱いも必要ない。クリーンルームは不要だ」

だからこそ、エネルギー密度、充電速度、耐久性、耐火性においてこれほど絶大な利点を主張しながらも、従来の主流であるリチウムイオンセルよりもコストはかからないとレヒティマキは言う。「我々は、高価でなく、揮発性もない材料でこれらのバッテリーを作っている。コストを押し上げているのは、その2つの要素だからだ」

現在の標準であるリチウムや希少鉱物(クリティカル ミネラル)ではないとすれば、セルの成分は一体何なのかとレヒティマキに尋ねてみた。彼は回答を拒否した。世界的な巨大企業が長年にわたり、全固体電池という「聖杯」を追い求めてきた。だからこそ、ドーナツ社はそのレシピを秘密にしておく必要があるのだと言う。「小さな会社として、我々はアプリケーションのレベル、構造のレベル、製造のレベルにおいて、あらゆる知的財産を保護しなければならない」

中国の巨大企業も、ダイムラー、フォルクスワーゲン、リマックが支援する他の企業も、全固体電池をまだ量産できていない。日産やトヨタの独自の取り組みも同様だ。ドーナツ社は、社名の由来となったハブレス インホイール モーター(車輪の中心軸を持たない特殊なモーター)の開発者を含めても、わずか70人の小さな会社である。たとえドイツの外部パートナーからセル技術を導入しているのだとしても、彼らがこのようなブレイクスルーを達成したとすれば驚くべきことだ……実際に達成したのだとすれば、だが。

この情報の空白地帯において、多くの観察者がドーナツ社のバッテリーは「捏造(ホークス)」だと呼んでいる。実際、最先端のリチウムイオンセルであれば、充電速度やエネルギー密度の点でドーナツ社の主張と同等レベルの性能を発揮できる。一部の専門家は、ドーナツ社がデモに使用したセルは、最初からリチウムイオンだったのではないかと推測している。
VTT(フィンランド国立技術研究センター)の報告書でさえ、テストされたセルを「顧客(つまりドーナツ社)から提供され、顧客が全固体電池セルであると特定したエネルギー貯蔵デバイス」と記述している。

またドーナツ社は、技術に精通したベンチャーキャピタルではなく、小規模で騙されやすい投資家(彼らは当初、ハブレスモーターに可能性を見出していた)をターゲットにして資金を集めているという批判にも晒されている。

しかし今、レヒティマキは「セルが実際に全固体であることの証拠がある」と言う。別のテスト機関であるインターテック(Intertek)が、バイポーラ(双極)型に作られたセル群を使用してテストを実施したのだ。これは、各電極の片面がアノード(陽極)、もう片面がカソード(陰極)として機能する(つまり両極を持つ)ことを意味し、クラブサンドイッチのように何層にも積み重ねることができる。これにより、外部で直列に接続するための配線重量を増やすことなく、単一のセルよりもはるかに高い総電圧を構築できる。

バイポーラ型セルは、従来のゲル状電解質では製造できない。ゲルが電極の周囲に漏れ出し、ショートしてしまうからだ。インターテックの報告書では、ドーナツ社から提供されたバイポーラ型セルの写真が初めて公開された。インターテックは蓄電テスト後にこれを分解しており、その層は確かに乾燥(ソリッド)していた。

レヒティマキはTopGear.comにこう語る。「液体電解質から全固体への移行は巨大な飛躍です。しかし、全固体からバイポーラ型の全固体への移行も、それとほぼ同じくらい大きな飛躍なのです。これは主にパッケージングのレベルでの話です。なぜなら、何百もの小さな電圧のセルを鎖のようにつなぐ必要がなくなるからです」
「内部抵抗は最小限に抑えられ、すべてのイオンはバッテリー内の各層を直接通過します。これにより、熱の発生源の大部分と、銅線やバスバー(導電板)を排除できます。すべてのセルの電圧や温度を個別に監視する必要もなくなるため、パックの内部からほとんどすべての電子機器を取り除くことができるのです」

しかし……そこには「しかし」がある。全17ページに及ぶインターテックの報告書の奥深くには、次のような言葉が記されている。「インターテックは、テスト対象のデバイスが、電気的な充放電が可能な機能するバッテリーセルであることを検証していない」
とはいえ、インターテックが以前に行った釘刺し試験(バッテリーに釘を刺して発火 破裂の有無を調べる安全性テスト)で使用されたセルは、インターテックの別の研究所で充放電に使用されたものであり、それは分解に使用されたものと全く同じサンプルだった。

ドーナツ社のバッテリーが、今後しばらくの間、謎に包まれ続けることは間違いない。彼らが詐欺師だと暴かれるかもしれない。あるいは、本物である可能性もある。もし本物だとすれば、化学物質の正確な配合は複雑だとしても、その起源や製造工程が単純である以上、競合他社がコピーしようとする動機は計り知れないほど大きくなる。ドーナツ社はそれを可能な限り防ぐため、秘密主義を貫く必要がある。
多くのバッテリー専門家は、「これほど高性能で安価なものは基本的に不可能だ」と言う。しかし、多くの発明は、それが現実のものとなるまでは「不可能だ」と言われ続けてきたのだ。

=海外の反応=
「この記事を掲載するのは本当に恥ずべきことだな。プロの投資家を狙った詐欺を助長するのも問題だが、一般人を標的にした詐欺を宣伝するのは別次元の話だ。あんたらのジャーナリストとしてのプライドはどうなってるんだ?」
↑「『独立した機関によるテスト』ね。いやいや、VTTは独立したフィンランドの国立機関だけど、このテストは『顧客レポート』だろ。つまりドーナツ ラボが金を払って、条件から仕様、結果の公表方法まで指定したってことだ。これですべての結果が無効になるわけじゃないが、『独立したテスト』とは程遠い。少なくとも、ジャーナリストがAIの適当な要約よりマシな仕事をしてると信じさせたいなら、こんな伝え方はすべきじゃない。こういうトピックを取り上げるのは面白いから、もう少しプロとしての誇りと調査能力を見せてくれよな」
↑「ポール ホレルの記事か。いつもの彼のスタイルだな」
↑「お前ら、詐欺師の片棒を担いでるぞ」
↑「俺は筋金入りの無神論者だが、大手メーカーが全固体電池を積んだ実用車を量産するより先に、キリストの再臨が起こるだろうな」
↑「もし本当に価値ある発明をしたのなら、それを守る方法は極めてシンプルだ。『特許を出願する』こと。これによって発明が公開されると同時に、競争から保護される。もし価値ある発明をしたのに特許を出願しなければ、世界中の誰でも同じ発見をして、先に特許を出願するだけで利益を100%奪うことができる。なぜドーナツ社は、他人が同じ発見をして特許を先取りすることを恐れないんだ? もしそうなれば投資家から過失で訴えられ、確実に破産するのに。考えられる理由は一つしかないよな…」
↑「中国が特許のルールなんて守ると思うか?」
↑「(上のコメントへ)2001年にWTOに加盟して以来、特許法に関しては一応守ってるぞ。著作権や商標法については微妙だがな」
↑「プロトン(陽子)伝導だよ、みんな。プロトン伝導の全固体電池ならこの仕事ができる。キノン(有機化合物の一種)は有機材料から作られる。水素イオン(プロトン)はリチウムイオンの10万分の1の大きさだからな」

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