長さ137m、幅117mの巨大ツリーが214台のクルマで作られた、トップギアTVのクリスマススペシャル

ランウェイの真ん中にある仮設ステージから「メリー・クリスマス・エブリワン」とシェイキン スティーブンスが歌い出す。ステージの前に置かれた演台では、3人の中年男性がまるで-そう、飲み過ぎた後の父親の踊りを見たことがあるだろう-酔っ払いのように踊っている。

「この曲を聴くと、すぐにここに戻ってきたくなりそうだ」と、ある見物客は感想を述べている。それが良いことなのか悪いことなのか、私たちにはわからない。彼は、白いフェアリーライトに包まれたダークブルーのポルシェ GT4 クラブスポーツの隣に立っている。そして、そのようにデコレートされているのは、彼の車だけじゃない。

会場は、トップギアのテストコースとして知られるダンズフォールド飛行場。今回、「トップギア クリスマス スペシャル」に参加することになったファンの人々だ。214台のクルマが、妖精の光で飾られた巨大なクリスマスツリーをイメージして作られた。そう、この番組の制作チームは、あらゆる手段を講じているのだ。

「エキゾチックな大冒険がない今のような社会ですから、特別なものにする方法が必要でした」と、プロデューサー兼ディレクターのザック アセマキスは説明している。「去年のクリスマスは、あっという間に過ぎ去ってしまったような気がしたので、このエピソードの祝祭的な要素を11倍にしてみたかったんです」

自動車で巨大なクリスマスツリーを作るのは、ひとつの方法だ。しかし、このようなことは一瞬でできることではない。このセットアップは、オフィスで投げかけられたアイデアから本格的なプランまで、数週間かけて進められた。

「最初は、Google Earthで小さな車を木の形に落とすだけでした」とザックは言う。「しかし、私たちが理解しなければならなかったのは、それが本当に実現可能なのか、ということでした。どれだけのスペースが必要なのか、何台の車が必要なのか…」

コンピューター支援設計ソフトを使い、メモ帳に描いたラフスケッチから、詳細な技術図面に仕上げていった。ダンズフォールドの位置は慎重に検討され、滑走路のマークがツリーの出発点、そして基点として使われた。つまり、長さ137m、幅117mという、214台の車を必要とするツリーを、標識の大きさに合わせて作る必要があったのだ。

じゃあ、さっそく取りかからなきゃ。TGチームは、メーカー、カークラブ、そしてザックが言うように「エキゾチックな車」を持っている人なら誰にでも声をかけていった。ボクスホールのコルサはないよ。そして、ザックが言うように「最大の頭痛の種」であったのは、照明だ。

「夜のダンスフォールドは真っ暗なので、セット全体に光を当てるために巨大なクレーンを使って大規模な照明計画を立てなければなりませんでした。また、車のフェアリーライトも考慮しなければなりません。つまり、クリスマスツリー全体を見るために必要な高度でドローン撮影をしたときに、フェアリーライトが映るかどうかを考えなければならなかったのです」

「この高さでは、フェアリーライトは厄介です」とザックは言う。「そのため、さまざまなライトの束を使って、どれが映るかをテストする必要がありました。また、特殊な低照度カメラも用意しなければなりません。1台の車でテストするのも大変でしたが、200台以上の車でテストするとなると…心臓に悪い瞬間でしたね」

そして、そのパズルを完成させるための最後のピースとなるのがシェイキン スティーブンスであり、彼が演奏するための、素早く簡単に移動・構築(そして解体)できるステージであった。

「シェイキンの曲はクリスマスの名曲のひとつで、クリスマス気分を盛り上げて踊ってもらいたいと思っていました。しかし、ステージを作る時間が限られていることもわかっていたので、プレッシャーは募るばかりでしたよ」

なるほど、プレッシャーは大きそうだ。そして、計画からおよそ6週間後の秋の日を迎えると、当日の最初の問題が頭をもたげる。

「ライティングは入念に計画されていたのですが、私たちがダンスフォールドに到着したとき、一晩中大雨が降っていたんです。クレーンも水浸しで置きたい場所に置けず、コースの反対側に移動させることになりました」

