自動車の歴史において、コンセプトカーは常に未来のテクノロジーやデザインを映し出す鏡であった。アストン マーティンの画期的なパドルシフト機構から、アルファ ロメオの究極の空力デザイン、果てはフォードが夢見た「原子炉搭載車」まで、過去のデザイナーたちが思い描いた未来の姿は、驚くほど正確なものもあれば、狂気に満ちたものもあった。本記事では、英・BBCトップギアが選ぶ、時代を先取りしすぎた伝説のコンセプトカー7台を厳選し、その常識破りな魅力と開発秘話を日本の車好きに向けて詳細に解説する。
アストン マーティン アトム

1939年に製造されたアトムは、その10年後に当たり前となる技術とスタイリングを予言していた。チューブラー スペースフレーム シャシー、超軽量アルミニウムボディ、そして独立懸架サスペンションを備えていたのだ。何よりも信じられないのは、電磁式セミオートマチック ギアボックスであり、これは実質的に史上初のパドルシフトであった。
アルファ ロメオ BAT

戦後の「何でもあり」の時代、アルファ(※イタリアの名門アルファ ロメオ)は空力効率に異常なまでの執着を見せた。そして1953年、莫大な費用と多大な苦心(文字通り鉛筆を噛み砕くほどの悩み)の末に、BAT 5を発表した。(※BATは「Berlinetta Aerodinamica Tecnica:空力技術クーペ」の略)。巨大なエアインテーク、スパッツ(カバー)で覆われたホイール、そしてカールしたフィンを備えたこの車は、驚くべき結果を叩き出した。スピードを出して空気を切り裂く姿は、停車時の息を呑むような美しさと同じくらい見事なものだった。
ダッジ デオラ

デオラは、デトロイト(※アメリカの自動車産業の中心地)に住むある兄弟による、ホームグロウン(手作り)のプロジェクトだった。彼らはドナーとなるピックアップトラックを切り刻み、ステーションワゴンのテールゲートのヒンジを流用してフロントガラス兼ドアを作り上げ、エンジンをミッドシップに移動させた。ダッジ(※アメリカの自動車ブランド)はこれを大いに気に入り、自社の宣伝のためにリース契約を結んだのだが、その際、この車を完成させるために使われたフォード製パーツの存在には見て見ぬふりをした。
キャデラック サイクロン

戦闘機のキャノピーと、巨大なテールフィンの下にダミーのアフターバーナーを完備したキャデラック サイクロンは、目新しいジェット機時代における自動車ファンタジーの頂点であった。(※キャデラック:GMの最高級ブランド)。さらに、あの2つの黒いノーズコーンの中には、衝突回避のためのレーダーシステムまで搭載されていたのだ。
GM XP-21 ファイヤーバード

GM(※ゼネラル モーターズ)は、航空機にインスパイアされたガスタービン プロジェクトにおいて、「自動車」としての要素をあまり深く考えなかった。XP-21は本質的に、爆弾の代わりに車輪を付けたジェット戦闘機だったのだ。「ファイヤーバード1」と呼ばれたこの実験的なエンジン スタディモデルは、1速のままで161km/h(100mph)に達することができた。悲しいことに、そのトルクがあまりにも巨大すぎて2速に入れることなど考えられず、GMの研究ラボのトップがこの車でコーナーを曲がろうとしてあわや命を落としかけたため、XP-21はそのままお蔵入りとなってしまった。
GM フューチュライナー

テレビが普及する前の時代、巨大な移動式マーケティング ミッションであったGMの「パレード オブ プログレス(進歩のパレード)」のために、12台のフューチュライナーが製造された。輝くクロームメッキ、別世界のような巨大さ、そしてそびえ立つような中央の運転席を備えたこれらは、ハイテクな未来を高らかに宣言していた。同時にこれらは、170リットル(45ガロン)の燃料タンクを2つと24段の変速ギアを備えた、巨大なはしけ(平底船)のような存在でもあったのだ。
フォード ヌクレオン

原子力の時代にカーデザイナーであるということは、ただ一つのことを意味していた。「原子力で行くか、さもなくば家に帰れ(徹底的にやるか、諦めるか)」だ。だから、フォード ヌクレオンが登場したとき、誰も眉をひそめたりはしなかった。結局のところ、リアアクスル(後輪の車軸)の上に原子炉を積んだ車こそが、確かな未来だったのだから。そうだろう? バルクヘッド(隔壁)を15cm(6インチ)の鉛で覆い、ブレーキランプが絶対に故障しないことを神に祈るだけでよかったのだ。
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