高級セダンやプレミアムSUVを探すとき、真っ先に思い浮かぶのはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディといったドイツ車だろう。しかし、世界にはドイツ勢の陰に隠れながらも、独自の美学とテクノロジーを磨き上げた魅力的なラグジュアリーカーが数多く存在する。しかも中古車となれば、その不当なまでの値下がり(不人気ぶり)ゆえに、驚くほどお買い得な価格で手に入るのだ。今回は英国トップギアが、わずか1,000ポンド(21万円)から狙える、ドイツ車「以外」の個性的で魅力的な高級中古車15台をピックアップ。英国車、フランス車、イタリア車、そして日本車など、人とは違う選択肢を求めるすべてのクルマ好きへ贈る、至極のオルタナティヴ・カタログをお届けする。

ジャガー XJ
長年にわたりアウディ、BMW、メルセデス、ポルシェの背中を追いかけながらも、決して彼らを打ち負かすには至らなかったジャガーは、おそらく英国のバイヤーにとって「非ドイツ系ラグジュアリー」の事実上の代表例だろう。素晴らしい出来のXEが、膨大な3シリーズの販売という大海原にさざ波すら立てられなかったという事実は、ジャガーがいかに巨大な方向転換を必要としていたかを証明している(そして今、それは正当に行われつつある)。登場予定の次期GTモデルは、先代XJが持っていた自信に満ちたオーラの一部をかすめ取っているようだ。これは本当に良いことだ。
しかし、もし新時代のジャガーを待てない(あるいは単純に高くて買えない)というなら、ここに控えめな11,000ポンド(240万円)で買える、手入れの行き届いた旧世代の車がある。しかも、これはXJスーパースポーツだ。503馬力という途方もないパワーを後輪だけに送り込む、荒々しいスーパーチャージャー付き5.0リッターV8エンジンをフル装備している。

レクサス LS
BMWとメルセデスに強烈な恐怖を与えた車。1989年のレクサスブランド立ち上げ以降に登場したすべての7シリーズとSクラスは、間違いなくこの車から焦りを伴うインスピレーションを受けているだろう。
特に、抜け目なく精巧に組み上げられたLSは、ホンダ NSXがスーパーカーの使い勝手に革命を起こしたのと同じように、大型リムジンのエンジニアリングに革命をもたらした。つまり、彼らを大いに震え上がらせ、結果として彼らのゲーム(競争)を劇的に研ぎ澄まさせることになったのだ。現代のLSなら10,000ポンド(215万円)以下で余裕で買えるが、ここはぜひ、90年代半ばの初代モデルへのノスタルジアに浸らせてほしい。それも、いかにも90年代らしいツートンカラーのブラウンゴールドで……。

ボルボ V90
現在、ボルボは「エステート(ワゴン)を副業とするSUVブランド」になっていると言っていいだろう。しかし、10年以上前は間違いなくその逆だった。V90はおそらく、巨大なスウェーデン製ワゴンの最後の生き残りになるかもしれない。このクロスカントリー仕様は、現代の多くのSUVが日々強いられている「働き馬」としての役割を引き受ける準備ができている。XCは最小限の騒ぎで荒れた道を駆け抜け、学校への送迎時のちょっとした駐車場の擦り傷も品よく受け流し、そうしながらも、ドイツ製の典型的なノームコア(究極の普通)な車たちよりもずっと穏やかで、攻撃的ではないように見える。多くの人にとって、それは魅力に欠ける要素(ターンオフ)かもしれない。しかし、賢明なあなたなら、これがより正当な選択肢であることを知っているはずだ……。

