プロドライブ P25試乗:スバル インプレッサ WRC97を現代風にアレンジした1億円マシンが伝えるもの


552,000ポンド(1億円)

コリン マクレーの亡霊を彷彿とさせるこの栄光に満ちたマシンは一体何なのか?
プロドライブ P25(Prodrive P25)。これは、スバル インプレッサ WRC97を現代風にアレンジした、スバルの世界ラリー選手権栄光の日々へのラブレターをかたちにしたもの。悪名高いけれど、みんなの記憶にぶっ刺さっている22Bを覚えているだろうか?あれはラリーカーの成功を祝して作られたものだ。

プロドライブ P25は、グランツーリスモ世代のためのハイエンドなレストモッドで、シンガーのポルシェ911を "再構築"したようなものだ。だが、そこに気取った上品さはなく、運転すると、めっちゃ楽しい一台である。

P25は、昨年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで初公開され、プロドライブが25台を製造すると発表したことを覚えているだろうか。1台あたりの価格は、税金や諸費用を除くと46万ポンド(8,390万円)となり、英国で実際購入するとなると、552,000ポンド(1億円)となる。しかし、わずか3日後には25台すべてが予約で埋まってしまった。ある人は2台も買っていったそうだ。羨ましいとしか言いようがない。

詳しく教えて、プリーズ!
プロドライブ P25は、スバル インプレッサ WRC97のラリーカーをイメージして作られた。ライバリー(デザインやスポンサーロゴ)は除いて。ボディの約75パーセントはカーボンファイバー製で、P25はスバルの先代WRX STIのシャシーとランニングギアを使用している。ホイールはProdrive製で、特注タイヤはブリヂストン製。ビルシュタイン(Bilstein)がアジャスタブルダンパーを、AP Racingがブレーキを供給し、エキゾーストはアクラポヴィッチ(Akrapovic)の作品で、プロドライブのエンジニアのひとりがガレージ内でP25に火を入れたとき、あまりの大音量に、私はコーヒーをこぼしてしまったほどだ。(怒ってるんじゃないよ)。

めっちゃ良さそう。でも、何か…違和感なのはなぜ?
違和感は当然だ。なぜなら、P25のデビューからしばらくして、プロドライブはフロントエンドのデザインを変更して、外観が変わっちゃったから。メッシュのグリルインサートは、空気の流れを良くするために開口部が大きくなったとはいえ、見た目は最悪だ。新しくなったLEDライトはかっこ悪くなった。どっちかっていうと、チューニングカーっぽくなってしまったのである。元のインプレッサのクラシックなライトと巨大なフォグランプのインサートはなくなったし。残念だ。

ホイールの話もしよう。プロドライブがデザインした19インチのホイールは気に入っているが、ゴールドのホイールがない真っ青なインプレッサってどうよ?ありがたいことに、プロドライブはP25にゴールドのオプションを用意しているけどね。プロドライブによると、7人の顧客だけがこのゴールドホイールを選んだそうだ。だから、ほとんどの車はブルーで仕上げられている。ちなみに今回試乗したクルマは特別塗装だが、ワールドラリーブルーではない。ある人はP25をイエローで仕上げることにしたってことで、それはかっこよさそうだね。

ボンネットの下には何があるの?
スバルのEJ25エンジン、WRX STIの2.5リッター、水平対向4気筒だ。高流量インジェクター、鍛造ピストン、空対水チャージクーラー、ギャレットターボチャージャーなど、多くの変更が加えられている。その結果、最高出力は440bhp、最大トルクは620Nmとなり、これはプロドライブが当初約束したものよりもかなり大きい。また、この車の重量が1,150kgであることを考えると、相対的にはけた違いのパワーとなる。ちなみに、オリジナルの22Bは、実際には100kg重く、パワーは100bhpダウンしていた。

ギアボックスはレーススタイルの6速シーケンシャルオートマチックで、発進時にはオートマニュアルクラッチを使う。ハンドルの右側にパドルがあり、手前に引くとシフトアップ、押すとシフトダウンする。ローンチコントロールを使い、手順通りにスタートすれば、P25は97km/hまで2.8秒で駆け上がる。

めっちゃ速い、ってことだね?
速いなんて言葉じゃ言い表せないよ。このクルマは絶対的に力強く、速く走れる。コンソールのアンチラグボタンを押すと、エンジンのトルクの矛先がレンガの入った袋で殴られるように襲ってくるので、トランスミッションをショートシフトすることができ、レッドラインのパワーピークにひと泡吹かせるために各ギアを巻き上げる心配はない。シングルパドルのシフトロジックは慣れるのに時間がかかるし、ギアチェンジの1つや2つは絶対に失敗するもんだから、自分に対して厳しくしすぎないように。

ドライビングは?
プロドライブ P25は、私がこれまで乗った中で最も公道走行可能なレーシングカーに近い。ケダモノって感じ。完全に制御不能と言っていい。おとなしさなど微塵もない。プロドライブによれば、P25がこれほど臆面もなくハードコアだとは思わなかったので、その無謀過ぎる走りに購入を諦めた人もいるという。しかし私にとっては、それこそがこのクルマをとても素晴らしいものにしている要素なのだ。


でも、このゲームを嫌いにならないでほしい。プロドライブがP25の市場を見出したのは素晴らしいことだし、他の企業も、金銭的に恵まれた次世代のミレニアル世代が、彼らの過去と共鳴する車を買う可能性が高いことに気づいてほしい。つまり、インプレッサ、スカイライン、スープラ、そして小さなプジョーでさえもビジネスになり得るということだ。このようなレクリエーションは、ランボルギーニやポルシェのようなブランドに限定されるべきではない。

プロドライブP25は見事な愛情の結晶であり、これから登場する多くのクルマの最初の1台となることを願っている。しかしもっと重要なのは、こうした熱狂的なカーコレクターたちが、P25をガレージに眠ったままのガレージクイーンの地位に追いやらないことを願うことだ。これほど臆面もなく乱暴なクルマは、ライバーは最大限にその力を引き出して、存分に運転を楽しむべきなのだ。
スコア 9/10

=海外の反応=
「パドル1つの "オートマニュアル "に大きな疑問…なぜフルMTではないのか?」
「私は「(旧車を弄ぶような)ゲームが嫌い」だ。また新たなプレーヤーが増えることを警戒しているだけなのかもしれない。これらの車の魅力のひとつはその手に入れやすさにあったが、レストモッドにする前から、インスタグラムの検証ポイントを求める浅はかで不愉快なコレクターによって完全に台無しにされている。象徴的な外観が、マイ・ファースト・クールアロイ、Demontweeks製ステアリングホイール、15年前の自作「ビルド」に見られるようなハルフォード製ヘッドライト/テールライトで台無しにされ1億円…。そう、エンジニアリングとドライビングエクスペリエンスは、それを補って余りあるものなのだ。ベストなインプレッサ グループA コンペティションで繰り広げるレクリエーションは、もっとクールで、もっと安い」
「1億円!?この市場で暴落が起きれば、我々一般人にも少しはチャンスがあるのだが」
↑「すでに70万ポンド(1.3億円)で売りに出されているのを見たことがある」
「フロントエンドについては同意。オリジナルバージョンの方がずっと魅力的に見える」
「どうだろう、フロントエンドはかなり気に入っている。でも、1億円なら、完全にイカレたデザインにするのが理にかなっている!」

トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2023/07/61674/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ピックアップ

トップギア・ジャパン 063

アーカイブ