もうすぐ納車が開始されるピュアEV ハイパーGT、ピニンファリーナ バティスタの製作工程


トップギアでの動画も好評な世界初のピュアEVハイパーGT「バッティスタ」の生産がイタリア・カンビアーノに新設された専用の「バッティスタアトリエ」にて開始された。このアトリエはイタリア・ピエモンテ州にある。

賞にも輝いたバッティスタは、2,300平方メートルの専用アトリエにて職人達の手によって限定150台が製作される。また、バッティスタのオーナーはワールドクラスのカスタマーサービスを享受できる。アウトモビリ・ピニンファリーナのグローバルリテーラーネットワークに参加するラグジュアリーパートナー25社と、アウトモビリ・ピニンファリーナのクライアントリレーションズのスペシャリストがクライアントをサポートする。

アウトモビリ・ピニンファリーナのパー・スヴァンテッソンCEOは次のように述べている。「受賞歴のあるバッティスタを量産車として製作するチームを率いることができ、大変誇りに思います。2018年にローマでアウトモビリ・ピニンファリーナを立ち上げて以来、我が社は世界20か国から118名の専門家を招集し、チームを築いてきました。現在はミュンヘン本社と創業の地である北イタリアに国際色豊かな『ファミリー』が形成され、デザイナー、エンジニア、車両開発のスペシャリストらが革新的な未来のクルマづくりに携わっています」

「この素晴らしいファミリーはここ数年にわたり、バッティスタのオーナーの皆様にご満足いただくことに精魂を傾け、極めて困難な課題を克服してきました。バッティスタを納車する今年は、自動車の設計・技術の大いなる前進の年となります。
バッティスタのオーナーの皆様には、とてつもない満足感と極めて貴重な体験を同時に味わっていただけることと思います」

実際に、バッティスタはどのような製作工程を経て作られるのだろうか。アンドレア・ノヴェッロは多様な人材が活躍するファミリーの一員として、アウトモビリ・ピニンファリーナのプロダクションディレクターを務めている。アトリエのある場所は、ノヴェッロの祖父が数十年前に勤務していた場所でもあり、祖父の知識や技術はバッティスタの製作に受け継がれている。

ノヴェッロはこう述べている。「バッティスタアトリエはイタリア史上最強のクルマを製作するために改装された施設であり、
歴史とインスピレーションに溢れた刺激的な場所です。ここでは先端技術を活かしたコンポーネントや材料を用い、品質保証プロセスを導入して、バッティスタのドライビング体験と同じように刺激的なオーナーシップ体験を提供します」

バッティスタアトリエは計14の生産ゾーンと品質保証ゾーンに分かれている。何台もの取付装置を特注で新規製作するなど、現代的技術を取り入れつつ、バッティスタの細かなネジ類はエアドライバーによる締め付けで精度を確保するという昔ながらの方法や工具も活かし、この場所で受け継がれてきたコーチビルディングの伝統が息づく製作工程となっている。

バッティスタの製作には10週間かかるが、「バッティスタ・アニヴェルサリオ」の場合は手塗りでの仕上げを含め、トータルで18週間かかる。1台のバッティスタは10人の職人が1,250時間以上かけて製作する。バッティスタ・アニヴェルサリオは特注デザインの装備と仕上げが必要となり、最大1,340時間かかる。

最初のゾーンに送られてくるのはバッティスタのローリングシャーシだ。このローリングシャーシは電動パワートレイン、T字型バッテリー、カーボンファイバー製モノコック、電気系統全体で構成されている。このゾーンではアウトモビリ・ピニンファリーナの厳格な品質標準に従って評価が行われ、その状態が記録される。バッティスタはここカンビアーノで、電子制御された多くのゲートを通過して完成に至りますが、その最初のゲートがここになる。

続いて、下塗りされたホワイトボディがモノコックと結合され、バッティスタの姿が形になり始める。「ゴッチャ」(Goccia:イタリア語で「しずく」)と呼ばれるルーフでキャビンを取り囲み、構造的な強度と剛性を確保する。この工程用に製作された装置にボディを載せ、これ以上はないほど厳しい許容誤差で2日間かけてすべての寸法とパラメータを測定・記録する。この場所では過去20年間、こうしたやり方を貫き、名車を生み出してくる。測定が終了したボディはシャーシから取り外され、専用の塗装工程に送られる。