サーブ 9-5
かつてスウェーデンは「オルタナティブ・ラグジュアリー」の勢力であり、ボルボとサーブは、似たような見た目の企業の駐車場と戦うためのライバルというよりは協力者のように見えた。悲しいことに、ゼネラルモーターズ(GM)のケチな経営が、難解だが魅力的なサーブの未来を私たちから奪い去ってしまった。これは市場に出回った一握りの2代目9-5の1台であり、新時代を予感させながらも、最終的にはサーブの追悼の辞となってしまった車だ。この車は、奇しくも葬式にふさわしい漆黒に塗られている。
6速マニュアルギアボックスでかき回すガソリンターボエンジンを搭載しており、多くの意味で別世代の車だ。そして、走行距離が少なめでありながら6,000ポンド(130万円)以下というのはちょっとしたお買い得品だ。まあ、スペアパーツを探す幸運を祈るが……。

アルファ ロメオ 164
サーブ 9-5の家系図をもう少し遡ると、ハンサムな9000に出会う。これはフィアット クロマ、ランチア テーマ、そしてこの彫りの深い標本であるアルファロメオ 164とプラットフォームを共有する高級サルーンだ。これはメルセデスなどの強大な力に対抗するための、「数の暴力」の証明だった。
いわゆる「タイプ4」と呼ばれる基礎構造は、開発時間を数百万時間節したと言われており、現在私たちがステランティスやフォルクスワーゲングループなどで慣れ親しんでいる巨大なプラットフォーム共有化よりもずっと前から賞賛されていた。もちろん、アルファが一番見栄えが良い。そして「おそらく現存する中で最高の164」と評されるこの特定の個体には、この時代のアルファに真にふさわしい、響き渡るような24バルブの3.0リッターV6エンジンが搭載されている。たとえそれが、同時にサーブであったとしてもだ。

ベントレー フライングスパー
90年代のアルファロメオよりわずか1,000ポンド(21万6000円)多く払うだけで、2000年代のベントレーが買える。しかもシリンダーの数が2倍の車が、だ。フロントには、ごく最近まで21世紀のベントレーの代名詞だった6.0リッターのツインターボW12エンジンが鎮座している。確かに、この車はドイツのエンジニアリングのノウハウを採掘している(フォルクスワーゲンによるベントレーの買収のおかげであり、それがなければフライングスパーは存在しなかった)。しかし、クルー(ベントレーの本社)の得意技は、部品の共有化を、紛れもなく英国らしい本物のラグジュアリーの惜しみない層の下に隠し、統合することに常にあった。おそらく、このリストの中で最も費用対効果が高い(価値がある)車だろう……。

ホンダ レジェンド
いくらか勇敢なネーミングを付けられた車のリストは長い。見事にその名に恥じないもの(シュコダ スペルブ=素晴らしい、を見よ)もあれば、そうでないもの(三菱 カリスマ、を見よ)もある。この車はおそらくその2つの中間に位置するだろう。このページの上の方にあるレクサスと同じくらいのテクノロジーとエンジニアリングの知恵を披露しながらも、同じようなレガシーを残すことはできず、中古車市場で格安の価格以外を要求することもできない。SH-AWD(スーパーハンドリング・オールホイールドライブ)、VTEC搭載のV6エンジン、そして当時の数多くのプレミアム装備を備えて、たったの3,000ポンド(65万円)だ。これほどの車をこれ以上安く買えるなら買ってみろ、と言いたい。

アストンマーティン ラピード
その命名哲学によって生きるか死ぬかが決まるもうひとつの車だ。しかし、その長く豪華なボンネットの下に隠された栄光のV12エンジンが470bhp(476ps)と600Nmを発揮し、その結果0-96km/h加速が5秒、最高速度が302km/hに達することを考えれば、この車が「ラピード(Rapide=速い)」であることは間違いない。デザインも絶妙に熟成されており、ドアを2つ増やし、より広い後部座席を確保するためにホイールベースが延長されたおかげで、今では同時代のDB9よりもハンサムだとさえ言える。4人の人間を極上のラグジュアリーの中で移動させる、これ以上美しい方法があるだろうか? わずか34,000ポンド(735万円)で買えるとなれば、ほぼ間違いなく存在しないだろう……。

