F1の天才デザイナー、ゴードン マレーが生み出したサーキット専用ハイパーカー「GMA T.50s ニキ ラウダ」。新車時価格6億5202万3000円を誇り、4.0リッターV12自然吸気エンジンが12,000rpmで761psを叩き出すこのモンスターは、単なるT.50の派生モデルではない。900kg未満の超軽量ボディと強大なダウンフォースがもたらす異次元の走りは、レーシングカーとも一線を画す「完璧」な仕上がりだ。本記事では、英・BBCトップギアによる熱狂的な海外試乗レビューの全貌を、日本の車好きに向けて余すところなくお届けする。
価格:£3,100,000(6億5200万円)
あわわわ…
その通り! これはGMA(ゴードン マレー オートモーティブ)T.50s ニキ ラウダであり、私たちの膝をガクガクさせるには十分すぎる代物だ。ゴードン マレー(※マクラーレンF1などを手掛けた伝説的カーデザイナー)は、これがT.50スーパーカーの単なる「バージョン違い」ではなく、同じ基本骨格を用いながらも全く異なる開発要件のもとで進められた、並行する設計 開発プログラムの産物であると語っている。
T.50sはサーキット専用車であり、生産台数はわずか25台だ。それぞれのシャシーには、ゴードン マレーが設計したF1マシンが挙げた最初の25勝のサーキット名が冠される。4.0リッターV12エンジンは、11,500rpmで761ps、8,000rpmで498Nmのトルクを発揮する。油脂類を含めたウェット重量は900kg未満で、1,200kgのダウンフォースを発生させる。
エンジン音はワイルドだって!?
そう言ってもいいだろう。コスワース(※名門レーシングエンジンビルダー)製V12は、ロードカー用としてはすでに真に偉大なエンジンのひとつだが、ここではさらに大きな進化を遂げ、言葉では表現しがたい代物になっている。シリンダーヘッドとカムシャフトが見直され、ラムエア効果(走行風による過給効果)を高めるルーフスクープから空気が送り込まれるため、ロードカー用エンジンのような可変バルブタイミング機構はもはや不要となっている。重量は166.3kgで、ロードカーのT.50のユニットより約12kgも軽く、圧縮比は14:1から15:1へと引き上げられている。
さらに、12個のスロットルボディと2セットのインジェクターを備え、シリンダー内に燃料を直接噴射する。そのサウンドはより深みがあり、より鋭く、より怒りに満ちており、おまけになかなか素敵な炎も吹き出す。
おそらく、少なくとも哲学という点において最大の変更点は、エクストラック(※モータースポーツ用トランスミッションの世界的メーカー)製のIGS(瞬間的ギアシフトシステム)シーケンシャルギアボックスの採用だろう。これはT.50のマニュアルトランスミッションよりも5kg軽く、顧客の好みやよく走るサーキットの要求に合わせて、異なるギア比のセットが提供される。
さらに、最高のパフォーマンスと一貫性を発揮する本物の「カーボン カーボン」ブレーキ(※レーシングカーに用いられる炭素繊維強化炭素複合材料)、極薄肉のインコネル(※耐熱合金)製エキゾーストシステム(私たちが試乗したT.50sのプロトタイプ「XP3」ではサイレンサーなしだった)、そしてマグネシウムホイールも装備されている。これらはすべて、耐久性と軽量化の最高の組み合わせだ。これらをすべて足し合わせる…いや、差し引くことで、あの徹底的に追求された大幅な軽量化が実現しているのだ。
ずいぶんと大きなフロントスプリッターだな…
実は、T.50sを見て最初に驚くのは、その小ささだ。現代のほとんどのハイパーカー(よく考えれば、どんな車と比べても)と比べても、そのフットプリント(占有面積)は本当に小さい。しかし、おっしゃる通り、フロントスプリッターは巨大で、ダイブプレーン(※フロントバンパー側面のカナード)、リアのシャークフィン、そしてリアウィングも同様だ。これらが、少しおとなしいT.50ロードカーのフォルムにドラマチックな要素を加え、圧倒的な存在感を生み出している。
空気力学の観点からも、はるかに過激だ。トレードマークであるリアマウントのファンは、50km/hから最大7,000rpmまで回転数を上げ、最大限のダウンフォースを生み出すようプログラムされており、T.50sに絶大な高速安定性をもたらしている。このファンは(ゴードン マレーの有名なF1マシン、ブラバム BT46「ファンカー」のように)車体を路面に吸い付けるわけではないが、気流の剥離や「失速(ストール)」を起こすことなく、はるかにアグレッシブな形状のリアディフューザーを採用することを可能にしている。
それで…レシピが示唆する通り、素晴らしい出来栄えなのか?
