現代の肥大化したエコカーに辟易している車好きへ朗報だ。英国の狂気、ラディカルが日本に本格上陸し、2027年から「Radical Cup Japan」を開催する。屋根もエアコンもない純粋なトラックウェポンで争われるこのレースは、日本のサーキットに本物のモータースポーツの熱狂を取り戻すだろう。
最近の自動車業界を見渡すと、思わずため息が出そうになる。2トンの車重を「軽量」と呼び、巨大なバッテリーを床下に敷き詰め、まるでスマートフォンに車輪が生えたような巨大なSUVばかりが我が物顔で街を闊歩している。ドライバーが運転に介入する余地はどんどん奪われ、少しでもラインを逸れればAIが「車線からはみ出ていますよ」とヒステリックに警告音を鳴らす始末だ。我々がかつて愛した、ガソリンの匂いとオイルにまみれた、あのヒリヒリするような「運転の歓び」は一体どこへ行ってしまったのか?
しかし、まだ絶望するのは早い。常に雨が降り、どんよりとした曇天が続く国、イギリスから、とびきり狂った(もちろん最高の意味で、だ)ニュースが飛び込んできた。あの「ラディカル」が、ついに日本に本格上陸を果たし、2027年からワンメイクレースシリーズ「Radical Cup Japan」を開催するというのだ。
ラディカルをご存じない読者のために、ここで少し説明しておこう。1997年にイギリスで創業されたラディカル モータースポーツは、「市販の気取ったスーパーカーを、サーキットでコテンパンに叩きのめす」という、極めて英国的でひねくれた情熱から生まれたレーシングカー マニュファクチャラーだ。彼らの作る車は、モーターサイクル由来の超高回転エンジンを鋼管スペースフレームの中央に押し込み、空気を切り裂くようなペラペラのカウルを被せただけの、言わば「公道を走ることを最初から諦めたバスタブ」である。
快適装備? そんなものは軟弱者のためのものだ。屋根もなければ、ドアすらない。エアコンの代わりに、時速200kmで叩きつけられる猛烈な走行風があなたを冷却(あるいは凍結)してくれる。その代わり、彼らが提供するのは「圧倒的なダウンフォース」と「数億円のハイパーカーすら凌駕する絶対的なスピード」だ。彼らはこれまでに3000台以上の狂気を世界中にばら撒き、4大陸 14カ所でワンメイクシリーズを開催している、世界最大のレーシングカー マニュファクチャラーの一つなのである。
そんなラディカルが、2027年にいよいよ日本のサーキットを蹂躙しにやってくる。舞台となるのは、スポーツランドSUGO、モビリティリゾートもてぎ、筑波サーキット、岡山国際サーキットという、日本を代表する4つのコースだ。5月から9月にかけて、全4大会 8レースが予定されているという。
ちょっと想像してみてほしい。高低差とブラインドコーナーが連続する「魔物」の棲むスポーツランドSUGOを、ダウンフォースの塊であるラディカルが全開で駆け抜ける姿を。あるいは、タイトな筑波サーキットで、地元のチューニングカーたちが長年かけて削り出してきたタイムを、箱出し状態の英国製バスタブが涼しい顔で(ドライバーの首は横Gで悲鳴を上げているだろうが)塗り替えていく光景を。痛快以外の何物でもないだろう。
参戦可能な車両は、「SR3 XX」および最新の「SR3 XXR」だ。ルールとして「1500ccエンジンアップグレード」および「コックピットセーフティストラクチャー」の装備が必須となる。標準の1340ccエンジンでは、スピードに飢えた日本の過激なドライバーたちには物足りないだろうという、ラディカルからの粋な計らいかもしれない。この1500ccにボアアップされたエンジンは、背後で文字通り「金切り声」を上げ、ドライバーの鼓膜を容赦なく震わせる。防音材などという無駄な贅肉は一切ない。カーボンとアルミ、そして鋼管で構成されたシャシーは、路面の石ころ一つ一つの感触をダイレクトに脊髄へと伝えてくるのだ。
ちなみに、現在日本上陸を記念して、「SR3 XXR ローンチパッケージ」とが10台限定で販売されている。お値段は税込み22,833,800円からだ。
「なんだ、2000万円オーバーか。ポルシェ 911 カレラが買えるじゃないか」と思ったそこのあなた。その通りだ。2,283万円払えば、シートヒーター付きの快適で安全なドイツ製スポーツカーが手に入る。しかし、考えてもみてほしい。ポルシェでサーキットに行っても、結局は「ちょっと速くて重いロードカー」の域を出ない。しかしラディカルならどうだ? ヘルメットを被り、6点式ハーネスで体をガチガチに締め上げ、地を這うような視線でコーナーに飛び込む。ブレーキペダルを踏みちぎるほどの減速Gと、首がもげそうになる横G。一般的なスポーツカーなら「これ以上踏んだら飛んでいく」と本能が警告する速度域で、巨大なフロントスプリッターとリヤウイングが車体を路面に押し付け、ラディカルは逆に安定し始めるのだ。「もっと踏め、もっと速くコーナーに飛び込め」と車が急かしてくる。その誘惑に負けてアクセルを踏み抜いた瞬間、あなたは自分がル マン レーサーにでもなったかのような全能感に包まれるだろう。2,283万円で「本物のレーシングドライバー」になれるのだ。そう考えれば、これほど安い買い物はない(※なお、奥さんを説得する責任は我々トップギア ジャパンでは一切負いかねる)。
