2025年11月1日、VWファンイベントが代官山で開催。独本社CEOがサプライズ登場し、日本市場での「ナンバーワン復活」を宣言。新旧の名車と共に、ブランドとファンの熱い絆が確かめられた一日をレポートする。
2025年11月1日、東京・代官山の蔦屋書店を中心とした複合施設「代官山T-SITE」は、特別な熱気に包まれた。フォルクスワーゲン グループ ジャパンが主催するオーナー限定イベント「VW Weekend Meetup」が開催され、全国から抽選で選ばれた約80組の熱心な「VWer(ヴィーワー)」(フォルクスワーゲンファンの愛称)たちが、自慢の愛車とともに集結したのである。
この日は、単なるファンミーティングに留まらなかった。ドイツ本社からフォルクスワーゲン ブランドの最高経営責任者(CEO)であるトーマス・シェーファー氏をはじめとする経営陣がサプライズで登場し、日本のファンと直接対話。そして、日本市場における「ナンバーワン復活」を力強く宣言した。ブランドとファンが未来へのビジョンを共有し、その絆を確かめ合った、記念すべき一日の全貌をレポートする。
第1章:VWerの物語が交差する。「VWer Photo Award」
秋晴れの爽やかな朝。イベント開始の1時間も前から、会場には個性豊かなフォルクスワーゲン車が続々と集まり始めた。歴史の生き証人であるクラシックな「ビートル」や「タイプ2(通称:ワーゲンバス)」から、50周年の節目を迎えた「ゴルフ」の歴代モデル、人気のSUV「ティグアン」や「T-Roc」、そして最新の「パサート」まで。その多彩なラインナップは、フォルクスワーゲンがいかに幅広い世代に愛され、オーナー一人ひとりのライフスタイルに寄り添ってきたかを雄弁に物語っていた。
イベントの幕開けを飾ったのは、事前に募集されたフォトコンテスト「VWer Photo Award」の表彰式だ。MCの根本氏と、プレゼンターを務める自動車ジャーナリストの藤島知子氏が登壇し、会場の期待感を高めていく。このコンテストは「愛車部門」「イラスト部門」「動画部門」「キッズ部門」の4部門で構成され、オーナーたちのVWへの深い愛情が表現された作品が多数寄せられた。
「愛車部門」のテーマは、家族とのドライブやペットとのお出かけなど、愛車と過ごすかけがえのない瞬間。藤島氏は応募作品を「車のキャラクターとその時にしか見られない景色がマッチしている。桜や富士山といった日本の風景とVWが実によく調和しています」と評した。最優秀賞に輝いたのは、MK 75Rさんの一枚。彼の愛車は、実に35年前の1990年モデルの「ゴルフ2」だ。東京駅の荘厳な赤レンガ駅舎を背景にした作品について、MK 75Rさんは誇らしげに語った。「古い車ですが、こうした街中から自然溢れる場所まで、どんな風景にも調和してくれる良い車だと改めて感じています」。その言葉は、時代を超えて愛されるフォルクスワーゲンの普遍的なデザインの価値を改めて証明していた。
「動画部門」で最優秀賞を獲得したのは、シターボさんの作品だ。そこには、幼いお子さんが一生懸命に愛車を洗車する姿が収められていた。選考理由として「家族でVW車を愛している温かさが表現されている」と述べられると、シターボさんは「息子が洗車好きで、親が見ていなくてもやってくれるので、思わず『隠し撮り』したんです」という微笑ましいエピソードを披露し、会場は温かい笑いに包まれた。
そして、「キッズ部門」では、24名だっけさんのお子さんが描いた一枚が最優秀賞に選ばれた。フォルクスワーゲンの「Love Bug Brand(愛される虫のブランド)」というコンセプトを象徴するかのように、家族での楽しいドライブの様子が生き生きと描かれている。絵の題材は、家族でいつも乗っている「ゴルフ」と、富士山へのドライブの思い出だという。絵には富士山と共にスワンボートも描かれており、「山中湖の記憶と混ざったのかもしれない」と語る家族のエピソードは、フォルクスワーゲンが単なる移動手段ではなく、家族の大切な思い出を紡ぐパートナーであることを強く印象付けた。
第2章:時代を駆け抜けた名車たちとの対話
続いて、自動車ジャーナリストの藤島知子氏によるトークセッション「Volkswagen Spotlight Picks」が始まった。駐車場に並んだ珠玉のモデルたちを前に、藤島氏は「歴史が深く、エンジン車からEVのID.4、そして発売されたばかりのID. Buzzまで、多様なモデルが存在するのがVWの魅力です」と語り、今年で誕生50周年を迎えた「ゴルフ」に焦点を当てていく。
最初にマイクを向けられたのは、真っ赤なボディが鮮やかな「ゴルフ GTI」のオーナー。藤島氏が「フロントの赤いラインが象徴的で、アウトバーンでこれがバックミラーに映ると道を譲りたくなる、そんな存在です」とGTIのキャラクターを紹介すると、オーナーは「ゴルフ3から乗り続けて、今は8.5です。高速道路でここまで来ましたが、断然乗りやすくなっている」とその進化を実感していると語った。普段は「T-Roc」にも乗るという2台持ちの事実が、彼のVWへの深い信頼を物語る。
次に登場したのは、静かな情熱を秘めたハイパフォーマンスモデル「ゴルフ R ヴァリアント」のオーナー。以前はハッチバックのRに乗っていたが、ヴァリアントに乗り換えたという。「全幅や全高はあまり変わらないのに、積載量が格段に増える。家族への『言い訳』として最高の選択肢です」とユーモアたっぷりに語り、趣味性と実用性を高い次元で両立するRヴァリアントの魅力を伝えた。