いかにも、トップギアらしい順調な滑り出しだね。しかし、制作チームは、プラスチック製のコーンを用いて、各車両の位置を示すための測定用ホイールを何個も用意し、作業を続けた。さて、ここからが本題。マン島グリーン、つまりクリスマスツリーにふさわしい色を身にまとい、螺旋の滑り台とソーセージの屋台があるクリスマスフェアのそばで、ポジションを呼ばれるのを辛抱強く待っている車の列に加わった。まだ秋だというのに、まるでクリスマスのような雰囲気だ。

そしてその場で、214台ものクルマの一部をじっくりと見ることができた。BMW イセッタ 600からパガーニ ゾンダ S、テスラ モデル 3パトカーまで、実にさまざまな車が展示されており、ザックはそのバラエティに富んだ展示に満足している。

「最も素晴らしい車のラインナップで、本当にレアで珍しいものばかりでした。BAC Monoに乗った年配の女性もいましたし、バブルカー、アメリカンマッスルカー、ホットロッド、エキゾチックな機械もありました。実に多彩な顔ぶれです」

「私たちは、車が十分に集まるかどうか、また、来ると言っておきながら当日に来ない人がいるのではないかと心配していましたが、本当にラッキーでした。車好きたちが家族のように集まって、クリスマスを盛大に祝ってくれたのです」

クルマを並べ、試行錯誤の末に配られたフェアリーライト。飾り付けの方法はさまざまで、派手に点灯させる人もいれば、慎重に行う人、さらにクリスマスらしい飾りを持参する人もいだ。BMW i8のオーナーは、2組半のライトで愛車を飾り付け(1組は折れちゃった)、気づいたときには遅すぎたが、キーが中に閉じ込められていた。あちゃー。

1990年式のシトロエン BX GTi 4x4に乗ったクリス、1982年式のフォード エスコート XR3i カブリオレに乗ったパディ、そして1992年式のレンジローバー クラシックに乗ったフレディが登場し、幅5.5メートルの木の幹から星型のポディウムに向かうのだ。

「プレゼンターたちには、リングに向かってスタジアムを歩くボクサーのような気分で、この瞬間に浸ってほしかったんです」とザックは言う。クリスはオタクモード全開で、途中で気になったクルマを指差して(オーナーも大喜び)はしゃいでいた。

ステージに上がると、ザックが緊張しながら見守る中、いよいよ本番。カウントダウンが始まり、3、2、1、そして魔法のようにツリーが点灯した。ザックは、すごくうれしかったんじゃないかな?

「モニターで見たとき、「わあ、こりゃアメイジング!」という感じでした」と彼は言う。昨晩、初めて番組を観た私たちも、そう思う。どうやったかというと…まあ、マジシャンってものは秘密を明かさないからね。

シェイキン スティーブンスは、メリー・クリスマス・エブリワンを4曲歌い、寒い夜にクリスマスの陽気さと必要な暖かさをもたらしてくれた。プレゼンターたちは、カメラの前で踊ることをどう感じたのでしょうか?

「踊れとは言っていないよ。踊れとは言ってないのに、ノリノリでやってくれました」とザックは笑った。観客の中にも、クリスマスジャンパーなど華やかな服装の人が多く、パーティーのような雰囲気になっていた。

「私たちは、このイベントをクリスマスのように感じてほしかったし、本当のお祝いのように感じてほしかったんです。クリスマス風のジャケットや仮装をした人たちをこれほど多く見たのは初めてです。クリスマスツリーの格好をした人もいましたよ!クリスマスでないことを忘れてしまうほどでしたね」とザックは付け加えた。

あっという間にショーは終了。来年はどうするのだろうか?

「またどこかの汗臭いジャングルに戻って、人里離れた場所へのルートを探しているところかな。それが来年の夢ですね」みんな同じことを考えてるよ、ザック。

TopGear.comのスタッフ一同、皆さまにハッピーなクリスマスをお祈りしています。

iPlayerで見逃し配信も。イギリスに住んでいれば、の話。

=海外の反応=
「楽しいエピソードだね!トップギアの皆さん、メリークリスマス」

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