もしあなたがマセラティのショールームを訪れ、接客してくれたセールススタッフの襟元に金色のトライデントバッチが輝いているのをみつけたら、その人は「マエストロ」と呼ばれる特別なセールススタッフである。この「マセラティマエストロ」とは、2019年にマセラティジャパンが導入した日本独自のプログラムで、セールススタッフの「販売力」「接客力」「思考力」が総合的に評価される制度だ。マセラティのプロフェッショナルの証であるこの「マエストロ」という称号を、本年は2名のセールススタッフが受賞した。今回、トップギア・ジャパンではその受賞者であるマセラティ紀尾井町の安東俊店長と、マセラティ高松の吉田一清店長に話をお聞きし、その人となりと受賞の理由を探ってみた。
マセラティマエストロとは?
「マセラティマエストロ」という制度は、2019年にマセラティジャパンが独自に導入したプログラムである。これまで販売台数の上位者を表彰する制度はあったが、「販売台数」だけではなくその「販売クオリティ」も評価してセールスマンの名誉となる制度にしたいというのがその始まりだ。まずは全国90名のセールススタッフの中で新車販売の上位10名と中古車販売の上位1名の計11名の成績優秀者がノミネートされる。その後、ロールプレイングや面接を経て、最終的な受賞者が決定する。ロールプレイングに関しては事前に課題を与えられるが、今年の課題は特に難しく、2人とも非常に苦労をされたという。この難関を見事突破した安東店長と吉田店長の襟元で輝く金色のトライデントバッチは「マエストロ」を受賞した証である。
「マセラティが人生を変えてくれた」
マセラティ紀尾井町 安東俊店長
マセラティ紀尾井町の安東店長は学校を卒業後、自動車のメカニックとして2年働き、いったんは飲食業界に転身したものの、「営業」という仕事に魅力を感じて、再び自動車業界に戻ってきたという異色の経歴を持つ人物である。マセラティの販売に関しては5年のキャリアがあるが、誰が見てもカッコ良いデザインだけではなく、110年の歴史の中で一貫したポリシーでスポーツカーを作る続ける姿にマセラティの魅力を感じているという。
そしてこのイタリアンブランドを担当するようになってから普段着るスーツの生地や靴、食事や大好きなワインなどを通じて、イタリア文化や伝統、そしてイタリアの良さや、イタリアらしさと魅力について改めて興味を持つようになったという。
また、マセラティを購入されるお客様は様々な分野に精通している方が多く、商談の席でも車の話だけにとどまるケースは少ないため、お客様の興味感心のありそうな分野には常にアンテナを張り巡らせるようになったという。他分野のラグジュアリーブランドの店舗を覗きにいくのも、そのサービスレベルを確かめに行くだけでなく、お客様と同じ体験をして話材を仕入れるためでもある。そんな細かな努力も欠かさない。
納車の際にお客様の笑顔を見ることがなによりもの喜びだという安東店長だが、より多く販売すれば、それだけ多くの自分の喜びを得られると微笑む姿が印象的である。
今回が「マエストロ」は初受賞となるが、難関の販売上位者というハードルをクリアし、参加する資格を得たことから、真剣に挑戦することを決めた。
「マエストロ」になってからは自分の仕事に対する意識が変わったことが大きな変化であるという。それはブランドやプロダクトの魅力を伝えるプロフェッショナルとして他のセールススタッフの「お手本」にならなくてはという意識である。普段の身だしなみから接客対応などの営業としての立ち振舞だけではなく、それは学ぶ姿勢や気持ちの部分にも及ぶ。
普段の生活ではお会いできないようなお客様から勉強させてもらうことで自分の意識が変わり、人間力が高まり、成長を実感できることがマセラティセールスの最大の魅力だという。まだ34才と若い安東店長だが「マセラティに人生を変えてもらったんです」と語る笑顔の奥には、さまざまな経験を積み上げてきた自信が覗く。
これからの夢を聞いてみた。安東店長はよりたくさんの店舗を統括する立場でマセラティの魅力をさらに多くの人々に伝えていきたいと語る。きっと目標にする立場の先輩がいるのであろう。ユーモアを交えて冗談ぽく笑顔で答える姿をみると、安東店長がお客様に好かれる要因がわかった気がする。
「持続・継続」と「おかげ」の精神
マセラティ高松 吉田一清店長
今回「マエストロ」を受賞したもう一人は、マセラティ高松の吉田店長である。2015年にユーロスポーツ株式会社に入社し、マセラティ一筋で8年のキャリアを積み重ねてきた。安東店長と同じく飲食の世界から飛び込んできたが、なによりもお客様の顔を見ることのできて「人と関わる仕事が好き」ということが自動車業界に飛び込む最大の理由だった。
実は吉田店長はこれまでに3度「マエストロ」を受賞したことがある。4回目のチャレンジとなる今年は、当初後進に道を譲るため辞退しようと考えていたが、奥様から「受けたくても受けられない人がいる中で、棄権するというのは失礼じゃないかしら?」と諭され、チャレンジを決めたという。