さらに、EVモデルである「e-Golf」のオーナーは、なんと広島からの参加だった。日常使いではバッテリー容量に全く問題はなく、自宅の200V充電器で快適なEVライフを送っているという。長距離移動については、「高速道路のサービスエリアで急速充電を繰り返すことになりますが、それも旅の体験です」と語り、EVオーナーならではのリアルな声が共有された。
そして、ひときわ異彩を放っていたのが、ヨーロッパのレースカテゴリーから着想を得た限定モデル「ゴルフ TCR」だ。オーナーは「もともと買うつもりはなかったんです」と意外な事実を明かす。「近くのディーラーでGTIパフォーマンスを見て惹かれ、特にこの2本出しのマフラーの見た目と音に完全にやられました」。驚くことに、このハイパフォーマンスカーを基本的に通勤で使用しているという。「後ろのドアがあって荷物も積める。日常で使えるのがゴルフの基本。それでいて、人と違うものに乗れる『オンリーワン』な点が最高です」と、その魅力を熱く語った。
第3章:本社CEO、日本のファンに直接語りかける
イベントが最高潮の盛り上がりを見せたのは、特別ゲストが紹介された瞬間だった。ドイツ本社から、フォルクスワーゲン ブランドCEOのトーマス・シェーファー氏、グローバル生産物流担当取締役のクリスチャン・フォルマー氏、そしてセールス・マーケティング・アフターセールス担当取締役であり、この日から日本のブランドディレクターに就任したマーティン・サンダー氏が登壇。予期せぬビッグサプライズに、会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
シェーファーCEOは、満面の笑みでマイクを握った。「ここ東京で皆様とご一緒できることを嬉しく思います。私たちは昨日まで、日本の市場を今後どうやって盛り上げていくか熱く議論してきました」と来日の目的を明かした。そして、集まったVWerたちを前に、こう宣言した。「本日、マーティン・サンダーが日本のトップに就任しました。本社として全面的なサポートを行い、日本の輸入市場でフォルクスワーゲンをナンバーワンの座に復活させることを目指します」。その力強い言葉は、ブランドの未来への固い決意として、会場の隅々まで響き渡った。
スピーチの後、シェーファー氏らはオーナーとのポップアップトークに参加し、ファンとの交流を深めた。最初に声をかけられたのは、黒い「ビートル」のオーナー。シェーファーCEOは「ビートルは我々にとって最初のモデルであり、世界にインスピレーションを与えたアイコニックな車です」とその特別な存在について語った。オーナーは、「高校生の時にドイツを訪れて以来、ずっとビートルに乗りたいという夢がありました。昨年、ようやくこの一台を見つけて購入しました」と語る。彼のビートルは、何も手を加えていない工場出荷状態のままだという。「乗ると自然に笑顔になるんです。この車にはそういう力があります」という言葉に、シェーファーCEOは深く頷いていた。
続いて、カラフルな「タイプ2」が並ぶエリアへ。生産担当のフォルマー氏は、目を輝かせながら「私が17歳で初めて買った車がこれでした」と自身の思い出を語り始めた。あるオーナーは、「結婚して子供が3人いるのですが、妻の『スライドドアの車ではない』という条件のもと、死ぬほど探してこの車を見つけました」というユニークな購入秘話を披露。「家族みんなで乗り、車内でお菓子を食べたりしながら、全く壊れずに元気に走ってくれる。本当に幸せです」と語る姿に、経営陣も笑みをこぼした。
現行モデルのコーナーでは、マーティン・サンダー氏が鮮やかなターコイズブルーの「T-Roc」に乗る女性オーナーに注目。「ずっと欲しくて、頑張って初めて買った車なんです」という彼女の言葉に、サンダー氏は深く感銘を受けた様子だった。そして、「実は、この美しい色は次世代のT-Rocで日本に導入する予定はありませんでした。ですが、今日あなたにお会いして、考え直した方が良いかもしれないと思いました」とコメント。ファンの声が、ブランドの未来の製品計画に影響を与えた歴史的な瞬間だった。
結び:未来への約束
イベントの最後、シェーファーCEOは改めてファンへの感謝を述べた。「ファンの皆様のフォルクスワーゲンへの熱い思いや情熱が、本当によく伝わってきました。日本市場にこれからもっと良い商品を持ってきて、皆様が乗り続けてくれるような製品を提供することをお約束します」。そして、「マーティンを中心に日本市場にしっかりとフォーカスし、ナンバーワン復活を目指します」と、その決意を再び力強く語った。
この「VW Weekend Meetup」は、単なるファンイベントではなかった。それは、ブランドのトップが直接ファンの声に耳を傾け、感謝を伝え、そして未来へのビジョンを共有する、極めて重要なコミュニケーションの場であった。CEO自らが約束した「ナンバーワン復活」という言葉は、日本のすべてのVWerにとって、愛するブランドとの未来を照らす、大きな希望の光となったに違いない。フォルクスワーゲンの日本市場における新たな挑戦が、今、ここから始まる。
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069
このクルマが気になった方へ
中古車相場をチェックする ![]()
ガリバーの中古車探しのエージェント
![]()
今の愛車の買取価格を調べる カーセンサーで最大30社から一括査定
![]()
大手を含む100社以上の車買取業者から、最大10社に無料一括査定依頼
![]()
新車にリースで乗る 【KINTO】
安心、おトクなマイカーリース「マイカー賃貸カルモ」
年間保険料を見積もる 自動車保険一括見積もり




