重力を無視し、テスラ ロードスターが本当に空を飛んだ。SpaceXのロケット技術を流用し10基のスラスターを搭載。0-96km/h加速1秒未満を叩き出し、テスラの全ラインナップを飛び越えるという自動車史上最も狂気に満ちたイベントの全貌をお届けする。だが最大の疑問は「公道でいつ走るのか」だ。
我々が見たものをそのまま伝えよう。これが本当に起きたことなのか、それとも発表会前のビュッフェでヤバいエビを食べて食中毒による熱の幻覚を見ただけなのかは、後でゆっくり検証すればいい。
我々が目撃した事実。それは、テスラ ロードスターが空を飛んだということだ。
テキサス州ウェーコ郊外のSpaceX施設で開催された発表会でのこと。2008年に同社の歴史の幕を開けた初代の、長らく待ち望まれていた後継モデルは、0-96km/h加速を1秒未満でこなし、逆さまの状態で走行し、さらには(こう表現するほかないのだが)テスラ セミを含む既存の全ラインナップを飛び越えるキックフリップ(※スケートボードで板を空中で回転させるトリック)をキメるなど、脳が溶けそうなスタントの数々を披露した。まったくもって、ヤバい。
どうやって? ロケットだ。そう、彼らは本当にやりやがった。このテスラ ロードスターには10基の圧縮ガス・スラスター(※ロケットの姿勢制御等に使われる小型推進器)が搭載されている。後部に4基、前部に2基が外側に向けて配置され、さらに四隅に1基ずつが下を向いている。尻に付いた4基の推力があの記録的な加速を実現するわけだが、仮に同じだけのパワーをタイヤの駆動輪のみで路面に伝えようとすれば、4本のタイヤは一瞬で蒸発して消え去るだろう。
残る6基のスラスターにより、テスラ ロードスターは地上から舞い上がり、降下を制御するだけでなく、空中で姿勢を操ることすら可能にしている。ロケットリーグ(※ラジコンカーでサッカーをする世界的ヒットゲーム)をプレイしたことはあるか? まさにアレだ。
テスラらしく、イベントは派手な演出に全振りしており、2017年に初めて予告されたテスラ ロードスターの肝心な詳細については、腹立たしいほど最小限にとどめられていた。分かっているのは、納車開始が2028年になることと、最高速度が370km/h付近になること。スタントカーが無人であったこと、そして、そうだな、ドアが2枚あることくらいだ。
重力を無視したアクロバット飛行の合間に明かされたのは、その程度である。このイベントを経て、我々は答えよりも圧倒的に多くの疑問を抱え込むことになった。「いくらするんだ?」「カップホルダーはあるのか?」「そもそも一体どこで空を飛ぶことが許されるというんだ? その飛行に何の意味がある?」といった、極めて重要で切実な疑問だ。
もちろん、それを考える時間はこれからいくらでもある。あの発表イベント以降、このテスラ ロードスターは間違いなく数ヶ月にわたって自動車界の議論の中心に居座り続けるだろうからだ。今はただ、自動車史上最も常軌を逸したイベントのひとつとして歴史に名が刻まれるであろうこの光景に、素直に圧倒されておこうではないか。
車の「ローンチ(発表会)」か? いや、間違いなく文字通り「ローンチ(発射)」だった。
=海外の反応=
「あの宙に浮く『空飛ぶ』物体が本物の真っ当な車だとでも本気で信じてるのか? 勘弁してくれよTop Gear。マスクの話だぞ。あんたらもっと賢いはずだろう」
↑「一つだけ小さな問題がある。この車のどこが『ロードスター(※オープンカー)』なんだ? ジェット噴射のせいで必然的に横転した後、レスキュー隊に屋根を切り落としてもらうしかオープンにする方法はないみたいだが。
いずれにせよ、車をできる限り馬鹿げたものにする必要があったんだろうな。BYDが事あるごとに縁石を飛び越えるアクティブサスの能力をひけらかしてる以上、テスラはそれを上回らなきゃならなかった。たとえ実際には実現せず、本物の車が扇風機を底に付けただけの重たい鉛のソリになるとしてもだ。安っぽいね」
↑「昔、ディズニーランド・パリにも『モータース・アクション!:エクストリーム・スタント・ショー』ってのがあったな」
↑「ジェット駆動のラジコンカーか? これで興奮してるなら、少し大人になった方がいい」
↑「これからはこれで追い越し車線を塞いでるチンタラした連中をパスするってわけだ」
↑「じゃあ今回のイベントでのテスラ車を振り返ってみようか。モデル 3は時代遅れ。BMWやメルセデスの方が航続距離の面で優れた車(CLAやi3)を持ってるのに、なぜ買う必要がある? モデル Yも同じ。BMWのiX3やボルボのEX60の方が優秀だ。サイバートラックの売上は笑えるほど酷いし、そもそも冗談みたいな車だから真面目に受け取る価値すらない(どっちみちイギリスじゃ売ってないが)。テスラのトラック/HGVもアメリカ国内外で運送業者から驚くほど関心を持たれていない。
そして最後にロードスター。10年経ってもまだ実車が公道に存在しない、この終わりのない『ベーパーウェア(※実体のない宣伝先行の製品)』の茶番劇をマスクが未だに見せびらかしてるのは傑作だ。で、今度は空が飛べて、ラジコンで、ロケットエンジンが付いてるって? 10歳児がデザインしたのか? イーロン・マスクだってことを考えりゃ愚問だな。それに、マスクが指切りまでして『2028年になんとか出せるかも』と約束したところで、金が余ってて理性が足りない奴だけ予約の列に並べばいい。今のテスラを本気で相手にしてる奴なんているのか?」




