フォルクスワーゲン ID.3 Neo 全情報——インテリア刷新・航続距離630km・物理ボタン完全復活で「本物のVW」が帰ってきた

フォルクスワーゲンが「ID.3 Neo」を発表した。2018年の初代ID.3以来、タッチ式ボタンへの全面依存と低品質なインテリアで批判を浴び続けてきたVWが、ここで全面的な白旗を揚げた形だ。物理ボタン群を配した新型ステアリングホイール、電動ウィンドウスイッチの4個化、ボリュームノブの復活、素材質感の大幅向上——インテリアはほぼ別物と言っていい。走りの面でも79kWhバッテリー搭載車のWLTP航続距離は630kmに達し、初代比で80km以上の延伸を果たした。グレード体系も「Trend・Life・Style」の3種類にシンプル化。2025年の中期大改革が、ライバルの韓国・中国EVに対するVWの反撃となり得るのか——その答えが、このID.3 Neoにある。


通常、クルマのマイナーチェンジなどそれほど興奮するものではない。ヘッドライトを少し弄って、2.6PS増やして、CIA訓練を受けないと気づかないようなアルミホイールのスポーク形状変更——それだけだ。

ところがフォルクスワーゲンは、2026年で最も包括的な——もしかしたら史上最も包括的な——マイナーチェンジをやってのけた。これが「ID.3 Neo」だ——VWによる、この8年間に対する公式謝罪文である。

スリムラインのボディシェルは、2018年から私たちが乗ってきた(そして手放しでは愛せなかった)あのID.3そのものだ。しかし、新バンパー、再設計されたボンネット、そして各部がでたらめにブラック塗装されたりステッカーだらけになっていないという事実——それですら、今回の目玉ではない。

目玉はインテリアだ。乗り込んでみると、そこには完全な発想の転換がある。ステアリングホイールの静電容量式タッチボタン〔※指で触れることを検知するセンサー式ボタン。初代ID.3で採用されたが、誤操作が多く不評を買った〕は廃止され、物理ボタンをグループ分けして配した新しい「スクワークル〔※squircleは正方形(square)と円(circle)の造語。角丸の四角形〕」型コントローラーに置き換えられた。ついに、だ!

その奥に鎮座する計器ディスプレイも刷新された。長年にわたって「速度と残量以外ほとんど表示できないほど小さくて地味」と批判されてきたが、ついにアップグレードされた。地図、トリップデータ、メディア情報——大人のクルマに期待される情報がすべて表示できるようになった。さらには「タッチスクリーンが存在せず、クルマの内装が理解できた時代」〔※つまり昭和・平成初期〕をオマージュしたレトロなアナログ風メーターも選べる。

そう、ID.3 Neoにもまだ大型タッチスクリーンは存在する——ただし間もなくソフトウェアアップデートによってレスポンスが向上する予定で、すでに初代ID.3の反応速度と比べれば格段の進歩だ。

しかしよく見てほしい。その下に、あの暗闇でまったく使えなかったタッチパッド式の音量・温度コントロールが消えている。代わりに物理式のトグルスイッチが横一列に並び、その下にはボリュームノブ。しかもナーリング加工〔※滑り止めのためのギザギザ加工。高級感と操作性の両立に寄与する〕まで施されている! まあプラスチック製ではあるが、それでいい。ここはベントレーじゃないんだから。

VWの最悪なコストカット判断のいくつかも撤回された。もはやドライバードアに電動ウィンドウスイッチが2個しかなく、タッチ式の「Rear(後席)」ボタンで後ろの窓を操作しなければならないなどということはない。スイッチはきちんと4個になった——最初からそうあるべきだったように。

電動ミラー調整のトグルスイッチも改善され、素材の質感も向上した。傷がつきやすく埃が目立つ「ピアノブラック〔※光沢仕上げの黒いプラスチック素材。高級感を演出しようとしたが、指紋や傷が目立つと不評〕」は排除された。プラスチックはより密度感があり、どっしりとして、まさに「ドイツらしい」仕上がりだ。シートは、もはやソビエト式公共交通機関から流用してきたような感触ではない〔※初代ID.3のシートはあまりにも安っぽいと酷評されていた〕。マッサージ機能さえ選べる。

これを自信を持って報告できるのは、我々がフォルクスワーゲンの言葉をそのまま信じたわけではないからだ。TopGear.comはVWが私たちの「アンチIDの叫び」(および世間中の声)に耳を傾けたと聞くや、自らドイツまで飛んで実際に座り込み、VWの謙虚なお詫びの味を確かめてきた。第一印象は明快——ヴォルフスブルク〔※ドイツ中部の都市。フォルクスワーゲンの本社がある〕は正しい軌道に戻りつつある。大人のために、大人のクルマを作り始めた。

ちなみにそこで経営陣が言い切ったのが、「ボタンは譲れない(non-negotiable)」という一言だ。

というわけで、このインテリアは今後続々と登場する新型VWにも展開されていくと思っていい。悪夢は終わった。

かなりの年齢になったクルマのインテリアを丸ごと刷新するというのは異例の戦術だが、VWはそこで止まっていない。韓国車や中国車に奪われた顧客を取り戻すべく、あらゆる手を打っている。ID.3 Neoは単により良いクルマになっただけでなく、より良いEVにもなった。

航続距離は79kWhバッテリー搭載車でWLTP値630kmに到達した——初代ID.3の同等バッテリーから80km以上の延伸だ。

そこまで大容量は要らないという人には、170PS〔※168bhp〕で最大417km〔※259マイル〕走れるエントリーモデルもある。中間が欲しければ、191PS〔※189bhp〕で480km超〔※300マイル以上〕のグレードも用意される。最上位では230PS〔※227bhp〕まで選べ、さらにホットなGTXバージョンも近日登場予定だ。

さらに、初代ID.3が新車時に採用していた「Pure Pro Performance S〔※日本語に直訳すると「ピュア・プロ・パフォーマンスS」。何を意味するのか誰にもわからないカオスなグレード体系だった〕」のような意味不明なグレード体系も一掃された。今は「Trend、Life、Style」の3種類だ。充電速度は上がり、アダプティブクルーズコントロール〔※前走車との車間を自動で保ちながら追従走行できるシステム〕はより賢くなり、収納スペースも増えた。

これほど「中期更新」に期待が持てるクルマが、かつてあっただろうか?

