Jeep初の全国キャラバン「ピンクラングラーキャラバン」がスタート。ピンクのラングラーが全国を巡り、オフロード体験会も開催される。幅広い層に「ジープって面白い」を体感してもらうのが狙いだ。オーナーの声やSNS戦略、今後のイベント計画から、ジープの「遊び心」溢れる新たなブランド戦略に迫る。
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ブランドとして初となる全国キャラバンイベント、「ピンクラングラーキャラバン 見て、走って、体感しよう!」が7/25から12/23まで開催され、スタート会場であるジープ世田谷に行ってきた。ピンク色にラッピングされた3台の「Jeep® Wrangler」が、キャラバンスタイルで全国のジープ正規ディーラーを巡る。車両側面には「ピンクラングラー」のサインとQRコードがデザインされ、先頭車両の屋根には特大サイズの「Jeep Duck」が乗せられる。「Jeep Duck」は、Jeepオーナー間で広がるアヒルのおもちゃをJeepに置くムーブメントに由来しており、人と人のつながりを象徴する。キャラバンは東京を皮切りに全国各地を巡り、九州でフィナーレを迎える予定だ。ジープ世田谷をはじめ、各拠点の特設会場または正規ジープディーラーでは、プロドライバーの運転によるオフロード体験会が実施される。「Jeep® Wrangler」の高い走破性と機能性を実際に体感できる機会であり、参加者には「Jeep キャラバン Wrangler × Duck オリジナルトートバッグ」がプレゼントされる。また、キャラバンの巡回対象外となる一部ディーラーにおいても、巡回時期に合わせて試乗キャンペーンが実施される。詳細およびイベントスケジュール、開催地情報、体験会の様子などは、特設ウェブサイトで随時更新されるとのことだ。
ステランティスジャパンの広報ダイレクター、南出留理氏は、ジープの夏のプロモーション活動とブランド戦略について語った。
南出氏は、ジープのフラッグシップモデルである「ジープ ラングラー」のようなアイコンモデルについて、「間違いがない」と表現し、その確固たる地位を強調した。その上で、より多くの人々にジープを身近に感じ、楽しんでもらうことを目指し、積極的に外へ出ていくプロモーションを展開していると述べた。
今年の夏は、以下の3つのキャンペーンが主要な柱となる。ピンクラングラーキャラバンの他にも、ラングラーは、映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』とのコラボレーションを実施している。車体には恐竜の爪痕を模したステッカーがデザインされており、同映画で実際にラングラーが使用されている映像も流れる予定だ。シンガポール初の絞りたてオレンジジュース専門店「IJOOZ」とのコラボレーションもまもなくリースされる予定だという。これらのキャンペーンに共通するのは、「ジープって面白いよ」というメッセージを伝えることだ。ターゲット層を「ワイルドでキャンプ好きの50代男性」といった限定的な層に絞るのではなく、「ファミリーでも個人でも、ジープを存分に楽しんでほしい」というように、幅広い層に門戸を開いたプロモーションを目指していると説明した。
「『ファミリーユース』という言葉は、本来実用性や快適性を重視するベルランゴのような車に用いられることが多いです。しかし、ジープの場合、その言葉が、むしろ趣味としてジープを愛する人々に疎外感を与えかねないという懸念があります」と述べ、ジープが目指すのは、特定の層に限定されることなく、「お子様からお年寄りまで、すべての方にジープを楽しんでいただきたい」という世界観であると説明した。ジープは、オーナーだけでなく、学生や子どもを含む誰もが「ジープって面白いね」と思える、開かれたブランドとしての打ち出しを目指している。
ジープの魅力は「遊び心」にあり、「遊んだもん勝ち」という感覚が共有されているとした。たとえ車を所有していなくても、ジープの存在自体を楽しむことができる点が重要だと強調した。
ジープの魅力は、価格帯やレアな存在感だけではなく、「どれだけ多くの人が面白い、楽しいと思ってもらえるか」にあると説明した。「これっていい車だね」と感じてもらうことが重要であり、それぞれの車にストーリー性があり、ユーザー自身の思い入れや楽しみが強く反映されるような車づくりを目指していると語った。
ピンクラングラーのピンク色はラッピングによるもので塗装とは異なるが、以前販売された際(2024年9月に「トゥスカデロ」という深みのあるピンク色をボディカラーに採用した限定車)には「ものすごい評判だった」と振り返った。黒や白といったリセールを意識した色とは異なり、ジープには「色のきらびやかさ、はっと人目を引く要素、そしてその強烈な思い入れがある」色が人気であるとしている。当初は男性がピンクをどう受け止めるか懸念があったものの、非常に評判が良く、他の車では真似できないような、「目に立つ」独特の世界観が評価されているようだ。
ジープ世田谷店支店長の渡邊大貴氏に、同店の顧客層、販売戦略、そしてジープ全体の魅力について話を聞いた。
