2022年にトップギア編集部で一番ショックだったことは…。会社のコーヒーメーカーが壊れた、ってのもあったんだけど、まあそれは解決したからね。
ジャガー・ランドローバーのティエリー ボロレCEOが11月に就任から2年足らずで突然退任したことは、その年のショックの候補としてはちょっと遅いものだった。だが、それより、フォルクスワーゲンのヘルベルト ディースCEOの退任は、自動車業界全体にもっと大きなインパクトを与えただろう。
7月に発表されたディアスの辞任は、一見すると「家族と過ごす時間を増やす」という温厚な政治家らしい仕事に過ぎなかったが、古い白鳥のイメージのように、穏やかな水面に浮かぶその下で起きている狂気の活動があったことを暗示していたのである。
フォルクスワーゲンが、世界中にまき散らした膨大な二枚舌のディーゼル車のトリックによってへこまされ、当然のように処罰されたことは周知の通りである。しかし、ヘルベルト ディースの確固たるリーダーシップのもと、同社はその権利よりも早く立ち直ったように見えた。
ディースは、フォルクスワーゲンのIDバッジ車のラインナップの拡大や、VWグループ全体に広がるゼロエミッションの選択肢の多さが示すように、電力への移行を打ち出した。この動きは、VWが電気自動車のための独自のモジュラープラットフォームを開発し、ライバルよりも早く製造コストを下げることができたことを意味する、一見限られた研究開発資金によって加速された。
しかし、亀裂が生じ始めている。おそらく、コストは必要以上に厳しく、そして速く引き下げられたのだろう。フォルクスワーゲンのソフトウェア提供は著しく欠落した部分があり、新技術は実証済みでもなく準備も整っていないうちに一般社会に押し出されている(それでもゴルフ8型の発売は遅れている)。かつてVWは堂々と競合他社をリードしていたが、今は後退し始めているのだ。
世界最大の自動車会社のCEOは、太陽が輝いているときは誰もが友人だが、物事が減速し始めると、後部座席にいたドライバーはすぐにアイデアでいっぱいになってしまうのだ。ディースのビジョンと取締役会のビジョンが一致しなくなり、ハーバートは庭で過ごす時間が多くなった。Tschüss!(ドイツ語でバイバイ)