これは、なかなかの光景だね。1,160hpの最高出力と、レッドラインはなんと11,100rpmのサーキットに特化した能力を持つハイパーカーが、ノーマルな仲間たちと一緒に古くからある道路を走っている姿を見られるなんて。
これは、アストンマーティン ヴァルキリー。じつは、150台限定のロードカーだ。いや、信じてなかったワケじゃないけど、こんなパフォーマンスのヴァルキリーが、ロードカーってありえる?なんて思ってたもんだから、この写真を見て、ようやく納得できたよ。なんだか、別世界を走っているようで、クラクラする。まるでスパルコのレーシングシューズを履いたエイリアンが、V12エンジン搭載のUFOに乗って別の惑星から降りてきて、イギリスの有名なBロードを嗅ぎまわっているかのよう。後ろから見ると、普通のクルマなら「ボディワーク」を施しているはずの巨大な隙間が確認でき、後ろ向き駐車によって破産しそうになるリアディフューザーがよく見えるので、特に魅力的だ。
「あの道で撮影したことがあるよ」とトップギアのトム ハリソンは、この写真を見てすぐに言った。「ぶっちゃけ、ヴァルキリーを運転したくないよ。だってさ、予想価格3億円だよ!」確かに、デコボコで起伏のある一般道の路面で、このように軽くて傷つきやすいエクステリアのハイパーカーを走らせるのは、かなり勇気がいることだ。しかし、アストンマーティン側では、今回の機会を設けたのも、ヴァルキリーを実際のロードカーとして機能させたいと考えている証拠だ。年に一度のレースイベントの集まりにしか出てこないような、サーキットに特化したお飾りの道具としてだけではない。たとえそのイベントが、ほとんどのオーナーによって計画されていたものであったとしても。
「サーキットテストに成功したヴァルキリーは、シルバーストーン近郊の道路でのテストに入っている」とメーカーは述べている。「アストンマーティンのヴァルキリーチームは、これから実走試験を開始し、私たちのハイパーカーを最初の納車に一歩近づけていくことになる」
もしこれを読んでいる人の中に、ヴァルキリーの予約済みで納車待ちの人がいるのであれば、お願いがある。納車後は、ぜひ密閉された車庫からヴァルキリーを出して、見ず知らずの道路を利用している人々に、今日の写真を見たときに経験したような、軽い興奮を与えてほしい。でも、もしオーナーのナンバープレートが車内に詰め込まれていたのを忘れて公道に出てしまい、警察にクルマを停められて、「たった今、ナンバープレートが落っこちたばかりなんで…」と平謝りしている姿を見ても、みんな、そっと見て見ぬ振りをしてくれるだろう。