ジープ世田谷店は、2005年と古くからある店舗である。顧客層は30代から40代が中心で、これはジープ全体のターゲット層とほぼ一致しているという。世田谷エリアだけでなく、川崎や横浜方面からの顧客も多く、特に遠方からは関西からの顧客や、関東圏内では埼玉からの顧客も訪れることがある。これは、特定の店舗でしか新車が手に入らない場合などに顕著に見られる傾向だ。同店が選ばれる理由としては、「ここにジープがある」という高い認知度と、二子玉川などレジャースポットへの近さから「遊びに行きやすい」という点が挙げられる。また、良質な中古車の品揃えも魅力の一つとなっている。
他社からの乗り換えも多く、特に「面白みが少ない」と感じた国産SUVからの乗り換えで、ジープの「遊び心」が評価されているという。メルセデス・ベンツなど輸入車からの乗り換えも少なくない。ジープの主な使用方法としては、世田谷店周辺の顧客は日常使いよりも週末のレジャーでの使用が多く、積極的にオフロード走行を行う顧客は少ない傾向にある。人気モデルは「ラングラー」が圧倒的だ。コンパスからラングラーへ、またはその逆の乗り換えも見られるが、「いつかはラングラーに乗りたい」という顧客が多いという。アベンジャーなどフルラインナップが揃ってきていることは、販売上、好影響を与えていると述べた。
渡邊氏は、ジープの魅力を以下の点にまとめた。個性的なデザイン: 国産車にはないものを求める顧客が多い。「被りたくない」という心理: 他の人と同じ車に乗りたくないという顧客のニーズに応えている。頑丈な作り: ドアの作りや車全体の「強そうな感じ」も大きな魅力である。親しみやすさ: メルセデス・ベンツやBMWほど「悪が強くない」「嫌味じゃない」印象で、輸入車の中では比較的入りやすい位置づけにある。
渡邊氏は、「ピンクラングラー」キャンペーンの成功を通じて、世田谷店だけでなく日本全体でジープが盛り上がることを期待していると述べた。実際に車に乗って体験してもらうことが重要だと考えている。
ジープ世田谷店の雰囲気については、清潔感があり、環八に面しておりアクセスが良い点を挙げた。スタッフの平均年齢が30歳と若く、明るい雰囲気で教育が行き届いているという。多くのスタッフがジープ好きであり、「アクティブな車にアクティブなスタッフがいる」という良好な状況は、他の店舗のお手本となる強みである。新規顧客の割合は半数近くに達しており、SNSや展示会を通じて積極的に新規顧客を呼び込む施策を展開しているとのことだ。
ジープのプロダクト・ジェネラルマネージャーを務める渡邊由紀氏に、ジープの新たなキャンペーン戦略、特にピンクラングラーのキャラバン、SNS活用、そして今後のイベント計画について詳しく話を聞いた。
渡邊氏によると、新たなキャンペーン発想の原点は、昨年末に実施した20名ほどのラングラーオーナーへのオンラインインタビューにあったという。その際、購入のきっかけとして「街中で見かけたから」「リアルで見てかっこよかったから」という声が非常に多かったことが判明した。
この結果を受け、実際に車を街中で走らせるのが最も効果的だという発想から、「ピンクラングラーキャラバン」の企画がスタートしたと説明した。アメリカのInstagramで10台以上のピンクのラングラーが走行しているのを見て着想を得て、日本でも派手なピンク色のラングラーにアヒルのフィギュアを乗せるというアイデアが生まれたという。
当初は単にピンクラングラーを走行させるだけの予定だったが、ジープのワイルドさを理解してもらうため、主要ディーラーを巡るキャラバンへと発展した。20以上のディーラーが参加を表明し、ディーラーの駐車場を活用することなど効率的に実施している。キャラバンはルートが多岐にわたりながらも、最終的には九州の熊本まで巡る予定だ。キャラバンが訪れないディーラーでも、「試乗キャンペーン」として通常のオンロード試乗会を実施し、全ディーラーがこのイベントに参加する形を取っている。
渡邊氏は、オーナーからの声は販売を伸ばす上でたいへん重要であると認識していると強調した。価格が上がっている現状で、それでも購入する顧客の声を吸い上げて広げていくことが重要だと考えている。ラングラーオーナー層の多様性についても言及された。インタビュー対象は20代から60代まで幅広い層に及んだという。60代の女性社長が街でラングラーを見て一目惚れした話や、20代の男性が現金一括で購入した話が紹介された。ジープとは「誰にでも似合う車」であり、芸能人だけでなく20代の女性(ジープ女子)にも人気がある点が強調された。
SNS戦略としては、Instagram専用アカウントの@pinkwrangler_caravanでキャラバンの素材を随時アップロードしている。どなたでも、ハッシュタグ「#ピンクラングラー」を付けて投稿していただければ、抽選でJeepオリジナルDuckサコッシュが当たるプレゼント企画も実施している。ジープではTVよりもYouTubeなどの動画媒体が重視されており、ジープもローカルな動画コンテンツの制作を強化している。新たな動画コンテンツでは、従来のオフロードの荒々しいイメージだけでなく、「子育てに優しい」ラングラーの側面や、女性でも運転しやすい点、小回りが利く意外な機能性にも焦点を当てているという。これは、ユーザーからのフィードバック(双子が生まれた男性オーナーの体験談)を基に企画されたものだ。
