【TAS 2026】900万円で「週末レーサー」になる最短ルート。ケータハム カップ ジャパンが提示する“全部入り”の誘惑

レースとは、金持ちが道楽でタイヤを燃やす遊びだと思っているか? その偏見を、英国のバックヤードビルダーが粉砕しに来た。「ケータハム・カップ・ジャパン」。これは440kgの麻薬的マシンで、公道からサーキットへ直行する招待状なのである。

440kgの“バスタブ”で、物理法則をあざ笑え
現代の車は太りすぎだ。安全装備、快適装備、そしてバッテリー。まるで脂肪吸引が必要なほど重くなったスポーツカーたちを横目に、ケータハムは相変わらず「軽さは正義」という宗教を信仰し続けている。

東京オートサロン2026で発表された「SEVEN 170 CUP」。このマシンの乾燥重量は440kgだ。もはや自動車というより、エンジンのついた4輪のオートバイに近い。搭載されるのはスズキ製の658ccターボエンジン。最高出力は85psだが、この数字を見て鼻で笑った者は、パワーウェイトレシオという概念を学び直すべきだ。440kgの車体において、85psは十分すぎるほど刺激的であり、ドライバーの未熟さをすべて露呈させる残酷な数字でもある。

「ナンバー付き」という、英国流のダンディズム
今回発表されたレースシリーズ「CATERHAM CUP JAPAN」の最大の魅力は、レギュレーションが「ナンバー付き車両」であるという点だ。
これは極めて重要な意味を持つ。つまり、日曜日の朝、自宅からこのセブンに乗り込み、コーヒーを飲みながら自走でサーキットへ向かい、レースでアドレナリンを垂れ流し、そのまま自走で帰宅できるということだ。積載車の手配も、ピットクルーの雇用もいらない。これこそ、古き良き英国のジェントルマン・ドライバーのスタイルではないか。

開催は2026年から。「ペトロナスシリーズ(東日本)」と「オベロンシリーズ(西日本)」に分かれ、それぞれ年間3戦が行われる。そしてシリーズチャンピオンには、2027年にマレーシア・セパンで開催される「K car GLOBAL 24H Endurance」への参戦権が与えられる。近所のサーキットで遊んでいたはずが、気づけば国際サーキットの24時間耐久レースに放り込まれるわけだ。夢があるじゃないか。

898万円は高いか、安いか? 電卓を叩いてみた
さて、気になる価格の話をしよう。販売価格は8,987,000円(税込)。
「軽自動車規格の車に900万だと? 正気か?」と叫ぶ前に、冷静になって内訳を見てほしい。
この価格には、車両本体(SEVEN 170R)に加え、レースに必要なロールケージ、6点式ハーネス、消火器、バッテリーカットオフスイッチなどの安全装備一式が含まれている。さらに、3戦分のレースエントリーフィー(55万円相当)まで込みだ。

通常、これらを個別に揃えていけば、軽く1000万円を超える。プレスリリースによれば、通常総額より約200万円もお得な「特別モデル」なのだ。
タイヤに「ADVAN dB V553」という、ハイグリップタイヤではなくコンフォートタイヤをチョイスしている点も憎い。絶対的なグリップに頼るのではなく、マシンの挙動を感じ、スライドをコントロールする技術を磨けというメッセージだ。初心者が腕を磨くには最高の教材であり、ベテランにとっては誤魔化しのきかない恐怖の相棒となるだろう。

「売って終わり」ではない、サポート体制
レースへの参戦を躊躇させる最大の要因は「メンテナンス」だ。だが、ケータハムはここでも手厚い。全国に「CATERHAM SPORT HUB」を設置し、レース前インスペクションから当日のサポートまでを包括的に行うという。

つまり、あなたはヘルメットとレーシングスーツを持って、体ひとつでサーキットに行けばいい。あとはメカニックたちが、あなたの愛機を最高の状態に仕上げて待っている。

このパッケージは、単なる車の販売ではない。「レーシングドライバー」というライフスタイルの販売だ。重厚長大で退屈なEVにお金を払うくらいなら、この440kgの鉄パイプの塊に人生を賭けてみるのも悪くない。
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インタビュー
「レース未経験者こそ歓迎」—その真意とは
この新たなレースシリーズの狙いについて、ケータハムカーズ・ジャパン(エスシーアイ株式会社)広報の森田恭平氏に聞いた。
— 2026年からスタートする「ケータハム・カップ・ジャパン」、非常に野心的なプロジェクトに見えます。改めて概要を教えていただけますか?
森田氏: 私たちは東日本シリーズと西日本シリーズをそれぞれ3戦ずつ、合計6戦を開催する予定で準備を進めています。ベースとなる車両は、ラインナップの中で最も軽量でお求めやすい「170」を使い、今回専用のCUP仕様を作りました。車両価格に参戦費用まで含めるなど、徹底した価格戦略を意識したプログラムになっています。
— 正直なところ、サーキットの敷居は高いと感じる人も多いです。レース未経験者がいきなり飛び込んでも大丈夫なのでしょうか?
森田氏:はい、むしろレースをやったことがない方にこそ楽しんでいただけるパッケージにしています。そのために、全国に「ケータハム・サポートハブ」という拠点を設けます。正規ディーラーと我々インポーターが協力して、サーキット走行前のメンテナンスや当日のサポートを行う体制を整えますので、知識がなくても安心してください。
— つまり、プロのメカニックがついてくれるわけですね
森田氏: その通りです。金額面でも、通常のケータハムを購入して後から改造するより、圧倒的に格安で本格的なレースを楽しめるような設定にしています。「いつかはレースを」と思っていた方の背中を押す、そんなシリーズにしたいと考えています。
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