あえて小さな差別化を図った5つのタイプ
ホンダの小型車、フィットが4代目に生まれ変わった。ライフスタイルに合わせた5つのタイプから選ぶことができ、価格のレンジは1,557,600-2,486,000円まで、10種類が揃っている。販売計画台数は月間で10,000台を見込んでいる。
2007年発売の2代目、2013年発売の3代目と正常進化を遂げた、グローバルカーのフィットだが、4代目ではどこが変わったのだろうか。
それは、「心地よさ」だという。4代目だからということなのだろうが、4つの心地よさ、“心地よい視界”“座り心地”“乗り心地““使い心地”をポイントとして挙げている。
断面構造を変えることで、フロントピラーは従来の半分以下の厚さにするとともに、十分な1つ目は、衝突安全性能も確保しています。水平・直線基調のインストルメントパネルやシンプルで見やすいバイザーレスメーターの採用などと合わせて、安心感のある“心地よい視界”を実現した。
2つ目は、座った瞬間に心地よさが感じられるシートを目指し、フロントシートには骨盤から腰椎までを樹脂製マットで支えるボディースタビライジングシートをHondaとして初めて採用した。コンパクトカーでありながら大人がゆったりと座れる厚みのあるやわらかなパッドをリアシートに採用。前後席ともに長距離ドライブでも疲れにくい快適な“座り心地”を実現している。
3つ目は、パワートレーンには、2モーターならではの力強い加速と滑らかな走りを実現するHonda独創のハイブリッドシステムe:HEVをコンパクトカーとして初めて搭載。優れた燃費性能だけでなく、走る楽しさを両立している。また、軽量化・高剛性化・高強度化を徹底したボディーや、衝撃を素早く吸収して路面をしっかりととらえるサスペンションなどと合わせて、快適な“乗り心地“を提供する。
4つ目は、歴代フィット同様の広い室内空間や多彩なシートアレンジは継承しつつ、気軽にかばんなどを置けるテーブルコンソールをフロントシートの間に設置するとともに、収納レイアウトについても視線・動線を考え抜いた配置とした。ハイブリッド車においてもIPU(インテリジェントパワーユニット)の小型化により荷室容量を確保し、快適な移動をサポートする“使い心地”を提供している。
それから新型フィットでは、従来のように装備などの違いでタイプを設定するのではなく、ユーザーのライフスタイルやライフステージに合わせて選択できる、5つのタイプを揃えている。シンプルで自分らしさが光る”BASIC”(ベーシック)、生活になじむデザインと快適性を備えた“HOME”(ホーム)、毎日をアクティブに過ごしたい人のための“NESS”(ネス)、週末に出かけたくなるエンジョイライフに応える“CROSSTAR”(クロスター)、洗練と上質を兼ね備えたスタイリッシュな“LUXE”(リュクス)から、最適なフィットが選べるということだ。東京モーターショーで、この数々の種類のフィットが展示されていたが、人が多かったせいもあり、英語のプレートで判別するしかなかったことを覚えている。たしかに、言われればHOMEやBASICな雰囲気を感じた。だが、決定的な差がすぐにわかるかといえば、それほどでもない。上の写真を見て、パッパと車種わけができる人は、まだそんなに多くないのではないだろうか。フィットに興味のある顧客を逃さないよう、あえて、あまり差別化しないようにしているのだと思う。グレードのクラス分けをあいまいにすることで、フィットとしての統一感を出す。オーナーは、パット見で低価格なグレードということも気づかれにくいという点も良い。
スタイルは、3代目よりもやさしい印象で、女性にも受けが良さそうだ。このあたりは好みが分かれそうだが、新たな顧客の開拓にも貢献するだろう。
そして、安全運転支援システムHonda SENSINGを全タイプに標準装備したというのはとても大きい。新型フィットのHonda SENSINGには、車両前後に装着された計8つのソナーセンサーと合わせて、前方を広角に検知するフロントワイドビューカメラを初搭載。8つの機能に加えて、後方誤発進抑制機能やオートハイビーム、Honda初となる近距離衝突軽減ブレーキを装備している。運転初心者や高齢ドライバーにもありがたい新型フィットが、販売をどこまで伸ばせるか、楽しみである。