2月20日にハーレーダビッドソンジャパンは19車種の2026年モデルの発表を行った。会場となった二子玉川の「ライズ」にはそのうちの12台が展示されたが、中でもグランドアメリカンツーリングカテゴリーで新型Milwaukee-Eight 117 VVTエンジンを搭載した「ストリートグライド リミテッド」や「ロードグライド リミテッド」、そしてスポーツカテゴリーで150万円を切る価格を実現した「ナイトスター」など注目のモデルがお披露目となりメディアの注目を集めた。発表会では新型車種の紹介に加え、玉木一史代表による日本市場における新戦略についてのプレゼンテーションも行われた。2026年のハーレーダビッドソンがどのように変わっていくのかご紹介したい。
昨年の輸入二輪車のマーケットは25,073台と前年を5%ほど下回る実績となった。その中でハーレーダビッドソン(以下ハーレー)は6,948台を販売し、輸入車ブランドのなかではトップの27.7%のシェアを記録している。前年からはわずかに販売台数を減らしているものの王者としての地位は変わっていない。令和2年には845万人いた大型二輪免許保持者は令和6年には740万人に減少しており、一見すると二輪市場は縮小しているように見えるが、ハーレーダビッドソンジャパンの代表取締役社長である玉木一史氏によればコロナ禍での一時的な販売増加はあったものの二輪の市場は毎年安定しているという。そしてこれからは限られたパイの奪い合いではなく、この市場自体を大きくする活動にハーレーは力を注ぐという。
コミュニケーションに徹した一年
昨年1月に代表に就任した玉木氏にとって2025年は「対話の年」であった。ディーラー、スタッフ、そして何よりも顧客との接点を増やし、イベント参加や徹底的な調査を通じて生の声を拾い続けた。その結果見えてきたのは、「なぜ人はハーレーを買うのか」という本質的な問いであった。
玉木氏の考える強いブランドの定義は「唯一無二」であることだという。ハーレーの中心にある絶対的価値観は「自由」である。そして「自己表現」、「仲間意識」、「歴史と伝統」、「反骨精神」、そして「カルチャー」などという付随する価値観がブランドを形作る。すでに「いつかはハーレーに乗りたい」と誰からも「憧れられる」強いブランドであるが、ゆえに「いつか」がそのまま置き去りにされてしまっていること、そして「自分にはまだ早い」と考えている顧客が意外と多いことに対話の中から気付かされたという。
そこで玉木氏は「なぜ人はハーレーを買うのか」という問いをコミュニケーションの柱に据えることを決めた。実際にバイクを購入するには、お金の問題、家族の反対、事故の不安、保管場所など様々なハードルが横たわる。しかし、昨年で言えば6,948人のオーナーがそのハードルに立ち向かい、見事ハーレーのオーナーとなった。ブランドとしてはまずはプロダクトの良さを伝えるコミュニケーションが最も重要だと思われるが、玉木氏はそれ以上に顧客のハーレーに対する情熱が、どのように購買のハードルを乗り越えさせたのかを掘り下げていきたいと語る。「どんな人がどんなタイミングでどんな迷いの中や覚悟の中でその選択に至ったのか…」。2026 年はハーレーのオフィシャルYouTubeなどを通じてその顧客ひとりひとりの勇気を明らかにし、そして共有することで心理的なハードルを下げる取り組みをしていく予定だという。
そしてもう一つはこれまでのコミュニケーションで使われていた言葉を再定義することだという。アメリカ人の感じる「自由」と日本人の感じる「自由」は必ずしも一致しない。アメリカは個人主義的な権利を主張する「自由」がベースとなるが、日本人の考える「自由」はもう少し精神的なもので、例えばハーレーに乗ることで「自分を取り戻す」とか「再起動する」などといった意味が近いと顧客との会話の中で感じたという。窮屈な社会の中を生きる人たちがハーレーとともに過ごし、自分らしい「自由」を手に入れてもらえるようなきっかけとなるブランドコミュニケーションを展開していくという。
まだ、具体的にその方法は明らかにされていないが、玉木代表の口調からも強い自信を感じ取ることができた。
