英国の老舗ラゲッジブランド「グローブ トロッター」が、「ピーナッツ」との新作コラボコレクションを発表した。極寒の地を耐え抜く独自素材ヴァルカン ファイバー製のボディに、スヌーピーのアートワークを描いた至高のトラベルケースだ。新色には深みのあるネイビーと遊び心あふれるライトピンクが登場した。大人のユーモアと車を愛するすべてのジェントルマンドライバーに捧げる最強の相棒である。
我々トップギアの読者諸君なら、グランドツーリングの真髄をすでによくご存知だろう。夜明け前の完璧に空いたワインディングロード、背後で咆哮を上げるV8エンジン、そしてアルプスの峠を越えた先にある目的地への優雅な到着である。だが、そこには常に「荷物」という忌まわしい問題が付きまとうのだ。フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーのトランクスペースは、せいぜいクレジットカードと薄手の替えの靴下を入れる程度の実用性しか持ち合わせていないからだ(ミッドシップスーパーカーのフロントトランクに、週末旅行用の巨大なナイロンバッグを無理やり押し込もうとして絶望した経験があるなら、私の言わんとしていることが痛いほど分かるはずだ)。
だからこそ、真のジェントルマンドライバーたるもの、身の回りのラゲッジにも徹底的にこだわる必要がある。ペラペラの使い捨てのようなスーツケースなど言語道断だ。我々が選ぶべきは、タフでありながらエレガント、そして確固たる歴史的背景を持つ代物でなければならない。そこで白羽の矢が立つのが、1897年の創業以来、英国デザインの代名詞として君臨するプレミアム トラベル ライフスタイルブランド、グローブ トロッターである。彼らの生み出すスーツケースは、今もなお英国のハートフォードシャー州において、ヴィクトリア朝時代から受け継がれる伝統的な製法と当時の機械を継承し、熟練の職人たちの手作業によって丹念につくられているのだ。
グローブ トロッターの歴史は、そのまま冒険と栄光の歴史でもある。南極探検家のロバート スコットをはじめ、エリザベス2世女王、さらには俳優のエディ レッドメインや世界的モデルのケイト モスに至るまで、時代を象徴する顔ぶれがこの由緒正しき英国ブランドのラゲッジとともに世界中を旅してきたのである。
我々が愛するランドローバー ディフェンダーが、泥まみれになりながらも英国の誇りを体現しているように、グローブ トロッターもまた、過酷な旅に耐えうる堅牢性と王室御用達の気品を兼ね備えている。彼らが採用するヴァルカン ファイバーという特殊なボディ素材は、いわばヴィクトリア朝時代のカーボンファイバーだ。驚くほど軽く、そして信じられないほど頑丈である。そんなゴリゴリの硬派な歴史を持つグローブ トロッターが、今回新たなコラボレーションコレクションを発表したのだが、そのパートナーを聞いて私は思わず紅茶を吹き出しそうになった。アストンマーティンでも、ジャガーでもなく、なんとあの世界で最も有名なビーグル犬だったからだ。
そう、チャールズ M シュルツが生み出した、あの「ピーナッツ」とのコラボレーションに新たな章が刻まれたのである。近年、生誕75周年を迎えたピーナッツは、1950年にコミック連載として世界に初登場して以来、チャーリー ブラウンやスヌーピーをはじめとする仲間たちが、ポップカルチャーに消えることのない足跡を残してきた。今やApple TVで配信されるアニメーションから、世界中で展開されるライセンス商品、アミューズメントパークのアトラクション、果ては文化イベントに至るまで、あらゆる世代のファンが日々親しんでいる巨大なアイコンである。
極寒の地を目指す屈強な探検家が愛用したトラベルケースに、スヌーピーとウッドストックが描かれているという強烈なギャップ。この圧倒的な存在感と大人の遊び心こそが、今回の「グローブ トロッター×ピーナッツ コレクション」の真骨頂と言えるだろう。鮮やかな色彩、遊び心あふれるストーリー、そしてブランドを象徴する英国のクラフツマンシップを通じて、純粋な旅の愉しさを表現するコレクションに仕上がっている。
この長期的なパートナーシップをベースにした最新章では、新たなカラーバリエーション、旅をテーマにしたアートワーク、コレクターズアイテムとなるトラベルケースが登場した。新コレクションは、より軽やかで表現力ゆたかなアプローチを採用しており、グローブ トロッターの伝統的なシルエットに新鮮なエネルギーと個性を吹き込んでいるのだ。
今回のコレクションにおいて特筆すべきは、グローブ トロッターとピーナッツのコラボレーションでは初となる、深みのある「ネイビー」と、遊び心あふれる「ライトピンク」という、鮮烈なコントラストを描くふたつの新色が採用されたことだ。これらの新しいカラーバリエーションは、これまでのコラボレーションで展開されてきたアイボリーのアイテムをさらに拡充・補完するものであり、ピーナッツデザインの一貫性を保ちながら、コレクション全体により深みのある視覚的なストーリーを紡ぎ出している。
まずネイビーのケースだが、これは夕暮れの空や夜間飛行からインスピレーションを得ており、より深みのある、情緒ゆたかなトーンを表現している。広大な空を漂うスヌーピーとウッドストックのイラストが描かれたデザインは、冒険心をくすぐりながらも、凛とした気品を湛えている。夜のオウトバーンをメルセデスAMGのV8ツインターボを響かせながら駆け抜けるような、シリアスで大人な旅にふさわしい。暗闇に溶け込むような深いネイビーのトランクを開けると、そこに愛らしいキャラクターが潜んでいるという究極のブリティッシュジョークである。
