1973年にわずか900ポンド(18万円)で購入され、長年放置され朽ち果てていたアストンマーティン DB5。しかし、オーナーの情熱とアストンマーティン ワークスの職人による2,500時間にも及ぶレストア作業により、新車同様の輝きを取り戻した。伝説のボンドカーが辿った数奇な運命と、その驚くべきビフォーアフターを紹介する。
ようこそ、あなたが目にするであろう最高のアストンマーティン DB5へ。これが最高なのは、温度管理されたガレージで保存されていた低走行の工芸品だからでも、どこぞの女王がかつて所有していたからでもない。
いや、これがとてつもなく素晴らしいのは、この輝かしいレストアが行われる前、この特定のDB5が、それはもう絶対に、間違いなく…「酷い」状態だったからだ。
この車は1973年、ウェールズ人のジョン ウィリアムズという男によって、900ポンドという大金(現在の価値で1万5000ポンド/290万円)で購入された。溶接工でありガレージ(整備工場)のオーナーだったウィリアムズは、夢のDB5のために1年間貯金し、19歳の時に列車に飛び乗ってロンドンへ買いに行ったのだ。
そして、彼は乗った。毎日の足としてだ。「あの秘密諜報員(言わずと知れたジェームズ ボンドのこと。映画『007』シリーズでDB5はボンドカーとして最も象徴的な存在)」が乗っていたDB5を、毎日乗り回したのだ! 4年以上も。彼が乗るのをやめた唯一の理由は、このエージェント(ウィリアムズ)が中東での任務(仕事)に派遣されたからだ。新しい仕事ってやつだ。
それで車は私道に放置された。そして居心地が良くなった。あまりに居心地が良すぎて、腐り始めた。塗装は剥げ、錆びつき、バラバラになり始めた。「近所の子供たちが遊びに来てね」とウィリアムズの妻、スーは語る。「あの子(車)の上で遊ぶのよ。ボンネットの上で跳ねたりしてね。ある子は排気管の上でバランスを取って、へし折っちゃったわ」
世界で最も有名な車の一台にしては、かなり不名誉な結末だ。しかしウィリアムズは、愛するDB5を復活させると心に決めていた。「ガレージの人間として、あの子をあんな状態にしてしまったことが少し恥ずかしかったんだ」と彼は言う。「あの子を買うために一生懸命働いた。そして今、あの子を直すためにまた一生懸命働いたんだ」
「私たち」というのは、アストンマーティン ワークス(英国ニューポート パグネルにあるアストンマーティンの歴史的な工場跡地を利用した部門。ヘリテージカーの販売、整備、そして今回のようなフルレストアを行う公式の聖地)が登場する場面だ。スペシャリストたちは、この希少なDB5――高出力のヴァンテージエンジン仕様、右ハンドル、そしてシルバーバーチ(『007 ゴールドフィンガー』でボンドカーに使用された、DB5を代表する有名なシルバーのボディカラー)塗装という組み合わせはわずか39台しかない――をベアメタル(金属剥き出し)の状態まで剥離し、2,500時間を費やして蘇らせた。それは間違いなく、困難で、栄光に満ち、そしておそらく大いなる満足感を得られる時間だったに違いない。
「到着した時、車はひどく荒れ果てた状態でしたが、我々は常に挑戦を楽しんでいます」とアストンマーティン ワークスのボス、ポール スパイアーズは語る。「パネル、塗装、トリム、ヘリテージの各ワークショップのチームによる2,500時間以上の献身的な作業と、社内部品部門からの重要なサポートを経て、車は今、完成しました」
「車の価値を推測するのは野暮かもしれませんが、もし再び市場に出ることがあれば、最大100万ポンド(2億円)の値がつくことは間違いないでしょう」と彼は付け加えた。
ウィリアムズが喜んだのは言うまでもない。「この車を運転してから、おそらく50年近く経つだろうが、その体験は驚異的だ。ただただ…信じられない。私の『彼女』が戻ってきて、元気に走っている! かつての栄光を取り戻してね」
【奇跡の復活】900ポンド(18万円)で買ったボロボロのアストンマーティン DB5、公式レストアを経て100万ポンド(2億円)の価値へ
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=海外の反応=
「完璧だ」
「磨けば直るって本当だったんだな!」
「美しい車、素晴らしい仕事だ。彼らがボンネットの中を覗き込んでいる写真を見て、映画『ミニミニ大作戦(The Italian Job)』のあのシーンを思い出したよ。「修理代の請求書です、旦那様。2番目のキャブレターにもう少し空気が必要かと思います。虎狩りには報奨金が出ますからね」ハハハ」
「オーケー…で、レストア代はいくらかかったんだ? 2500時間の人件費に入手困難なパーツ代…」
「これは素晴らしいことだが、同時に少し悲しくもある。自分の中の一部は、修理されたばかりの姿ではなく、経年変化(パティナ)を残したまま走る姿を見たかった気もする。でもまあ、明らかに手遅れな状態だったんだろうな。いい話だ」
「100万ポンド? もっとするだろ…」