塗装には通常3~4週間かかる。新たな塗装用コンパウンドと多層メタリック仕上げを用い、アウトモビリ・ピニンファリーナの拠点であるイタリア・ピエモンテ州から着想を得た28色の内の1色を塗装する。塗装用の特注装置に各パネルを取り付け、確実にカラーマッチングする。エクステリアの塗装を仕上げている間に、ダッシュボードとインテリアのアイテムを取り付ける。

5番目のゾーンでは2日かけて車両全体の80%まで組立を進める。職人達は、人間工学に基づいて設計されたリフトと、リフトに装備された特注の治具を使用し、ホイールアーチやフラットアンダーフロアなどの厳しい許容誤差を達成する。複雑な形状のバタフライドアもこの工程で2日間かけて取り付ける。洗練されたデザインのドアは車両構造に不可欠であり、使用する装置はドアの重量を支え、複数の方向に傾けて確実に位置合わせできるように特別に設計されている。

次に、1回目のエンドオブラインチェックとコミッションを実施する。特注のソフトウェアとツールを使用し、車両を「工場モード」にした状態で、すべての基準が満たされているかどうかを点検する。続いて「顧客モード」に切り替え、バッテリーの充電、インフォテインメント、アウトモビリ・ピニンファリーナが独自開発したサウンド「スオーノ・プーロ」(SUONO PURO)など、実際の機能が正常に動作することを確認する。

アトリエ内に設けられた最終ワークステーションでは、バッティスタをリフトで持ち上げ、24時間かけてホイールとステアリングのアライメントを完了する。各車両はその後、ウォーターマネジメントエリアに送られ、強度に関係なく、水が車両に浸入しないことを確認してから最終承認され、デジタルログの完了となる。

エンドオブラインの品質チェックは完璧さにこだわる専門家らが担当し、機能試験、ライトトンネルでの徹底的な外観評価、路上試験などを実施する。バッティスタ用のGTテストプログラムでは、オーナーが実際に走行するであろう様々なタイプの道路や路面を想定した専用ルートで1台1台を評価する。それぞれのバッティスタは同じテストドライバーが詳細に検証する。テストプログラムが終了すると、バッティスタはカンビアーノに戻され、保護ラップが取り外され、最終的な見栄え点検の後、クライアントに納車される。

アウトモビリ・ピニンファリーナのチーフプロダクト&エンジニアリングオフィサーであるパオロ・デラーチャは次のように述べている。「バッティスタで目指したのは、新しいタイプの魅力的な『グランツーリスモ』でのドライビング体験でした。電動化がもたらす前例のないパワーをフルに活かしたバッティスタのドライビングは、このハイパーGTの姿とディテールに注がれたデザインチームの素晴らしい仕事ぶりに相応しいものです」

「すべての工程で品質を最優先しました。ワールドクラスの技術的構成部品の製作から、バッティスタ開発プログラムの過酷な試験に至るまで、アウトモビリ・ピニンファリーナのチームは、自分たちが初めて世に送り出すこの素晴らしいクルマで、お客様に一瞬一瞬を楽しんでいただきたいと考えました」

バッティスタのオーナーは実際にバッティスタアトリエを訪ね、自身のバッティスタを製作するチームに会い、彼らと協力して好みのデザインを選び、製作の様子を目にすることができる。このコミッショニングサービスはバッティスタのオーナーだけが体験できる特権だ。

クライアントは製作チームとの掘り下げた話し合いを通して理想のバッティスタをカタチにする。 各クライアントに対しては、クライアントをカンビアーノに招待する前にビスポークデザインが提案され、デザイナーらと直に話し合いをする中で、最終的な仕様が決定される。

アウトモビリ・ピンファリーナのチーフデザインオフィサーであり、各クライアントと協力して理想のコンフィギュレーションを完成させる役割を担うデイブ・アマンテーアは次のように述べている。「バッティスタは1台1台がビスポーク仕様です。我々はバッティスタに情熱を注ぐデザイナーとして専門知識や見識をクライアントの皆様と共有したいと考えています。デザイン哲学『PURA』(イタリア語で「ピュア」の意)をお伝えし、クライアントとの共同作業によって、クライアントの個性を反映した夢の仕様を実現します」

「お客様にとっては非常にパーソナルな体験であり、無限に近いオプションからお選びいただく際には、お客様のインスピレーションを刺激し、記憶に残る体験をしていただくことが私たちの大切な役目です。そうしたプロセスを経ることによって、各オーナーのパーソナリティを反映し、真の相棒となる世界に1台のバッティスタが完成します」