対照的にライトピンクのケースは、より明るく表情ゆたかなエネルギーを放っている。非日常へのエスケープや、ノスタルジックな空の旅からインスピレーションを得たこのデザインは、気球のモチーフや明るい色調のライニング(内装)が特徴で、躍動感にあふれ、自由な想像力をかき立ててくれる。このピンクのカラーバリエーションはコレクションの中で初登場となり、コレクション全体の視覚的なストーリー性を広げながら、大胆で遊び心あふれる新たな表情を見せているのだ。真っ赤なマツダ ロードスターのトランクにこのピンクのケースを放り込んで、南仏の海岸線を流す自分の姿を想像してみてほしい。完璧なコントラストではないか。なお、どちらのカラーも、スヌーピーとウッドストックの旅の瞬間を捉えた、旅がテーマのライニングで統一されており、コレクションの中心テーマである「冒険」と「ストーリー性」が明確に示されている。
さて、ここからは気になる具体的なラインナップと価格を見ていこう。価格設定を聞いて尻込みするかもしれないが、ポルシェのオプションカタログにあるカーボン製カップホルダーの値段を思えば、一生モノのトランクとしては極めて妥当な投資である(と、配偶者には説明することをお勧めする)。
まずは「ミニ キャリーオン」だ。新しいコレクションでは、ライトピンクとアイボリーの二色展開となっている。価格は両色ともに451,000円である。グローブ トロッターの旅の伝統に、ピーナッツのストーリー性が編み込まれたコンパクトサイズのケースだ。ブランドの独自素材であるヴァルカン ファイバーのボディに、レザーのパーツと真鍮の金具を使用して手作業で仕立てられたこのケースには、スヌーピーとウッドストックが旅の冒険に夢中になっている姿のアートワークが描かれている。
ライトピンクのデザインは、気球に乗って空を旅するスヌーピーを描いており、ウッドストックが飛び回る明るい色調のライニングが躍動感を生んでいる。一方のアイボリーモデルは、クラシカルな美学を受け継ぎつつ、対照的なカラーリングのレザーパーツがアクセントになっている。ピーナッツとのコラボレーションでの新しいサイズ、新しいシルエットとして登場したこのミニ キャリーオンは、これまでのラゲッジに代わる万能な選択肢として、デイリーユースからショートトリップまで幅広く活躍してくれるだろう。
次に「キャリーオン」だが、こちらはネイビーの一色展開で、価格は473,000円だ。夜空を旅するスヌーピーとウッドストックのアートワークを描いたケースは、動きと探検の精神を見事に捉えている。ヴァルカン ファイバーのボディとレザーのディテールを手作業で仕立てたデザインを引き立てるのは、旅の写真や思い出づくりにインスピレーションを得た特製のライニングである。ストーリー性とクラフツマンシップ、そして機能性が組み合わされた、まさに大人のための特別なコレクターズアイテムだ。
さらにコンパクトなモデルとして「ロンドン スクエア」がラインナップされている。ライトピンクのミニバッグで、価格は286,000円だ。ケースの随所に旅をテーマにしたピーナッツのアートワークが描かれており、空想に満ちた気球に乗って大空を漂うスヌーピーの姿が、軽やかな旅のストーリーを強調している。コンパクトでも端正なフォルムのクロスボディバッグとしてデザインされており、取り外し可能なストラップが付属するため、ハンズフリーで動くことができ、デイタイムからイブニングシーンまで万能に活躍する。ヴィンテージのアルファロメオを運転する際、ドライビンググローブとサングラスをスマートに収納するには完璧な相棒となるだろう。
そして、今回のコレクションのハイライトとも言えるのが「ピーナッツ ホーム トランク」である。なんと、ピーナッツとのコラボレーションが、自宅で使えるインテリアの世界にまで進出したのだ。ブランドの歴史を象徴するトラベル トランクをベースにしながら、「旅が終わった後も、冒険心は続く」というグローブ トロッターの信念が込められている。
ヴァルカナイズド ファイバーボードにレザーのディテールと真鍮の金具を使用し、職人の手で仕立てられたこのホームトランクは、豊富な収納力と重厚な存在感を併せ持つ。内装は自宅での整理整頓を考慮して細やかに設計されており、記念品や宝物を収納するスペースを提供する。ライニングには、リラックスして旅を楽しむスヌーピーの姿と飛行機をモチーフにしたイラストが散りばめられ、ジェットセット(優雅な空の旅)からインスピレーションを得たロマンとノスタルジーを表現しているのだ。
アイボリーとコバルトの二色展開で、ふたつのサイズが用意されている。外側のストラップがなく、すっきりとしたシルエットの小ぶりな「トイ トランク」は、コンパクトな収納家具として機能し、価格は受注生産で649,000円だ。そして、伝統的なレザーストラップを配した大型の「スチーマー ホーム トランク」は、圧倒的な存在感を放ち、同じく受注生産で715,000円となっている。愛車のパーツカタログや、かつて走破した大陸横断ルートの古い地図を保管するために、これ以上の贅沢な箱は存在しないだろう。
最後に、気軽なトラベル アクセサリーとして「キャンパス トートバッグ」が132,000円でラインナップされており、こちらは7月下旬の発売予定となっている。
日常を離れたバカンス、探検、そして新しい旅の前のときめき。そんなインスピレーションから生まれたこのコレクションは、旅を愛する人はもちろん、コレクターにとっても、新たな発見に満ちた世界へと誘う魅力に溢れている。
モータースポーツの世界において、ヘルメットのデザインがドライバーの個性を主張する最大の武器であるように、ジェントルマンの旅においてはラゲッジこそがその人間のユーモアと美学を代弁する。タフで無骨な英国製トランクから、のんきな顔をしたスヌーピーが現れる。その痛快なまでの自己矛盾とウィットを楽しめる大人にこそ、このコレクションを携えて、愛車とともに果てしない地平線を目指してほしいものである。
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