発表からわずか3年で911レストモッドの頂点に君臨するシンガーDLSは、今や300万ドル(4億円)超えの存在となった。果たして、本当に高っけぇ!のか?
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発表からわずか3年。911レストモッドの頂点に君臨するこのクルマは、今や300万ドル(4億円)超えの存在となった。高っけぇ!と叫ぶ声がここまで聞こえるようだ。でも、下の記事を読んでもまだ、あなたはシンガーを「高すぎる」と言えるだろうか?
数年前、シンガーが「デザイン&ライトウェイトニング スタディ(DLS)」を発表したとき、限定75台の枠は、最初の1台が顧客の元に届く前にすべて予約で埋まってしまった。この事実は、その後の驚異的な価格高騰を予感させるものだったが、それが今、オークションサイト「Bring a Trailer」で現実のものとなった。
そう、誰かが、3年前には220万ドル(3.1億円)だったクルマに、300万ドル(4.3億円)を支払ったのだ。我々の計算が正しければ、オーナーは文字通り「何もしない」状態で1.2億円を稼ぎ出したことになる。
「何もしない」というのは、決して大げさな表現ではない。この1年間で増えた走行距離は、わずか1マイル(1.6km)。オドメーターに刻まれた総走行距離は、たったの18マイル(29km)だ。もしあなたが数ヶ月前にロンドンマラソンを完走したのなら、おめでとう。あなたはこのクルマが2人目のオーナーの元で走った全距離を、たった1日で上回ってしまった計算になる。
さて、このDLSについて少し触れておこう。個体はシャシーナンバー73。その骨格は1991年式の964世代カレラがベース…とは言っても、共通なのはせいぜい数本のボルトくらいで、メカニズムのほとんどは別次元のレベルにまで引き上げられている。
空冷自然吸気フラット6エンジンが、インコネルとチタンを組み合わせたエキゾーストを通して放つサウンドは、9300rpmのレッドラインに向かってまさにサベージ(凶暴)の一言。それはまるで、天上の神ゼウスが天を引き裂くかのごとき咆哮だ。スペックも強烈で、最高出力は約500馬力、0-100km/h加速は3秒台後半、予測される最高速は338km/hに達する。そして、そのすべてがヒューランド製の伝統的な6速マニュアルトランスミッションを介して操られるのだ。
だが、DLSの魅力は単なる力任せの速さだけではない。シャシーとサブフレームの剛性はノーマル比で60%も向上。車高は標準の964より20mm低く、カーボンファイバー製のボディパネルの下には、FIAグレードの40mmロールケージが潜んでいる。
これらすべてが、車重1.1トンを切る軽量な車体と組み合わさる。ミシュラン製タイヤとブレンボ製ブレーキの助けも借りて、その動きは超一流のダンサーのように正確無比なステップを刻むだろう。
シャシーナンバー73は、ほかにも趣味の良いディテールが満載だ。前後異径の18インチ鍛造マグネシウムアロイホイール、タータンチェックのインサートが施されたブルーレザーのレカロ製カーボンシート、そしてタコメーターには18金のトリムがあしらわれている。何より、DLSが人々を惹きつける最大の魅力はそのルックスにある。見た目は紛れもなくクラシックな911。しかし、そこにモダンなエッセンスが絶妙なさじ加減で加えられているのだ。
これらすべてを考えると、ある疑問が浮かび上がってくる…。
シンガーの作るクルマは、実は「安すぎる」のではないだろうか?
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=海外の反応=
「世の中には金が余ってるヤツがいるもんだな」
「うーーーーん……こりゃ高すぎるだろ」
「安すぎる? まさか。少なくともスペック上は、どう考えても割高だね。同じ金額を出せば、シンガーDLSと同じくらいエクスクルーシブで、運転が魅力的なケーニグセグやパガーニが買えるはずだ。しかも、そいつらは(もしかしたら、くたびれているかもしれない)90年代のカレラのシャシーから作られているわけでもないんだから」