【試乗】プジョー 5008 ハイブリッド:ミニバンを拒絶するペトロールヘッドのための「ライオンの最適解」

家族が増えても「四角い箱」に乗るという妥協はしたくない。そんな車好きの切実な願いに対する、フランスからの痛快な回答がプジョー 5008だ。最新プラットフォームとハイブリッドがもたらす真価を検証する。


3列シートの皮を被ったネコ科の猛獣
ペトロールヘッド(真の車好き)にとって、人生の特定のステージにおいて直面する最も残酷な現実がある。それは、家族の増加に伴って「巨大で四角い、実用性一辺倒の箱」——いわゆるミニバンを買わざるを得なくなることだ。かつてはステアリングを通じて路面と対話し、コーナーの頂点をかすめることに無上の喜びを感じていたはずのドライバーが、いつしか後席のスライドドアの利便性と引き換えに、運転席での「退屈」を受け入れてしまう。

だが、フランス人はそんな絶望的な妥協を許さなかった。プジョー 5008は、そんな我々に対する一条の光である。今回試乗したのは、5008 GT HYBRIDのアルカンターラパッケージである。こちらは599万円となり、ベースのGT HYBRIDに比べて18万円プラスとなる豪華仕様だ。

先代モデルの販売データを見ると、興味深い事実が浮かび上がる。兄弟車である2列シートの3008と比較しても、「5008の指名買いが80%」を占めていたというのだ。なぜ彼らは、あえてこの3列シートSUVを選ぶのか。その答えは、実車を目の前にすれば一目瞭然である。

前モデルより全長が170mm伸びたロングボディでありながら、ルーフラインからリアへと流れる造形は恐ろしいほどに美しい。多人数乗車の実用性を確保するために全高を上げ、キャビンを四角くするという安易な手法をとらず、プジョー特有の堂々としたプロポーションを維持している。ライオンの爪痕をモチーフにした鋭いライティングシグニチャーは健在であり、見る者に「ただのファミリーカーではない」と警告を発しているようだ。

プレゼンテーションの場において、メーカーの開発担当者は自信に満ちた声でこう語る。
「私たちはプジョーのブランドスローガンである『ドライビングプレジャー』と、ネコ科の動物のようなしなやかさを表す『フレンチカリスマ』を、このラージSUVにおいても一切妥協することなく追求しました」

秘密兵器「STLA Medium」と、1.2Lの小さな心臓
新型5008の進化の核心は、その美しい表皮の下に隠された骨格にある。従来のEMP2に代わり、ステランティスグループが誇る最新のミディアムクラス向けプラットフォーム「STLA Medium(ステラミディアム)」が採用されたのだ。

このプラットフォームは、グループ内でプジョー 3008に初採用された後、DSオートモビルのフラッグシップであるDS 8、さらには完全な電気自動車(BEV)にまで対応するよう設計された強靭で柔軟なアーキテクチャである。この高度な骨格に、1.2L直列3気筒ガソリンターボエンジンと、モーターを内蔵した6速デュアルクラッチ「e-DCS6」、そして48V駆動用バッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムが搭載されている。システム合計最高出力は145ps。車重1,740kgのラージSUVを引っ張るには控えめな数値に見えるかもしれないが、フランスのエンジニアたちは数字遊びよりも実質的な効率を選んだ。

事実、輸入車のCセグメント7シーターSUVのなかで、WLTCモード18.4km/Lという燃費性能は群を抜いている。モーターのアシストによる発進は極めて滑らかで、低速域では100%電動走行もこなす。街中を這うような渋滞においても、システムはシームレスかつ賢く機能し、ドライバーにストレスを与えない。

ただし、編集者として一つだけ警告しておこう。料金所のゲートを抜けた直後など、無理な急加速を求めてアクセルペダルを床までベタ踏みするような無作法な真似は控えた方がいい。そんな野蛮な要求をすると、1.2Lの小さな心臓は突如として「うわ、何をしてるんだ?!」とでも言いたげな、いささか騒々しい声を上げて抗議してくる。この車は、ジェントルマンのように余裕を持ってスロットルをコントロールする者にのみ、微笑みかけるように躾けられているのだ。