「三方良し」という言葉がある。これは近江商人の考え方で「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三つの利益を同時に追求するビジネス哲学である。ハーレーに置き換えると「メーカーよし、ディーラーよし、顧客よし」に当たるが、ハーレーはこれにもう一つ「将来よし」の4つ目の「よし」を追い求めるという。今年のコミュニケーションの変革は将来に渡り安定したビジネスを継続し、ブランドの価値を高めていくためのいわば「種まき」となる。これまでの歴史や文化にあぐらをかくのではなく、絶えず新しいものに挑戦していく姿もハーレーのブランド精神を明確に示していると感じられる。
「ハーレーのある人生」がどれほど素晴らしいものであるか...それはそれぞれの顧客の中だけにありこれまで社会に対してきちんと伝えられていなかった。そんな想いをきちんと「言葉」として伝え、「可視化」する作業が今年から始まる。
ハーレーダビッドソンと“共にある人生を選ぶ”人々を大切にしたい
一方、2026年のハーレーはコミュニケーションだけではなく、顧客とブランドのリアルな現場での積極的な接触機会の創造にもこれまで以上に力を入れるという。
「ハーレーダビッドソンと“共にある人生を選ぶ”人々を大切にしたい」というスローガンのもと、体験機会のバリエーションのアップデートを行い、量、質ともに充実させる。例えば「ライド・オン・ツアー」と呼ばれる最新モデルの試乗・乗り比べ体験会については全国約10カ所で開催を予定する。そして、免許は持っているものの、ライディングに不安を感じておられる方々向けには、ハーレーが世界各国で展開中のスキルライダートレーニングを各地で展開する。教習所への車両の導入、免許取得費用のサポートキャンペーンである「パスポート・トゥ・フリーダム」も継続して展開し、ハーレー公式レンタルプログラムも再編成し拡充していく予定である。
玉木氏は、これらのプログラムを通じてお客様の日々の暮らし(ライフスタイル)の中にハーレーを選ぶ理由が本当にあるのかを「頭」ではなくて「体験」として確かめてもらいたいと語る。
さらには来月3月にハーレー公式アパレル専門店を東京・新宿にオープンする予定だという。ハーレーの熱烈なファンはもとより、これまで接点のなかった人々への新たなタッチポイントとなることが期待される。
19車種の充実した2026年モデルのラインナップは整った。あとはハーレーのある豊かな人生のためにそっと背中を押してあげることだ。これを販売施策などと簡単に切り捨ててほしくない。ハーレーの真の目的は二輪市場を活性化させ、そして仲間との絆を広げていくことである。ハーレーは本気で仲間と楽しめる時間を提案している。2026年はその扉がさらに大きく開く年となる。ちょっとだけ勇気を出してその扉をノックしてみてはいかがだろうか。どの扉を叩いても必ずあなたを仲間として受け入れてくれるはずである。
【編集後記】
20分と言われていたインタビュー時間が大幅にオーバーしてしまった。今回書ききれていないテーマも多々あるが、それは玉木代表の話が実に明快で面白く、そして将来のあるべきブランドの姿を予感させる楽しい会話だったからかもしれない。一番強く感じた印象は代表の「視線の先」にあるものである。ブランドの代表ともなると本社との折衝などが主な業務となり、なかなか現場の声に直接向き合うことができないが、玉木代表の向いている方向は常に「ディーラー」であり「顧客」という「仲間」であることがインタビューを通じて感じることができた。かっこいい言葉でブランドを飾り立てるのではなく、「生の声」を集めて語られる言葉には説得力があり、また「仲間のリーダー」としての高い信頼感を感じることができる。「仲間のリーダー」だからメンバーが楽しいと思うことを真剣に考える。「仲間のリーダー」だから喜びを分かち合える仲間を増やしたいと真剣に思う。そんなブランドの姿勢にワクワク感が止まらない。
今年もハーレーは何かをやってくれそうである。発表会でいただいたカタログを眺めながら私も「いつかはハーレー」の「いつか」に立ち向かっても良い時期なのではと感じている。
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