ルノー ヴェルサティス
「オルタナティブ・ラグジュアリー」について考えるとき、フランス車はしばしばその周辺でブンブンと飛び回り、腕を振り回して本当に目を引くものを提供してくる。全盛期には、シトロエン、プジョー、ルノーが同時に5シリーズのクラスのニッチな一角を占め、退屈で古臭い「普通」の代わりに、より見た目が良く、乗り心地が柔らかく、そしてより速く価値が下がる代替品を提供していたものだ。
その中でも最も奇妙な見た目(だが今となっては究極に魅力的)なのが、ルノー ヴェルサティスだ。これは同時代のアヴァンタイムの、ほんの少しだけ常識的な兄弟車である。イギリスで販売されているものは多くないと言わざるを得ないが、ありがたいことにヨーロッパ大陸にはたくさん生息しており、たった1,000ポンド(21万円)から取引されている。しかもV6エンジン搭載で、だ。
ユーロスターで出かけて、ルシャトル(カートレイン)で帰ってくる——誰か一緒に行かないか?

DS 9
DS(シトロエンの高級ブランド)が、なぜフランス大統領のチーム以外の人間にわざわざ自社のハローサルーン(ブランドを象徴する最高級セダン)を提供しようとしたのか、私たちには永遠に分からないだろう。しかし、そうしてくれたことには大いに感謝している。9は実にハンサムな車であり、個別に回転するアクティブLEDビジョンヘッドライト(オリジナルのシトロエンDSへの露骨なオマージュ)を含む宝石のようなディテールは、すべてが安っぽくならないギリギリのラインを保っている。そして伝統の教え通り、乗り心地はとてつもなく素晴らしい。新車時には、特に素晴らしいトリムを備えた1.6リッター4気筒のサルーンが、70,000ポンド(1,500万円)を超えて跳ね上がることもあった(いや、本当に)。中古になれば、その不名誉な引退からまだほんの数年しか経っていないにもかかわらず、そのほんの一部の価格で手に入れることができる。

ジェネシス G80
このリストの中で最も高価な車を予想するなら、ジェネシスがアストンやベントレーを上回るとは思わないかもしれない。しかし、この車は後者の香りを色濃く漂わせている。元ベントレーのデザインスタッフを起用したスマートな3ボックスのサルーンデザインを持ち、その翼のようなエンブレムは、車に詳しくない人たちにあなたの車が韓国製ではなくクルー(ベントレー)製だと思い込ませるかもしれない。
ガソリンモデルとデュアルモーターの電気自動車(EV)モデルが販売されており、今回紹介するのは後者で、価格は40,000ポンド(865万円)を少し超える程度だ。わずか2年前に登録され、走行距離が5,000マイル(8,000km)でありながら、新車価格(RRP)の半分近くにまで落ちていることを考えれば、悪くない。
乗って快適で、運転も滑らかで、公式保証がまだ何年も残っている。もしあなたが、これ以上の値下がり(減価償却)に耐えられる強靭な精神力を持っているなら、これは良い車だ。

Hyundai ジェネシス
英国におけるジェネシスの「実際の創世記(genesis)」は、このHyundai ジェネシスである。そう、この後に続くすべての車のエンジニアリングのルーツを隠すことはできない。しかしインフィニティ(日産の高級ブランド)とは異なり、ジェネシスは自らのテクノロジーとエンジニアリングのノウハウの多くが、より広範で大衆的な親会社から来ていることを恥じてはいない。
この少し味気ないV6搭載サルーンは、決して歴史に残る名車ではない——確かに、このリストのようにデザインの生意気さに満ちた中では特に——しかし、もしそれがあなたの好みなら、間違いなく信頼性が高く、レーダーの下をすり抜ける(目立たない)ように静かに走ってくれるだろう。10年以上前、私たちは50,000ポンド(1,080万円)のHyundaiの価値について議論したものだ。今や彼らはありふれた存在になり、毎年トップギアのアワードをかなりたくさんかっさらっていく。そして、最初にその海に出航した車は今、4分の1の価格になっている……。

