ジャガー・ランドローバー、中国市場やディフェンダーが好調かつキャッシュフロー改善にも注力し、順調に回復中

英国最大の自動車メーカーであるジャガー・ランドローバーは、2020/2021年度(2020年4月~2021年3月)の第4四半期および通期決算を発表した。

COVID-19によるパンデミック発生後も業績は回復を続け、2020/21年度第4四半期の世界販売台数は前年同期比12.4%増の12万3,483台となった。これは、すでにCOVID-19による影響のピークを越えた中国市場での力強い回復が寄与しており、中国市場における第4四半期の販売台数は前年同期比127%の大幅増となっている。通年の世界販売台数は43万9,588台で、依然として前年を13.6%下回っているものの、中国の販売台数においては前年比23.4%増を記録している。数々の賞を受賞している「DEFENDER」の世界販売台数は第4四半期で1万6,963台、通年で4万5,244台となり、大きく貢献した。特別費用計上前の税引き前利益は第4四半期で5億3,400万ポンド(827億7,000万円)、通年では6億6,200万ポンド(1,026億1,000万円)となり、COVID-19の影響を受けた前年同期の損失から大幅に黒字回復した。第4四半期のEBITマージンは前年同期から10.7ポイント上昇して7.5%、通年では2.5ポイント上昇して2.6%に改善。収益性の改善は主に販売台数の回復によるもので、その他にも製品ミックスやマーケティング費用を含むコスト削減、外国為替によりプラスの影響を受けた。

ジャガー・ランドローバーは2021年2月にデザインによるモダン・ラグジュアリーの未来を再構築し、2025/26年度までに2桁のEBITマージンの実現を目指す新たなグローバル戦略「REIMAGINE」を発表している。これに伴い、第4四半期には、9億5,200万ポンド(1,475億6,000万円)の現金支出を伴わない先行投資の評価損と、2021/22年度に支払われる予定の5億3,400万ポンド(827億7,000万円)の構造改革費用を含め、15億ポンド(2,325億円)を計上している。これらの特別費用計上後の税引き前損失は、第4四半期が9億5,200万ポンド(1,475億6,000万円)、通年で8億6,100万ポンド(1,334億5,500万円)となった。

第4四半期のフリーキャッシュフローは7億2,900万ポンド(1,129億9,500万円)で、通年においては、23億ポンド(3,565億円)の投資支出後でも、1億8,500万ポンド(286億7,500万円)のプラスとなっている。2020/21年度第2四半期から第4四半期までのキャッシュフロー総額は18億ポンド(2,790億円)となり、第1四半期中、COVID-19の影響によってジャガー・ランドローバーの工場が2か月間閉鎖されたことによる16億ポンド(2,480億円)の現金支出を相殺しても余りある額となっている。

ジャガー・ランドローバーのチーフ・ファイナンシャル・オフィサーである、エイドリアン・マーデルは次のように述べている。
「COVID-19の影響でリテールとサプライチェーンのいずれにとっても厳しい状況が続いているにもかかわらず、第4四半期も引き続き、キャッシュフローと収益性の改善ができたことを嬉しく思います。特に、第4四半期にEBITマージンの7.5%を達成でき、通年でプラスのキャッシュフローを成し遂げたことは非常に満足のいく結果となりました。業績の強化は、販売の質とコスト構造の改善に加え、『Charge+』プロジェクトを通じてキャッシュフローを重視した取り組みが奏功したものです」

第4四半期中、1億5,500万ポンド(240億2,500万円)のコスト効率化と1億7,700万ポンド(274億3,500万円)の投資支出の削減を含め、「Charge+」プロジェクトによって3億3,200万ポンド(約514億6,000万円)を超える利益とキャッシュフローの改善を達成した。これによって、2020/21年度中の「Charge+」プログラムによるコスト削減額は25億ポンド(3,875億円)、2018年9月のプログラム開始以降のコスト削減累計額は60億ポンド(9,300億円)となり、当初の目標を大幅に上回ることができた。

ジャガー・ランドローバーが2020/21年度末時点で保有する現金および短期投資の総額は48億ポンド(7,440億円)となり、2022年7月までに未使用の回転信用枠(RCF)19億ポンド(2,945億円)を含めた流動性資産総額は67億ポンド(10,385億円)となった。ジャガー・ランドローバーはRCFのうち13億1,000万ポンド(2,030億5,000万円)について、2024年3月までの期限延長も完了している。

2020/21年度、ジャガー・ランドローバーは最新技術を搭載した2021年モデルの受注を開始した。8種類のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)、11種のマイルド・ハイブリッド(MHEV)、フルバッテリー電気自動車(BEV)である「I-PACE」など、12のモデルに電動化オプションが追加され、販売台数の62%を占めている。

COVID-19のワクチン接種率の向上により、世界経済や自動車業界が最終的にパンデミックの影響から回復することが期待されている。しかし、多くの市場では依然として感染者数が高い水準にあり、とりわけ半導体を中心としたサプライチェーンの問題の緩和は困難で、次の第1四半期の生産計画にも影響を及ぼしている。ジャガー・ランドローバーでは影響を受けているサプライヤーと緊密に協力して問題を解決し、顧客への影響を最小限に抑えるよう努めている。

ジャガー・ランドローバーは2021/22年度も販売台数の回復が続くことを見込んでいる。引き続き、約25億ポンド(約3,875億円)の投資と、すでに計上されている約5億ポンド(約775億円)の構造改革費用を考慮したうえで、少なくとも4.0%ポイントのEBITマージンと、損益分岐点を超えたフリーキャッシュフローの達成を目標としている。

ジャガー・ランドローバーの最高経営責任者(CEO)である、ティエリー・ボロレは次のように述べている。
「ジャガー・ランドローバーの最高経営責任者(CEO)に就任して初の通年決算となった今回、かつてない厳しい年であったにもかかわらず、この会社の持つ強さと驚異的な回復力に大いに勇気づけられました。パンデミックにもかかわらず、当社は今年2月に当社を象徴する英国の2ブランドを通じてデザインによるモダン・ラグジュアリーの未来を再構築していくことにフォーカスした『REIMAGINE』戦略を発表し、ポジティブで大きな変化をもたらしました。この戦略は野心的で、私たちは、より迅速で、効率的、かつサステナブル(持続可能)であろうとしています。まだ初期段階ではあるものの、すでにこの戦略の導入について大きな進展を見せており、これによって、目標を達成するための適切な戦略と人材、製品計画があることを改めて確信しています。ジャガー・ランドローバーはパンデミックに打ち勝ち、これまで以上に力強さと回復する力を持つ企業として今後、新たな機会を確実にいかしていくでしょう」

トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2021/06/34637/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ピックアップ

トップギア・ジャパン 063

アーカイブ