ロールプレイングの事前課題が決まったときには似たケースの動画を探して観まくった。過去3度も受賞しながら、奢ることなくさらに勉強を続けていく姿には頭が下がる。
「マエストロ」を受賞してお客様に喜んでいただけたことがとても印象的だったと語ってくれた。お食事のお誘いを受けるなど、ちょっとしたプレゼントもいただいたというが、やはり自分の担当者がこのような名誉ある賞を取るということは、お客様にとっても誇らしいことなのだろう。
吉田店長の実に穏やかで誠実な話しぶりは聞く人に安心感を与える。マエストロを受賞したことで周りの評価も上がるが、その栄誉にふさわしい「中身が伴う」人間になることを常に心がけているという。
お客様から学ぶことも多いが、実際にお客様と同じ経験をするために「自己投資」をしてきた。例えば、良質だと評判のホテルやレストランのサービスを体験しにいくという。また生命保険に関する資格を取得するなど、常に勉強を欠かさない。
これは吉田店長がかねてから尊敬する二人の上司からかけられた言葉による影響が大きい。それは、いまでも大切にしている「持続・継続」と「おかげ」という言葉である。「持続・継続」では当たり前のことをやり続け、そのレベルを上げていくことの大事さを、そして「おかげ」は、常に周りへの感謝の気持ちを忘れないという自分への戒めの言葉でもある。実にシンプルな言葉であるが吉田店長のように実践し続けるのは難しい。
マセラティの魅力を聞いてみた。吉田店長は人を変える力だと答えられた。お客様のなかから何人も、マセラティの購入をきっかけにファッションや趣味などライフスタイルが変化していく様子を目にしてきた。そして店長自身もマセラティを通じていろいろな人々と出会い、刺激を受けることで人間としての大きな成長を感じることができたという。
吉田店長の次の夢は、新しく入ってくるスタッフが「マエストロ」を取れるようにじっくりと育てていくことだという。
「本当はそういう人材育成とかは苦手なんです…」とはにかむが、一度決意したら苦手なものだろうと常に挑戦し続けていくという強い気持ちが、いまの吉田店長を作り上げたのだろう。「持続・継続」を実践する姿は実に男らしくてカッコいい。
【取材を終えて】
今回の取材では「マエストロ」のお二人のお話を伺った。日頃の活動で心がけていることを聞くと「お客様へのレスポンスの速さと正確性」だと同じ回答をいただいた。販売成績が思うように伸びないときは、安東店長は「ひたすら活動量を増やす」こと、吉田店長は「ショールームの清掃などを積極的にする」など、共通して無心に手を動かす作業を大事にしているという。そしてさらに「マセラティが人生を変えてくれた」という感謝の言葉が二人の口から発せられたことに驚いた。
確かに、二人とも異業種からマセラティのセールスの世界に飛び込み、当初は見るもの聞くものすべてが新鮮で毎日が刺激的だったに違いない。しかしながら「人生を変えてくれた」とまで言える裏には、お客様に信頼いただくためのブランドやプロダクトの勉強のみならず、お客様から素直に学べる姿勢や豊かな感受性、もっと言えばお客様からいろいろな話を引き出せる力、そして聞いた話に興味を持って自ら調べ、自分で体験することで経験値を増やしていく自主性と積極性も必要となってくるのであろう。
「人生を変えてくれた」という本当の意味はマセラティの販売を通じてそのようなポジティブな連鎖を生み出す術を身につけられたということなのだと思う。
「マエストロ」制度は「量」だけではなく「質」を評価するプログラムである。お二人の話を伺ってマセラティジャパンがなぜこの二人を「マエストロ」に選んだか良く理解できた。
グレカーレ トロフェオのオススメポイント 安東店長コメント
グレカーレはSUVでありながらもスポーティな走りを楽しめるモデルです。伝統的な縦型のグリルはこの車にも採用されていますが、サイドにある3連のエアベントはひと目でこの車がマセラティであることを表す特徴的なデザインのひとつです。お客様の多くはデザインを気に入っていただいてご購入いただけますが、ファミリーで使われる際の実用性も十分に備わっています。
グレカーレから一新したシンプルでクリーンなインテリアも好評です。レザーの質感やトロフェオでは標準装備された高級オーディオ「ソナス・ファベール」の音もお楽しみください。
このモデルの一番好きなポイントは力強くありながらも優美なフロントデザインです。
グラントゥーリズモのオススメポイント 吉田店長コメント
グラントゥーリズモは先代の基本的なデザインは継承しつつ、新たに縦目のライトを採用したり、4WDになったりとすべてが一新されたモデルです。
先代モデルより乗りやすく通勤や買物、ゴルフなど日常の足として普段使いされるお客様も多くいらっしゃいます。これは製品としての信頼性が高くなっている証だと思います
クーペスタイルでありながらも4人が乗車でき、荷物なども乗せやすいことから、あらゆるシーンで活躍できる車としてオススメできます。
このモデルの一番好きなポイントは、リアの膨らんだフェンダーの造形です。男性らしいパワフルさと女性らしいエレガントさが同居しているのです。