クラシックカーの共同所有サービスで知られるランデヴーが、月額制で好きな車に乗れる新サービスを開始した。
ランデヴーが、拡張版サービスの第一次オーナー募集を開始し、プレゼンテーションが開かれた。株式会社RENDEZ-VOUSの浅岡亮太代表の実家はクラシックカーの販売店で、大学時代に車のメディアを立ち上げ、バイアウト。その後DeNAに新卒入社し、C2CのカーシェアリングサービスAnycaを担当した経験もある。そして、メルカリに転職し、自動車流通プロジェクトの責任者を務め、2年前にランデヴーを創業した。メルカリで自動車を流通させる方法を模索したことが飛躍につながったのだろう。現在、ランデヴーのメンバーは9名となり、半数以上がDeNAとメルカリ出身者だ。資本金1億円、累計投資額は2.8億円と驚異の成長速度だ。投資家にはメルカリ会長の小泉文明氏、ANRI、Coral Capital、XTech Venturesが名を連ねる。
既存サービスでは、ヴィンテージカーを対象に、最小1/8からオーナー権を購入し、メンテナンス不要で乗ることができ、売却益を人数で分配するというシステムだった。これまで6台と共同所有で販売し、900万円増加となったこともある。オーナーは約5割が30代、約3割が40代、9割がはじめてクラシックカーを所有したという。「若者の車離れ」と言われて久しいが、数ではなく、質を求めるというニーズは存在していたのだと思う。
そして今回、個人間で車を共有することで、コストを抑えながら多様な車を楽しめるという共同所有サービスに舵を切った。月額払いが可能となり、車種と予算をベースに、どんな車でも共同オーナー型での所有が可能となる。また、車両保管場所兼オーナー専用ラウンジとして横浜市羽沢に240坪の新たな拠点を開設した。
特徴としては、下記が挙げられる。年間4.2%といわれる自家用車の稼働率。しかし乗る頻度とは関係なく、車の購入費用や維持管理費用は変わらない。複数人の共同オーナー同士で金銭的な負担を分担し、更に月額払いを導入することで、大幅に車所有のハードルを下げることが可能だ。最新の車からキャンピングカー、クラシックカーまで、いかなる車両であっても共同オーナー型での所有ができる。希望車種と予算に合わせて、最小2人から最大8人でマッチングを行う。
気に入った車を楽しむのに十分な年間72日(4人での共同所有の場合)の利用権がある。1週間以上の長期利用や、自宅の車と入れ替えて利用することもできるので、ライフスタイルや使用頻度に合わせて自由に使える。
都内近郊から約30分でアクセス可能な場所(横浜市羽沢)にランデヴー専用のガレージを用意。オーナー専用のアプリを使って、思い立ったときにすぐ利用できる。乗り換えたクルマはガレージで預かることができる。そして全車両、東京海上日動の保険に加入。日常的にランデヴーがメンテナンスをおこなう。
このデータは共同オーナー型で所有をした場合の、プラン例となる。駐車場、メンテナンス、保険等の維持管理費もすべて含まれた金額となる。例えば、2014年式ポルシェ ボクスター 2.7を4人で共同所有するなら、頭金16万円に月額3.5万円となり、オーナー人数、契約期間、頭金率に応じて月額の支払額が変動する。一括での支払いも可能だ。価格シミュレーションは、サイトで調べられる。申し込みベースで1ヶ月以内に300件を集めるために、さまざまなプロモーション活動やターゲットマーケティングを実施していく。
仕組みとしては、支払うのは車両価格全額ではなく、「契約期間における車両価値の減少分」で、これは、ランデヴーが保有している53万件の中古車相場データベースを元に算出している。その金額に、維持管理費を加えたものを共同オーナーで均等に分担する。支払い金額は契約時に決定されるため、期間内の支払いが変動することはない。
浅岡氏はこう述べる。「今まで、サービス運営をする中で、この仕組みなら好きな車を所有できるという声を多数頂いてまいりました。それと同時に、コレクタブルカー以外に対しても多数の要望を頂いております。そこで、取り扱う車両の幅を広げ、趣味性を求めるセカンドカー全般へサービスの展開を広め、月額制を導入し、横浜市羽沢に拠点を開設することで、より多くの人達へ、より気軽に、「好きな車との好きな暮らし」を楽しんでもらえるよう、サービスを拡張しました」
質疑応答が行われた。
―年収制限
ございません。
―事故の場合
