魂は鈴鹿にあり:ホンダ・レーシングが本気で創った『マシン』、Honda eMS SIM-01の真価

ガレージの主役は、もはや公道を走るマシンだけではない。ホンダ・レーシングがトップドライバーを育てた本物のフォーミュラマシンを筐体とした究極のシミュレーターを発表。これはゲーム機ではなく、ドライビングを再定義する「エンジニアリングの結晶」である。

もし、未来のF1ワールドチャンピオンがその才能の原石を磨いたマシン、そのものに乗り込むことができるとしたら。しかも、自らのガレージで、いつでも好きな時に。荒唐無稽な夢物語ではない。ホンダ・レーシング(HRC)が発表した「Honda eMS SIM-01」は、我々が知る「レーシングシミュレーター」という言葉の定義を、根底から覆す一台だ。

これは単なるゲーム機ではない。断じて違う。その骨格は、鈴鹿サーキットで数多の若き才能を育て上げてきたホンダ・レーシング・スクール(HRS)の本物のフォーミュラマシン「童夢SDH-F04」そのものなのだ。ドライビングポジション、ペダルの剛性感、視界の狭さ。これらはすべて、コンマ1秒を削るために最適化された「本物」のジオメトリーである。

我々トップギアの読者は、カーボンモノコックの剛性や、ダブルウィッシュボーンがもたらす精緻なフィードバックに心を躍らせてきた。このシミュレーターは、その感覚をデジタルの世界で再現するのではなく、リアルの世界から持ち込んできたのだ。これは、HRCという世界最高峰のエンジニアリング集団が持つ、レースへの哲学とリスペクトが生み出した「走る彫刻」と言えよう。

HRCが放つ、究極のホームサーキット体験

今回、株式会社ホンダ・レーシング(HRC)が発表したのは、同社が推進するeモータースポーツの取り組みを象徴する、オリジナルのレーシング・シミュレーター筐体「Honda eMS SIM-01」だ。2025年11月11日より、10台の数量限定で発売される。

このシミュレーターの最大の特徴は、前述の通り、ホンダ・レーシング・スクール鈴鹿(HRS)で実際にサーキット走行のトレーニングに使用されていたフォーミュラマシン「童夢SDH-F04」をベースに製作されている点にある。これはF1をはじめ、国内外のトップカテゴリーで活躍する数多くのドライバーを輩出してきた由緒ある車体であり、そのリアルなドライビング環境が、比類なき没入感を提供する。

さらに、6.2chサラウンドシステムや1500Wの強力な振動子、サイドポンツーンに内蔵されたサブウーファーが、エンジンサウンド、縁石を踏んだ時の衝撃、Gの変化といった情報を五感に直接訴えかける。バーチャルでありながら、身体がサーキットの情報をリアルに感じ取る、かつてない体験を実現している。

購入時には、オプションで好みのリバリー(カラーリング)にカスタマイズすることも可能。世界に一台だけの、自分だけのレーシングマシンを手に入れることができる。

■「Honda eMS SIM-01」製品概要
商品名: Honda eMS SIM-01
価格: 10,000,000円(税別)
販売予定数: 10台(数量限定)
サイズ: L 3000mm / W 1700mm / H 1000mm
重量: 200kg
搭載システム: 6.2chサラウンドシステム / 1500W振動子 / サイドポンツーン内蔵サブウーファー / コンソール接続対応 / PC接続対応
ベース車両: 童夢SDH-F04
購入方法: ZENKAIRACINGの公式ウェブサイトより購入可能。
レンタルでの体験: 法人・個人向けにレンタルプランも用意されている。詳細は以下の窓口への問い合わせが必要。
お問合せ窓口: te_hondaracing-ems_shared@jp.honda

ドライビングを探求する、聖域(サンクチュアリ)を手に入れろ

さて、我々はこの1,000万円のマシンをどう楽しむべきか。単にラップタイムを削るためのトレーニングツールとして捉えるのは、あまりにもったいない。

これは、時空を超えるタイムマシンだ。往年の名サーキットを、伝説のドライバーたちが駆ったマシンで走る。あるいは、まだ見ぬ未来のサーキットを、これから生まれるであろうハイパーカーで攻める。そのすべてが、かつて若き日の角田裕毅や佐藤琢磨が座ったかもしれない、本物のコックピットで体験できるのだ。

あなたのガレージに鎮座する愛車の隣に、この「Honda eMS SIM-01」を置いてみてほしい。ガレージは単なるクルマの保管場所から、ドライビングという行為そのものを探求し、自らと向き合うための神聖な場所、すなわち「聖域(サンクチュアリ)」へと昇華するだろう。仕事を終えた深夜、家族が寝静まった後にレーシングスーツに着替え、ヘルメットを被る。ステアリングを握るたびに、鈴鹿の1コーナーに吹き込む風の匂いさえ感じる。そんな、究極に贅沢な人生がここにある。限定10台。この切符を手にするのは、誰だ?
魂は鈴鹿にあり:ホンダ・レーシングが本気で創った『マシン』、Honda eMS SIM-01の真価
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069

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