ここで、この狂気の祭典を日本に持ち込んだ張本人、ラディカル ジャパン株式会社の代表取締役である榎本友香氏のコメントを紹介しよう。彼女の情熱的なメッセージを、一言一句違わずそのままお届けする。
「ラディカルカップ・ジャパンの立ち上げを皆さんにお知らせできることを、本当に嬉しく思います。
この会社を立ち上げた理由は、ただこうした素晴らしい車でレースをしたいという気持ちだけではありません。ドライバーやチーム、国境を越えた人々が、この卓越したマシンへの共通の情熱を通じて自然につながれるコミュニティを作りたかったのです。
関わる皆さんと一緒に、日本と世界中のラディカルカップをつなぐシリーズを作り、イギリスの長くて信頼のあるモータースポーツの伝統と、日本の限りない追求心を結びつけることで、アジア太平洋地域のレースの水準を高めていきたいと思っています。
そして、日本カップに参加するために海外から駆けつけてくださる皆さんへ: 日本の美しさやおもてなしの心、そしてあらゆる意味で少しだけ”ラディカル”なレース体験を、皆さんに楽しんでいただけることを誇りに思います」
なんという美しく、そして情熱に溢れたコメントだろうか。「日本の美しさやおもてなしの心」という極めてエレガントな言葉と、ドライバーの全身の筋肉を破壊する「ラディカルなレース体験」とのギャップがたまらない。彼女が率いるラディカル ジャパンは、単に高価なおもちゃを売るだけでなく、世界基準のモータースポーツ コミュニティを日本に根付かせようと本気で目論んでいるのだ。
2027年の本戦開幕を待ちきれない、せっかちなスピード狂たちのために、2026年後半にはプレイベントも用意されている。まずは11月3日(祝)に、岡山国際サーキットで「Radical Japan Exhibition Race」が開催される。練習走行から予選、そして2本のエキシビション レースが実際の本戦と同じフォーマットで行われる。テクニカルなインフィールドセクションと2本の長いストレートを併せ持つ岡山は、マシンセットアップの妥協点を見出すのが非常に難しいコースだ。初年度のチャンピオン獲得を狙うなら、ここでのデータ収集が決定的な意味を持つことになるだろう。
続く12月12日(土)には、モビリティリゾートもてぎで「Radical Japan Training Day」が開催される。ストップ アンド ゴーのレイアウトを持つもてぎは、強烈なブレーキングと強靭なトラクションが求められる。ここではプロドライバーによるデータを用いたフィードバックや、車載データの活用レクチャーが受けられるという。レーシングカーは買えても腕が伴わないジェントルマンドライバー(もちろん我々のことだ)にとっては、涙が出るほどありがたいサポート体制である。
さらに、ラディカル ジャパンは抜け目がない。この狂気に満ちた世界へ足を踏み入れるのを躊躇している裕福なエンスージアストたちのために、「プライベート有料試乗プラン」まで用意しているというのだ。自分の走行枠に合わせてデモ車両をレンタルし、その恐るべきポテンシャルを体験できる。しかし警告しておこう。一度でもその極狭のシートに収まり、ダウンフォースが効いた状態での異次元のコーナリングを味わってしまえば最後だ。帰り道に自分の愛車(たとえそれがイタリア製の真っ赤なスーパーカーであっても)を運転した時、それがひどく鈍重で、サスペンションの抜けたトラックのように感じてしまうだろう。これは、絶対に開けてはならないパンドラの箱を開ける行為なのだ。
ラディカル ジャパンは2025年に正規販売代理店として発足し、車両の販売だけでなく各種パーツ供給、プロによる技術サポートもワンストップで提供するという。かつて海外製のバックヤード ビルダー的レーシングカーを買うということは、パーツが壊れたらイギリスから船便で届くのを半年間待ち続けるという、悲惨な修行を意味していた。しかし、その心配も無用というわけだ。イギリスの伝統的なモータースポーツ文化を、日本特有のきめ細やかなサポート体制で支える。まさに完璧な布陣である。
現代の自動車が失ってしまった「生々しさ」と「恐怖」、そして「それをねじ伏せる圧倒的な快感」。ラディカル SR3 XXRは、それらすべてを備えた希少な存在だ。
「Radical Cup Japan 2027」は、単なる新しいレースシリーズの開幕ではない。エコと自動運転、そして過剰なインフォテインメント システムに毒された日本の自動車界に対する、英国からの強烈なウェイクアップ コールなのだ。もしあなたが、銀行口座に2000万円以上の余裕があり、休日にゴルフ場でボールを叩くよりも、サーキットでGフォースと格闘したいという奇特な趣味の持ち主であるなら、今すぐラディカル ジャパンに電話をかけるべきだ。限定10台のローンチパッケージは、あっという間に売り切れてしまうに違いないからだ。さあ、クローゼットの奥からヘルメットを引っ張り出し、埃を払う時が来た。
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