製作エリアの隣にはエクステリアカラー、インテリアカラー、素材などの各種オプションを指定できるコミッショニングラウンジがあり、豊富なサンプルを見て触れることができる。エクステリアのために用意された「バッティスタ・エクステリア・ジュエリー・パック」を選択したり、ブレーキキャリパーの色やホイールのカスタム仕上げなどの指定も可能だ。エクステリアの仕様は「13.9×10の18乗」通りほどの組み合わせがある。

インテリアはカラーの他、革、アルカンターラ、アルミニウムなどの素材、エングレービングの組み合わせが1億2800万通りもあり、世界に2つとないバッティスタに仕立てることができる。その唯一性がバッティスタの投資ステータスをさらに高める。その礎となっているのは、収集価値のある傑作車を生み出してきたピニンファリーナの輝かしい歴史だ。

カラー&マテリアルデザインディレクターであるサラ・カンパニューロは次のように述べている。「バッティスタの製作は、真のパーソナライゼーションとクラフトマンシップをまったく新たな領域に展開する機会となりました。革新的技術とピニンファリーナが誇るデザインの伝統を融合することは私たちに与えられた特権であり、そのために使用する持続可能な材料やプロセスは今後のプロジェクトの向上と推進につながります」

バッティスタの設計・製作の状況については、アウトモビリ・ピンファリーナのクライアントリレーションチームから各クライアントに最新情報が直接通知される。

アウトモビリ・ピンファリーナのクライアントサービスではバッティスタを生涯所有するための保証が提供される。アフターセールスに360度のデジタルアプローチを採用し、部品・保証管理、トレーニング、リモート診断などを含め、世界各地のリテーラーパートナーによってオーナーに安心を提供する。北米、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアにサービス拠点を構え、世界のどこであろうとクライアントをサポートする。

専門技術を要する問題が生じた場合は、クライアントとバッティスタのために世界中どこでも「フライングドクター」が飛んで行くる。バッティスタについて豊富な知識を持つフライングドクターは、バッティスタの開発段階にゼロから参加し、オーナーズマニュアルやリテーラーパートナー向けワークショップマニュアルの制作にも携わってくる。

オーナーのための包括的なアフターサービスパッケージとして「エッッチェレンツァ(Eccellenza)」、「フーツラ(Futura)」、「エテルナ(Eterna)」の3種類が用意される。

エッッチェレンツァ:5年または10年の専用メンテナンスプログラムだ。すべての車両機能とコンポーネントの安全性と信頼性を確保し、最適なパフォーマンスの提供とバッティスタの保証および価値を保護する。

フーツラ:バッティスタのバッテリーとパワートレインの延長保証だ。アウトモビリ・ピンファリーナが提供するこの延長保証により、通常の3年保証よりも保証期間が7年長くなり、さらなる安心を得られる。

エテルナ:バッティスタのオーナーシップ体験と長期的価値をより充実させるためのソリューションだ。「エテルナ」プログラムでは、バッティスタのコンフィギュレーション時に注文できる、交換用ボディパーツキットを取り付け可能な状態で提供する。このキットはオーナー指定のコンフィギュレーションに合わせて製造され、組立時に塗装される。

世界各地へのバッティスタの納車は今夏に開始される。ピュアEVハイパーGTのボディスタイルは「プーラ(Pura)」、またはボディデザインパッケージ「フュリオサ(Furiosa)」のいずれかとなる。150台限定で生産されるバッティスタの中にバッティスタ・アニヴェルサリオが5台含まれる。バッティスタ・アニヴェルサリオはデザイン業界に功績を遺したバッティスタ・”ピニン”・ファリーナへの敬意を示す仕様となっている。バッティスタ・アニヴェルサリオは5台とも完売している。

走行シーンは、下の動画でどうぞ。



=海外の反応=
「10-18週間だって?上司に「できるだけ早く終わらせるようにしますが、2ヶ月長くかかるかもしれません」と言うことを想像してみて」
↑「記事、ちゃんと読んだ?それともタイトルだけでコメントしたのだろうか?もしあなたが記事をわざわざ読んでいたなら、次のところを、もう一度読んで。"各車両は最初から最後まで最低10週間かかりますが、24時間で完売した5台の「アニバーサリー」車両は、それぞれが手塗りのため最大で18週間かかることがある"と」
↑「"can"と "up to"を適切に処理しよう」
↑「色、仕上げ、内装材、入手性、その他もろもろに依存するよね」

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