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新車にリースで乗る 【KINTO】
=海外の反応=
「プレスリリース写真に電動ウィンドウスイッチをわざわざ含めているのが最高。自分たちが先代でどれだけしくじったかをちゃんとわかってるってことだよ。それとステアリングホイールに空白のスイッチがあるのも気になった。ユーザーが自由に機能を割り当てられるようにしたら最高の機能になると思うけど」
↑「残念ながら、空白のスイッチはただの空白。それだけ。ドライバーアシストの警告音を切るにはまだタッチスクリーンを操作する必要がある。でもまあ、小さな一歩——彼らは学んでいる……」
↑「警告音を切る必要なんてないだろ。っていうか、VWのシュコダ〔※チェコの自動車ブランド。VWグループ傘下〕はとっくにステアリングホイールだけでドライバーアシストの切り替え含むほぼ全操作ができるじゃないか。なんであなたにはできないんだ?」
「そもそも初代がどうやって承認されたのかが最大の謎だよ。こっちは実際に運転できそうだ」
「エンジンが何であれ、これはただの良いVWハッチバックに見える。電気的なガジェットてんこ盛りじゃなくてね。『大人のための、大人のクルマ』——まさにそれ」
「相変わらず『小型ミニバン』的なデザインは好きじゃないけど、前よりはずっとマシ。インテリアは良いけど、どこか無機質でありきたり。もっと人間的な温かみ、もっと情熱、もっと心を動かすデザイン要素が欲しい」
「見た目がくどくて重そう」
「あとはフォードがフィエスタを復活させてくれれば……」
↑「フォードがルノー5のプラットフォームを使って小型EV2台を作ると発表したよ。たぶんフィエスタと次世代プーマだと思う。日産マイクラ〔※VWグループのMEBプラットフォームを使う予定と言われていた日産の小型EV。欧州向け〕より大幅に作り直されるらしくて、最初の1台は2028年発売になるとか」
「これをアメリカに送って、ラインナップから消えたゴルフの代わりにしてくれ」
「これって最初からこうあるべきだったクルマだよな。それと、IDシリーズを名前で呼ぶなら、『3』を外して『ID.Neo』とだけ呼べばよかったのに」
「『これほど中期更新に期待が持てるクルマはあるか?』って言うけど、フォード エスコートの最終型がたぶんそうだったと思う。すべての自動車ジャーナリストにボロクソに叩かれた最悪のクルマから、クラス最高の一台に化けたんだから〔※フォード エスコートは英国で長年販売されたコンパクトカー。1990年代後半のモデルは大幅な改良が功を奏した〕」
「この改善を残りのラインナップにも展開してほしいところ。ID.4に乗っていたせいで、次の買い替え時は意図的にVWグループのショールームを避けた。A地点からB地点への移動手段としては、初代IDシリーズは悪くなかった。快適で広くて静かだったし。でもそれ以外が、もうひどかった。クルマで苛立ちを覚えてはいけないのに、初代IDシリーズはそれをやってくれた。これは正しい方向への大きな一歩に見えるが、それでもあのディーラーに戻るのはまだ躊躇する」
「大きな進歩だ。ただ、これが2018年のビッグデビュー時と同じプラットフォームのままだというのも注目すべき点。時間をかけて性能、航続距離、充電の数値は大幅に向上してきた。今では紙の上では多くの新しいプラットフォームと同等以上の効率だ。シュコダ エニャク〔※VWグループのMEBプラットフォームを使うシュコダの電動SUV〕は現行BMW iX3とほぼ互角だし。プラットフォーム刷新には正直すごく期待している。クプラ ボーン〔※スペインのCUPRAブランドのEV。VWグループのMEBプラットフォーム使用〕はすでにルノー5より20%航続距離が長い。次世代はきっと良いものになるはずだ。いや、VWのためにも良くならなければならない」
「直してないじゃん。ステアリングホイールにまだあのバカみたいなシフトセレクターのレバーがあるだろ。独立したワイパーレバーをなくすためにそうしたんだろうけど」
↑「個人的にはドライブセレクターがステアリングコラムにあるのは好きだけどな。センターコンソールがすっきりするし」
↑「でもワイパーは絶対的にシフトセレクターより使う頻度が高いのに、操作が異様に面倒になる。しかもうっかりライトを点滅させてしまいやすい。あの仕様の車を1週間乗り回したけど、本当にしんどかった。EVにフルサイズのシフトレバーなんて必要ないんだから、小さなノブで十分だろ。ステアリングホイール上の貴重なスペースをそんなことに使うな」
「ここ数年のVWで最高の製品になりそうだ。なんかゴルフ Mk.IV〔※1997年から2003年まで生産されたゴルフの第4世代。シンプルながら上質なインテリアで今も高く評価されている〕のオーラがある」
「好きだ、これ。派手すぎず、やりすぎでもない。デジタルメータークラスターも気に入ったし、物理ボタンが豊富なのは本当に気持ちいい。VWがこの路線でセダンやエステートも作ってくれたら最高なんだが」

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