マツダ クセドス 9
大衆ブランドがラグジュアリー路線に進出したもうひとつの例であり、そして、私たちただの人間を待ち受けるどんな破滅にも生き残れるほど、入念に設計されていることが一目でわかる、型破りにハンサムな車だ。5,000ポンド(108万円)以下で2.5リッターV6が手に入るが、英国で生き残っているのはほんの一握りに過ぎない。希少性を理由に買うのもいいし、ほぼすべての90年代のマツダ車(NA型ロードスター、FD型RX-7、MX-6、そして奇妙なほど美しい323F=ランティス)と同じように、その魅力は単に「とてつもなくカッコいいから」という事実に尽きるかもしれない。

キャデラック STS
素材選びに関して言えば、「オルタナティブ・ラグジュアリー」の定義を誰よりも知っているのは間違いなくアメリカ人だ。一方で、キャデラックが英国での展開を何度試みたか数えようとすれば、その日の残りの仕事時間をすべて無駄にしてしまうだろう。このSTSは、おそらく434回目(推測)の挑戦から生み出されたもので、ドイツ車による圧倒的な支配からパイを奪い取るべく、右ハンドルを装備した車たちが次々と送り込まれた時期のものだ。
販売台数を稼ぐために、小柄な3シリーズサイズの車「BLS」もあった(結局売れなかったが……)。昔のトップギアのテレビ番組で、地元ラジオ局を称える企画に登場したのを覚えている熱心なファンもいるかもしれない。広告によれば、英国に残っている大型サルーンのSTSはわずか5台であり、この個体は巨大なV8エンジンと「ワン・オブ・ワン(唯一無二)」のレッドペイントを誇り、価格は7,000ポンド(150万円)だ。

ボクスホール(オペル) オメガ
わかった、技術的に言えばこの車は「少しだけ」ドイツ製だ。実際には(ドイツにあることで有名な)リュッセルスハイムで、(ドイツの自動車メーカーとして有名な)オペルによって製造されたのだから、かなりドイツ製だ。だが、そのスピリットは確実に、私たちがここで求めている「非順応主義的」な性格に当てはまるだろう?
オメガは、この世界のサーブやアルファロメオと同じような、市場の左寄りのニッチな隙間にぴったりと収まり、誰がどう見ても運転するのが非常に楽しい車だった。カールトンとその派手なロータス派生モデル(ロータス・オメガ)の系譜を継ぐ、スマートな折り目を持つ後輪駆動車だ。パフォーマンスでセンセーショナルな新聞の見出しを飾ることはないだろうが、24バルブの2.6リッターV6エンジンは今でも170馬力の平穏なパワーと142mph(228km/h)の最高速度を発揮する。走行距離20,000マイル(32,000km)未満で、本当に羨ましいほどの整備記録(サービスヒストリー)を備えており、6,500ポンド(140万円)で「潜入捜査官の覆面パトカー」の雰囲気をたっぷり味わえる……。
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=海外の反応=
「信じられないほど醜く、快適で、攻撃的なまでに個性的で、そして奇妙なほど魅力的なシトロエンC6に敬意を表するよ。あと、メルセデスBクラスの超変わり種な対抗馬としてシトロエンDS5も特別賞をあげたい。もし君が、日本のデコトラに溶け込めるくらいクロームメッキがギラギラで、レザー内装のファミリーカーを探してるならね」
「本当に興味深いチョイスだね。ジャガーXJを所有してみたいけど、俺にはそんな勇気はないな。彼らには(故障しやすいっていう)『評判』があるからね。ボルボがたぶん一番賢明な選択だろうな。信頼性が高くて、快適で、モダンだし」