信じられないことだが、おそらく「金に糸目をつけない、F1の天才によって考案されたパーツ」の単なる寄せ集め以上の仕上がりだ。この車のすべてが特別である。中央の運転席に乗り込むと(助手席は運転席の左側に1つだけになった)、その視界は完璧だ。スカットル(※フロントガラス下部)が非常に低いため、路面に直接触れているかのように低く感じる。そして、言うまでもないことだが、この左右対称のレイアウトは非常に論理的で自然である。なぜ誰もがこれをやらないのだろうか?
目の前には、小さなカーボンファイバー製でバットシグナル(※バットマンのロゴ)のような形状のヨーク(※操縦桿型ステアリング)があり、左側のウイング上部に3つ、右側に4つのボタンが配置されている。これらは、インターコム、ウィンカー、ウォッシャー/ワイパー、スピードリミッター、ヘッドライトを操作するためのものだ。ハブの左下にはサムホイール(※親指で回すダイヤル)があり、目の前のデジタルディスプレイの画面をスクロールできる。機能的だが、現代のF1マシンやレーシングプロトタイプ、あるいはかなりの数の公道走行可能なスーパーカーと比較すると、シンプルで落ち着いている。そして、その感触も素晴らしい。
右側には、こちらに角度を向けた大きなコントロールパネルがあり、ABS、トラクションコントロール、EPAS(※電動パワーステアリング)のアシストレベルを設定するための大きなロータリースイッチが備わっている。R53製ダンパーもここで調整可能で、フロントとリアの圧縮(コンプレッション)と伸び(リバウンド)をそれぞれマイナス4からプラス4まで個別に設定できる。ポルシェ 992型 911 GT3 RSでできることと少し似ている。どれも素晴らしい機能だが、GMAのエグゼクティブ プロダクト&ブランド ディレクター(そしてインディカーで4度のチャンピオンに輝いた)ダリオ フランキッティがすでにバーレーン インターナショナル サーキット向けに車をセットアップしてくれているので、私はあえて触らないでおくことにする。
エンジンを始動するには、マスタースイッチを下に弾き、緑色のスタートボタンを押すだけだ。車が様々なチェックと画面表示のサイクルを終え、準備が整うと、スタートボタンの下にある緑色のライトが点滅する。ブレーキを踏み、もう一度ボタンを押すと、4.0リッターV12エンジンが咆哮を上げる。おお、これだ。
アナログだって、ふん!6速マニュアルギアボックスじゃなきゃ意味がないね!