「マーマイト」と「ショーの主役」が同居する空間
運転席のドアを開けると、そこには他メーカーの追随を許さない、前衛的で魅力的なキャビンが広がっている。ファブリック素材を巧みに用いたダッシュボードの上部には、画面が浮遊しているかのように見える21インチの「パノラミック i-Cockpit」が鎮座している。これこそ、乗り込んだ瞬間に同乗者の目を釘付けにする、文句なしの「ショーの主役(showstopper)」だ。

物理スイッチの減少を嘆くオールドファンもいるかもしれないが、カスタマイズ可能なショートカットキー「i-Toggles」は、直感的で非常にスマートな解決策である。

そして、プジョーの代名詞とも言える小径ステアリングと、その上越しにメーターパネルを覗き込む特異なドライビングポジション。英国の車好きの間では、これを愛するか憎むかが真っ二つに分かれるため、「マーマイト(英国特有のクセの強い発酵食品)」に例えられることが多い。

しかし、実際に私が2時間ほどステアリングを握り、高速道路と一般道を駆け抜けてみた実感として、このレイアウトは実に理にかなっていると断言できる。ステアリングの円弧が視界を遮らず、前方から視線を大きく外すことなく情報を読み取れる視認性の高さは、長時間のドライブにおいて明確なリラックスをもたらし、結果として安全運転に大きく貢献している。SUVという高めの着座位置と、このi-Cockpitの組み合わせは、一つの完成形に達していると言っていい。

高速道路で試される「ライオン」の脚力
川崎から横浜方面へ向かう高速道路に乗り入れると、5008は水を得た魚のように走り始めた。特筆すべきは、小径ステアリングが生み出す、ボディサイズを全く感じさせない俊敏さだ。車高の高いラージSUVにありがちな不快なロールは最小限に抑えられ、路面の継ぎ目や段差を巧みに、そしてしなやかに吸収していく。これこそが、プレゼンテーションで語られた「フェリーヌ(猫科の動物)の振る舞い」なのだろう。

7シートの車両でありながら、多人数で乗車した際にも足回りが悲鳴を上げることはなく、常にフラットでパワフルな走りを提供してくれた。静粛性も高く、風切り音やロードノイズは遠くに追いやられている。

実用面においても妥協はない。2列目と3列目シートをすべて折りたたむと、そこには最大1,815リットルという「怪物級」の広大なフラットスペースが出現する。キャンプ道具一式だろうが、大型の家具だろうが、飲み込んでしまえそうな勢いだ。

ただし、3列目シートに関しては現実的な評価を下す必要がある。いざという時のエマージェンシー用としては十分に機能するが、身長180cm以上の大人が長距離の旅を快適に過ごせる空間とは言い難い。この点に関して、メーカー側のスタンスは非常に明確だ。

「もし、お客様が3列目に大人が乗車することを常用されるのであれば、頭上や足元に余裕のある『リフター』をお勧めしています」
自社の別モデルを勧めるという、この合理的で誠実すぎる割り切りに、私は思わず笑みをこぼしてしまった。彼らは「すべてを完璧にこなす魔法の車」など存在しないことを知っている。だからこそ、5008の3列目は「必要な時にのみ機能する美しい収納式シート」として割り切ったのだ。

妥協を許さないペトロールヘッドのためのファミリーカー
新型プジョー 5008 ハイブリッドは、単に人を運ぶための道具ではない。高度なエンジニアリングによって実用性と走りの楽しさを見事に両立させた、知的な選択肢である。

小径ステアリングを握り、しなやかな足回りを味わいながら走らせていると、単なる移動が「ドライビング」へと昇華していくのを感じる。家族や仲間を乗せて、どこか遠くの見知らぬ土地へ出かけてみたくなる。そんな衝動を呼び起こしてくれる車は、今の時代、そう多くはない。

ミニバンという無難な選択に屈する前に、まずはこのフランス産のネコ科の猛獣に試乗してみてほしい。家族の笑顔と、あなた自身のステアリングを握る喜びは、決してトレードオフではないという事実を、この車が教えてくれるはずだ。
写真:上野和秀

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