H.モーザー✕MB&Fのエンデバー・シリンドリカル トゥールビヨン

10年以上に及ぶH.モーザー(H. Moser & Cie.)とMB&Fの絆を称えるエドゥアルド・メイランとマキシミリアン・ブッサーは、異例のコラボレーションを展開した。この吸い込まれそうな神秘感に包まれた時計は、H.モーザー✕MB&Fによる「エンデバー・シリンドリカル トゥールビヨン」。税抜予価950万円で、夏発売予定だ。5色のダイヤル展開、各15本限定という超貴重な時計である。
1828年創業と老舗のH.モーザーに対し、MB&Fが創設されたのは2005年。以来、パフォーマンスアートのシリーズ作品においてお互いに全く同じ形で制作を行ったのは、今回が初めてのこと。この枠組みの中で、両ブランドはそれぞれの主要な特徴をDNAとして融合させた2組の作品を共同制作した。同じ価値観をもつふたりは、モノづくりと合作を楽しみ、男の友情の物語のなかで生まれたこの類い稀なプロジェクトによる作品を両者で発表している。15本という限定本数は、MB&Fの誕生15周年、そしてH.モーザーのリローンチ15周年にちなんだもの。
H.モーザーはMB&Fから、ブランドのアイデンティティの根幹である三次元のムーブメントと、それを保護するサファイアクリスタルのドーム、そして12位置の開口部からメインダイアル上に現れるワンミニット フライング トゥールビヨンを取り込むことに成功した。姉妹会社のプレシジョン・エンジニアリング社が誇る知見を活かすH.モーザーは、トゥールビヨンに円筒形ヒゲゼンマイを搭載。これはプレシジョン・エンジニアリング社がMB&FのLM サンダードームのために開発したヒゲゼンマイと同じものである。18世紀に開発されたこの円筒形ヒゲゼンマイは、ウォームギヤやコルク栓抜きのように、テン真上部の周辺を垂直に上っている。当時の古典的なマリンクロノメーターに広く使用されていたこのヒゲゼンマイは、ホゾの軸に沿って機能するため、同心円状に、すなわち幾何学的に動くという特長を備えている。この点は、先端からホゾに負担がかかってしまう平らなヒゲゼンマイに比べて大きな利点であり、特別開発されたブレゲヒゲの外端曲線(フィリップス曲線)で非同心円状のヒゲゼンマイの先端部を補正しても、前者の優位は揺るがない。円筒形ヒゲゼンマイは両先端をブレゲヒゲで固定することにより、ホゾの摩擦を軽減して等時性を大幅に改善している。また、独特な形状をもつことから製造が非常に難しく、通常のヒゲゼンマイに比べて10倍の時間を要するという。
MB&Fから借用したもう一つのアイデンティティは、傾斜させた文字盤であり、H.モーザーはこれを時分表示のサブダイアルに採用した。サブダイアルは着用者だけが時間を読み取れるように40度に傾斜させつつ、円錐形の輪列に搭載することで面から面へのトルク伝達を最適化している。エドゥワルド・メイランはこう説明した。「フュメダイアルの美しさを引き立てるために、背景に溶け込むサファイアのサブダイアルを開発し、MB&Fがもつ世界観の“モーザー化”を試みました。また、このまごうことなき時計アート作品がもつ純粋さやエレガンスを保つために、サファイアのサブダイアルへ私たちのロゴを透かしのように施しました。こうすることで、本作品と着用者を結ぶ個人的な性格や親密な関係性を際立たせています」
エンデバー・シリンドリカル トゥールビヨン H.モーザー✕MB&Fモデルは、スティール製ケースにファンキーブルー、コズミックグリーン、バーガンディ、オフホワイト、アイスブルーの5つのバージョンで展開され、すべてがフュメダイアルとなる。

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