今後のマーケティング戦略として、限定車の販売においても、従来のようなディーラーフェアでの盛り上げだけでなく、1ヶ月前から動画やSNSで発信し、顧客が購入意欲を持って来店するような戦略にシフトしていると述べた。年末までのその他の動きとしては、2年ぶりに苗場のキャンプ場内で開催される「ジープキャンプ」が挙げられる。オフロードコースの設置に適しており、ジープオーナーだけでなく、夏のレジャーを楽しむ顧客層にもアピールできると期待されている。オーナー専用ラウンジの設置も予定されており、オーナー同士の交流も促されるという。また、新宿での『ジュラシック・ワールド』とのコラボイベントも進行中である。
オフロード体験会に参加した方々にお話を伺った。
ジープラングラーのオーナーである上原さん(35歳)は奥様と5歳の息子さん、2歳の娘さんの家族4人で参加。現在所有する2025年式ラングラーは今年2月に購入したばかりだという。
以前はマツダのSUVに乗っていたという上原さんだが、昔からラングラーの見た目が好きで「いつか乗りたい」と憧れていたと語る。念願が叶った今回の購入について、家族の反応は非常に良かったようだ。特に息子さんはジープに乗り換えたことを大喜びしており、エンブレムを見ただけでジープを識別できるほどだという。以前からラングラーのおもちゃで遊んでおり、この車に乗りたいとずっと言っていたそうだ。奥様は運転しないものの、マツダ車からの乗り換えで「目線が高くなった」と気に入っている。
乗り心地については、国産車からの乗り換えで不安があったものの、「乗り心地も悪くない」「全く問題なく、大丈夫だった」と語り、覚悟していたよりも快適だったとのこと。購入のきっかけは、年始のキャンペーンを利用できたことと、自宅から近い世田谷店で購入を決めたという。
最近は「グランピング」のようなトレーラーハウスに滞在するキャンプを始めたという上原さん。キャンプサイトでラングラーの横に立つと「映える」と笑顔で話した。ラングラーを購入して良かった点として、以下を挙げた。
「誰に見せても褒められること、インパクトがあり、目立ちます。近所でも被ることが少なく、『一目置かれる』存在であると感じています」
ジープを所有していない一般参加者の柏原さん(56歳)に、疑似オフロード体験を通してジープの印象を語ってもらった。現在の車はトヨタのシエンタだという。
柏原さんは、SNSでイベント告知を見て参加したと話す。車が好きで、普段アウトドアに行く機会がないため、街中走行ではない「疑似オフロード体験」ができることに魅力を感じたという。購入予定はないものの、貴重な体験ができるとして参加を決めたそうだ。
ジープに対する知識やイメージについては、幼少期から三菱ジープを見て育ったため、ジープのかっこよさや、普通の車にはない独特の形状に魅力を感じていたと語った。ハードトップよりもソフトトップのイメージが強く、「夏は暑く、冬は寒い」というイメージを抱いていたと明かした(実際には乗ったことはないとのこと)。
疑似オフロード体験では、最初はどのような感覚になるか分からなかったものの、60cmの高さの乗り越えや20度の傾斜を体験したという。助手席側に傾いた時は怖さを感じなかったが、車体の片側が急に上がった際には「横転するんじゃないか」と感じるほどだったとのことだ。しかし、それでも車が横転せずに安定していたため、ジープに対する「信頼性」を感じたと述べた。このような体験は珍しく、他の車では体験できない貴重な機会だと評価している。
普段の車の使い方としては、日常の買い物や移動が中心だが、月に2回ほど片道150kmの移動(下道で3.5~4時間)をこなし、運転自体は好きだという。年に数回、片道400~500kmの旅行も高速道路を使って行っている。
今回の体験後、その快適性も含め、ジープに対するイメージが「だいぶ良くなった」と語った柏原さん。以前はオンロードの速さや操作性を重視する傾向があったが、今回の体験を通じて、「今度は山に行って、オフロードコースを走ってみたい」というイメージが広がったと述べ、子どもたちも喜ぶだろうと話した。また、ジープオーナーはイベントやキャンプ場で集まり、仲間のような交流があることにも魅力を感じているようだ。
ジープは、YouTubeやInstagramなどのSNS戦略を展開し、従来のオフロードイメージだけでなく、「子育てに優しい」ラングラーの側面や、女性でも運転しやすい点、意外な機能性にも焦点を当てた動画コンテンツを制作している。今後は、限定車の販売戦略もSNS活用を強化し、8月には2年ぶりの「ジープキャンプ」など、オーナーとファンが交流できるイベントも予定されており、ジープは今後も「遊び心」を追求し、より多くの人々にその魅力を広げていくことだろう。
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