【トップギア試乗】アストンマーティン シグネット V8

ドライビング

道路ではどんな感触??

当然のことながら、V8シグネットの音が最初に聞こえてくる。そして、その音が聞こえる範囲にいるすべての人、つまり地球上の約60%の人が、常にその音を聞いていることになる。目で見た映像と耳で聞いたサウンドトラックが一致しないまま、この小さなシティカーは大量の回転数でエンジンをかけ、アイドリングでブルブルと音を立てている。ヴィクトリア朝の乳母車のようなプロポーションに430bhpを搭載することは、非常に強力であると言ってよいだろう。ヴァンテージよりも250kg軽いため、97km/hまで4.2秒で到達することができる。そして、もしあなたが十分な勇気と狂気を持っているならば、最高速度は274km/hになるだろう。これで十分。

車内では高い位置に座ることになるが、重心は低くなっている。これは、ドライサンプ式の4.7リッター430bhp V8をフロントに搭載したため、そうせざるを得なかったのだ。しかし、そのような大きな塊は、キャビンの半分ほど後ろに突き出ているのではないかと思うだろう。しかし、そういうことではない。実際、ペダルの位置が右にずれていることを除けば、1.0リッター4気筒を2倍のシリンダーと5倍の容量を持つモーターに置き換えても、パッケージング上のペナルティはあまりないように思える。しかし、通常の2倍のシリンダーと5倍の容量を持つモーターは、バルクヘッドを通してかなりの熱を発生させる。エアコンはあるけれど、フロントで大きなエネルギーを生み出すピストンと競争するときには、クールなあくびが出ちゃっているかのようだ。

当然のことながら、このエンジンが挙動のプロセスを支配している。小容量のターボエンジンの時代にあって、このエンジンはトルクを求めて懸命に働かなければならないが、スムーズでリニアな動きをし、トルクとパワーをリアトランスアクスルギアボックスとリアホイールに供給するという、とんでもないイベントを行っている。そう、このクルマはリアドライブのみで、アストンの有名な怠慢なスポーツシフト・オートマチック・ギアボックスを介しているのだ。確かに、7速オートはヴァンテージの長所ではなかったが、V8 シグネットは一から開発された生産車ではない。ギアを滑らせ、歯車を噛み合わせるのに時間がかかったりと、このギアボックスは非常に緩慢なのだ。しかし、ギアが噛み合ったときには、すぐに感覚が戻ってきて、すべてのパワーが与えられる。後輪のトラクションが驚くほど良好で、ソフトなスプリングを備えているため、スロットルを踏み込むたびに、ヴァンテージの巨大なリア・アンチロールバーの上にウイリーで戻ってくるのではないかと思うほど、空を向いてしまいそうだ。

回転数がレッドラインに達すると耳が喜ぶ。8気筒の金属的な音が鳴り響き、V8 シグネットがバックフリップしないことを祈りながら踏ん張る。そして、ブレーキペダルを踏み込むと、ヴァンテージのドナーカーの380mm/330mmのブレーキが作動し、スーパーシグネットはブレーキング時にターマックの下に潜り込もうとしているように見える。このような短いホイールベースで、しかもソフトなダンピング設定では、気が抜けないが、恐れることはない。ただ、馴染ませるだけだ。特にコーナーでは。

シグネットは、フロントとリアの独立したダブルウィッシュボーン・サスペンションと低重心により、十分なメカニカルグリップを発揮している。また、モータースポーツにインスパイアされたアラカンターラのクイックリリース・ステアリングホイールにより、フィードバックが強化された、ダイレクトで先鋭的なステアリングにより、何が起こっているのかを感じることができる。しかし、オーナーの意向によりトラクションコントロールやスタビリティコントロールは装備されていないため、ウェット路面ではリアエンドと短いホイールベースに注意しなければならない。幸いなことに、かなり本格的なミシュラン・パイロット・カップ2タイヤによって、グリップ力が高められている。ドライの状態ではね。しかし、ひとたびこのクルマに理解を寄せ、サスペンションとデフのセットアップの独特のニュアンスを理解すると(予想外にホイールを回すのが好きなのだ)、ボディが柔らかいスプリングに身を委ね、トラクションを収集し、わずかに逆方向にロックすると、荷物を積み込んでも遠くに発進できるような、素敵なバランスとポイントが発見できるのだ。濡れた路面を走るゴーカートに似ているね。

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