後ろの席の奴ら(※文句を言う保守的な読者たち)、落ち着いてくれ。カーボンタブ(※車体の骨格となるカーボン製シャシー)を通してV12の振動を感じた瞬間、あなたは感覚への総攻撃が始まることを悟るはずだ。ピットリミッターに当たってガタガタと音を立てながらピット出口のラインを待っている間にも、その感覚はすでに豊かで、HD画質のような鮮明さを持っている。T.50sはとても軽く、驚くほどピュアに感じられる…まだヨークをほとんど回していないというのに。
その後に続くのは魅惑的な体験だ。野蛮でありながら、同時に奇妙なほど落ち着いている。エンジンが完全に素晴らしく、とんでもない代物であることは、もはや言うまでもない。そのサウンド、スロットルレスポンス、そして圧倒的な到達点は純粋な喜びだ。900kg未満の車体に761psのパワーは強烈だ。消音器をほとんど持たず12,000rpmまで回るV12エンジンは、生きていることの喜びを実感させてくれる。吸気音、バルブトレインのノイズ、狂気じみたエキゾーストノート、そして冷たい空気を切り裂く邪悪な炎の揺らめきが組み合わさり、ある種の狂気じみた、音楽的で、目を血走らせるような熱狂を生み出す。
しかし、シャシーもまた同様に信じられないほど素晴らしい。巨大なダウンフォースの数値は忘れてほしい。T.50sは間違いなく生きているように感じられる。非常に俊敏で落ち着きがあり、レスポンスは鋭いのに、計算されたように力みのない身のこなしを見せる。それはほとんど不気味なほどだ。あらゆる方向へのGフォースは極めて高く、この車は膨大なコーナリング性能を持っているが、そのすべての動きに、慣性を感じさせない本物の軽快さがある。
非常に俊敏で落ち着きがあり、レスポンスは鋭いのに、計算されたように力みのない身のこなしを見せる
290km/h以上のスピードでターン1のブレーキングゾーンに突入し、カーボン カーボンブレーキを力一杯踏み込んでも、T.50sはほとんどノーズダイブすることなく、岩のようにソリッドな感触を保つ。そして、いとも簡単にエイペックス(※コーナーの頂点)へとロールし、ターン2とターン3を駆け抜けるために、驚くほど早くスロットルを開けることができる。安全でありながら足取りは軽く、ドライバーの入力に合わせてバランスが変化する。路面に張り付いているのに、ドライバーのあらゆる動きに合わせて、なぜか呼吸をしているかのように感じられるのだ。
エクストラック製ギアボックスもまた絶品だ。素早く、確実で、提供される圧倒的なパフォーマンスやラップタイムのポテンシャルと完璧にマッチしている。マニュアルが恋しくなったかって? 全く? そんなことはないと言い切れる。ブレーキも素晴らしく、車全体が素早く適正温度に達するため、扱いづらさや威圧感を感じることは一度もない。ステアリングは軽くクリーンで、フィードバックも豊富だ。いずれにせよ、ドライバーはシャシーと直結している。ステアリングからは情報が泡立ち、チクチクと伝わってくるのだ。
でも、なぜ素直にレーシングカーを買わないんだ?
これほどのV12エンジンを積んだレーシングカーがどこにある? ドライバーへのフィードバックや調整機能をこれほどまでに称賛するレーシングカーがどこにある? 私にはほとんど思い浮かばない。競技車両の目的は速く走ることだ。それ以外のすべては二の次である。T.50sの場合、スピードはパワー、重量、空力荷重から自然にもたらされるものだが、開発段階でスピードそのものを追い求めたわけではない。もちろん、車高をさらに低くし、より速く、より大きな垂直荷重を発生させ、スリックタイヤのミシュランから最後の一滴までグリップを絞り出すこともできただろう。しかし、それではプログレッション(※限界挙動の穏やかさ)が失われてしまう。低速での楽しさや、レーシングカーでは必要とも理解ともされないような方法で、車をスライドさせたりからかったりする楽しみがなくなってしまうのだ。
それに、高速域での安全性はナイフの刃渡りのようなシビアなものになり、トップクラスのドライバーにしか扱えなくなってしまうかもしれない。その代わり、この車は寛容であり、出ているスピードを考えれば信じられないほど、自由自在に操れるように感じられるのだ。
それで、全体的に見て…悪くない?
それがすべてを要約している。「素晴らしい」、「忘れられない」、「酔いしれるような」、「ピュア」、そして、そう、「完璧」という言葉もぴったりだ。T.50s ニキ ラウダは別次元の存在であり、私は残りの人生で、これをもう一度体験したいと切望することになるだろう。これはまさに「ドチャクソ最高(※原文は放送禁止用語)」だ。こう言ってもいいかな?[ダメです - TG編集部]
GMAが気になった方へ
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新車にリースで乗る 【KINTO】
=海外の反応=
「なんて車だ。グッドウッド フェスティバル オブ スピード(※イギリスの有名なモータースポーツイベント)で実物を間近に見たけど、ボディワークの変更がとんでもなかった。特にリアホイールとディフューザーのあたりがエグい」
↑「GMAが時代をリードしてるな」