東京海上日動の保険が、全ての車に対して付与されています。保険適用外に関してですが、基本的にはメンテナンスの預かっているものの中でサポート、補填をさせていただくんですが、明らかにそのオーナーさんの過失によって、事故だったり故障が起こってしまった場合、ここに関しては、そのオーナーさんに負担をしていただくということになります。
―申し込みから利用開始までの期間
現実的には1ヶ月ぐらいかかるんじゃないかなと思っています。難しい車をご要望されたりすると、なお時間はかかると思います。車両を見つける、マッチングの時間もかかってくるので。
購入から売却までの、サービスの提供期間
基本的には1年間を考えていますが、そこに関しても、2年、3年と、延長していただくことは可能ですし、購入のタイミングで、最終的には決めていただくことも可能です。ただ、1人は10年がいい、1人は1年がいいとか、皆さんも、皆さんも、パッと話を聞いただけで、いろいろ浮かぶと思うんです。正直、そんなに規則通りにいかないと思うんです。なんですけど、そういったところは、僕たちが、調整しながら、やっていくしかないかな、というふうに思っています。まずは、一番ミニマムの、一番短い期間を、1年で、やろうと。例えば、1年の間に、もう少し持ちたいなと思ったら、もう1回、マッチングして、そうですね。そのタイミングで、またそのタイミングでの、単価について再度検討し、再、再、マッチング、になるかも、といったことを考えています。
ー利用できる日数や走行距離
走行距離に関しては、日数、かける、100キロです。なので、自分の持ち分が、72日あったら、7,200キロになります。距離に関しては、1日で7,200キロ、乗っちゃってもいい。ただ、連続利用の日数に関しては、最長で2週間です。
既存サービスの提供有無と使用日数の増加
既存サービスは、もう、基本的には、無しで、新しい方に、全て、フォーカスをしています。それから、既存サービスでは年間12日からで、新サービスでは、年間36日から、になってますけれども、これ、なぜ3倍にできたのかということについては、今までやってきた実績の中で、使用頻度や自動車の状態についてデータが蓄積されてきた上での判断です。これからは、コレクタブルだけではなくて、幅広いジャンルの車両を扱っていきますし、より、利用頻度等も、高まると思っています。
―共同所有の期間終了後、買い取り
ありだと思います。そうなるべきだし、そうなってほしいと僕らも思っています。
―アプリのマッチングワーク
マッチングワークについては、ユーザーが自分に合った車を見つけやすくするためのアルゴリズムを活用しています。エンジニアリングの視点から見ても、効率的なマッチングを実現するための工夫がなされています。
浅岡代表にお話を伺った。
―旧車が投資対象になっている現状について、今回のサービスは反旗を翻すようなものですか?
半分合っています。反旗は翻していませんが、本当に欲しい人に届かなくなるのは良い状況とは言えません。そういう人たちに趣味のクルマの乗る体験してもらいたいと思っています。趣味車全体に関して、とくに若い世代が所有しづらくなっていると感じます。この仕組みを通じて、少しでも多くの人が車を楽しむきっかけを提供したいです。
―今後、車以外のガレージやオートバイなどの共同所有についての考えはありますか?
現状では車でやりきることを考えていますが、可能性としてはゼロではないです。タイミングと順番次第です。
―ご自身は、幼少期から車が好きだったのですか?
いいえ。幼少期は全く車に興味がなく、ずっとボクシングをしていました。大学3年生の時にボクシングをやめた後、初めてフェラーリ テスタロッサに乗ったことがきっかけで、そこから車に目覚めました。様々な車に乗ってみて、研究をし、車の世界にどんどん引き込まれていった感じです。
―SNSなどのインターネットを使った広報活動について、どのように考えていますか?
インターネットでの広報活動も重要ですが、オフラインのイベントや体験を重視しています。例えば、クラシックラリーやランデヴーラリーなどを開催していきたいです。若い方を中心に、フェリーを使ってパーティを行うなど、今、アイデアを出しているところです。
浅岡氏との対話を通じて、ランデヴーが掲げるスローガン、”好きな車と、好きな暮らしを。”が、新サービスの展開でさらに現実的になってきたと感じた。