ONNAだらけのABARTHドライビングレッスン

プロ ドリフトドライバーの石川沙織氏による丁寧なレッスン

昭和も終わりかけの頃、「女だらけの水泳大会」というTV番組があってお色気を振りまいていたものだった。だが、平成を過ぎて令和に入った今行われている、アバルトのドライビングレッスンにおいて、お色気ムードは漸近線並みのゼロに近かったのだ。そこにあったのは、アバルトを愛する心、自らのドライビングテクニックの向上に真摯に向き合う姿、そして、友情だった。

アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)

SCORPIONNA DRIVEは、女性のための、全3回のアバルトのドライビングレッスンで、これまでに7月の筑波での開催があった。9月に行われた第2回目の名阪スポーツランド(奈良県)でのレッスンに、参加の機会をいただくことができた。

左から、インストラクターの村里氏、石川氏、FCAのティツィアナ氏、石川氏

左から、インストラクターの村里氏、石川氏、FCAのティツィアナ氏、石川氏

アバルトのロゴマークでもあるサソリのSCORPIONと女性のONNAをかけて、SCORPIONNAとは、なかなか洒落っ気のあるネーミングだ。特徴的なのは、講師、生徒ともに女性であること。当日は10台のアバルトオーナー車に、非アバルトオーナーの6名がアバルトの車両を借りて参加していた。用意されたクルマは、595C ツーリズモ(AT)、595 コンペティツィオーネ(MT)、124 スパイダー(MT)の3台だった。車両を借りた人の中には、「こないだAT限定から切り替えたばかりなんです」といった人もいたが、みなMTを器用に乗りこなしていた。講師はドリフトの元日本チャンピオンの石川沙織氏を筆頭に、ジムカーナ選手権にも参戦している村里早織氏、ダンロップのタイムアタックイベントで優勝経験のある石川愛氏と、3名すべて女性が務める。FCAジャパンのマーケティング本部長であるティツィアナ氏も当日会場を訪れ、開会の挨拶を行った。「イタリア語で女性はDonna、と言うんです。日本ではOnna、と言いますので、こんなことからもイタリアと日本の近さを感じられませんか」

アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)まずはコースウォーク。ストレート、左折の後、パイロンをすり抜け、右に180°旋回し、最後はフルブレーキで枠の中に停車する。石川氏からは、「ドライビングポジションはとても大事なんです」という話しを、実際にクルマに乗って解説してもらい、参加者の中には自己流で決めていたポジションを修正している人も多かった。いよいよ走行に入る。隣には、村里氏あるいは石川氏が乗ってくれ、毎回上達の指導を行ってくれる。ランチをはさんで走行は夕方まで行われていたが、全員のタイムが初回から縮んでいた。中には10秒以上縮められた人もいて、上達の度合いが伺えるレッスンとなっていた。石川氏は、「クルマの限界、タイヤの限界、自分の限界をどれだけ把握できるか。客観視できるかというのは、ドライビングにおいて非常に重要なことだと思います」と言っている。タイムが縮んでいった参加者は、全員がスピードアップの過程において、「ここまでは、いける」という感覚が養われてきたのではないかと思う。自分自身としては、走行を重ねるうちに、ラスト2ラップで、急加速後の急制動において、ブレーキペダルに「ガガガガッ」と振動がきて、ABSを効かせることができたこと。振動が来たあとにもひるまず、クラッチペダル(左)を切りながら、全力でブレーキペダル(右)を踏み続けることができるようになった。隣に乗って指導をしてくれた村里氏に褒められて、とても嬉しかった。

アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)

だが、一番最後に、インストラクターおよび石川氏のクルマに同乗走行させてもらえ、自分の感じていた「限界」がとても狭かったことを痛感させられる。スピード、パイロンの寄せ方、進入角度、すべてのレベルが別次元であり、もっと練習してみたい、と強く感じることになった。また、石川氏は、同乗でドリフトもしてくれ、これまで外からしか見たことがなかった景色が見られたことは貴重な経験となった。

アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)アバルト SCORPIONNA DRIVE(第2回)

コースに水をまく散水車に歓声が湧くのも女性の集まりならでは

途中には、見栄えの良いイタリアンランチや、おやつタイムには冷たいプリンのイタリアンドルチェを食べながら、みんなで楽しく語り合ったり、石川選手とカーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子氏とのトークショーもドライビングの疲れを癒やしてくれることになった。

アバルトオーナーの方にお話を伺ってみると、「ご近所ではちょっと浮いていまして(笑」という人もいたが、ここでは全員が「クルマ好き」という共通点ですぐに仲良くなれていた。奈良県で開催したことで、京都、大阪、奈良からの参加者が多かったようだが、みなさん、ラインを交換するなどして、また違ったコミュニティが生まれていた。そして、アバルトオーナーは、もっと自分のアバルトが好きになり、非アバルトオーナーは、次の購入検討材料となったのではないだろうか。MTが絶滅に近くなっている現在でも、設定があるアバルトは、女性のMT信奉者にとっても魅力的な存在だ。

最終の第3ラウンドは、10/19(土)福岡県 スピードパーク恋の浦ドリフトコースにて行われる。応募は下記のサイトから10/6(日)が締切。九州地方の方はぜひ参加してみよう。

http://bit.ly/2oBVqhr









注目記事




トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2019/10/19462/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ピックアップ

トップギア・ジャパン 064

アーカイブ