ポルシェの特注部門が、1人の顧客のために3年を費やし開発した狂気のワンオフモデル「フラッハバウ RS」。911 GT2 RSをベースに、伝説のレーシングカー「モビー ディック」の姿を公道仕様で完全再現した。インフォテインメントや遮音材すら剥ぎ取り、テスト車両まで製作してニュルブルクリンクを攻め立てた、ポルシェの病的とも言えるエンジニアリングの全貌を暴く。
熱狂的なポルシェのフラットノーズ愛好家なら、2025年5月にポルシェが欧州特許庁に「Flachbau(フラッハバウ)」および「Flachbau RS」という商標を登録したことを鮮明に覚えているはずだ。上記にある夢のようなワンオフのスペシャルモデルこそが、その理由である。そう、驚くことなかれ、これがフラッハバウ RSだ。
これは、あるオーナーの991.2型 911 GT2 RS(それ自体がすでに恐るべきマシンだが)を、ポルシェの社内ドリームワークス部門「ゾンダーヴンシュ(Sonderwunsch。ドイツ語で『特別な願い』を意味するポルシェの特注部門)」が、「モビー ディック」に似た姿へと変貌させたものだ。クジラの方ではない(ハーマン メルヴィルの小説『白鯨』のこと)。ポルシェのクラシカルで、極めて効果的で、「怪物的」なレーシングカー(1978年のル マンで活躍したポルシェ 935/78の愛称)のことである。
「我々の目標は、安全性、テクノロジー、あるいは公道走行の合法性を一切犠牲にすることなく、935の象徴的なルックスを再解釈することだった」と、ポルシェのインディビジュアライゼーション部門副社長であるアレクサンダー ファビグは語る。そう、あなたの読み間違いではない。このバケモノは公道を走れるのだ。
そして幸運な巡り合わせにより、このワンオフのデザインは、2018年に935の再解釈版(911 GT2 RSベースのサーキット専用車)を手がけたのと同じ人物、グラント ラーソンによって行われた。ポルシェによればグラントはすでに引退しているそうだが、自身の新たな創造物について次のように語っている。「新型フラッハバウ RSは、象徴的な935モビー ディックのデザインに対する、現代的でふさわしい再解釈だ」
どうやらGT2 RSをフラットノーズ(フロントのノーズ部分を低く平らにした空力デザイン)に改造するのは、怠惰な午後の暇つぶし作業などでは到底なかったようだ。より低くなった新しいフロントウイング、追加のルーバー、新設計のフロントバンパー、そしてハイビーム、ロービーム、デイタイムランニングライトが3段に配置された、実に美しい新しいLEDライトの処理が施されている。
ポルシェの大親友であるマンタイ(ポルシェが過半数株式を所有する名門レーシングチーム兼チューナー)もこのプロジェクトへの参加を決定した。つまり、新しいフロントスプリッター、リアディフューザー、標準モデルよりも優れたエアロダイナミクス、そして巨大なリアウイングが備わっているということだ。このウイングは、必要なダウンフォース量に応じて手動で3つのポジションに固定できる。そう、これは極めて熱狂的なポルシェなのだ。
どれほど熱狂的かといえば、ウイングを「ハイ」ポジションに設定すると、554kgものダウンフォースを発生させることができる。さらに、すでに軽量なヴァイザッハ パッケージの恩恵を受けているベースのGT2 RSよりも31.6kgも軽くなっている。つまり、極めて軽量だということだ。
ポルシェはGT2 RSのドライブトレインには手をつけていない。なぜかって? すでに710ps(原文は700bhp)と750Nm(原文は553lb ft)に近いパワーを叩き出し、0-100km/h加速(原文は0-62mph)は2.8秒、最高速度は340km/h(原文は211mph)に達する、強烈な3.8リッター水平対向6気筒ツインターボを搭載しているからだ。GT2 RSのパワーを弄るなど、そう簡単に踏み込める領域ではない(原文は映画『ロード オブ ザ リング』の有名なネットミーム「One does not simply walk into Mordor(モルドールへはそう簡単に行けない)」のパロディ)。
「グランプリホワイト」と名付けられた特別なワンオフのペイントジョブ、対照的なブラックの要素、いくつかのストライプ、エアロディスクホイール、そして徹底的に剥き出しにされたインテリアが特徴だ。いや、本当に徹底的に剥き出しなのだ。顧客はポルシェに対し、PCMシステム(ポルシェのインフォテインメントシステム)やステレオ、さらには遮音材やフロアカーペットまで剥ぎ取るよう要求した。
今やそこにあるのは、塗装された金属と剥き出しのカーボンだけだ。ワイヤーハーネス(配線の束)すら白日の下に晒すことが許されており、ポルシェは(彼らがポルシェであるがゆえに)「もはや不要となった個々の配線を」取り除くことでハーネスさえも軽量化した。「軽量なギアシフトブーツ素材」が採用され、そしてこれ(画像への言及)がある。
気の利いた「Flachbau RS」のステッチ、カーボンファイバー製のバケットシート、そしてニュルブルクリンクの刻印に気づくだろう。この最後の部分は単なる見掛け倒しではない。ポルシェは検証用プロトタイプ(3台製造されたうちの1台)でニュルブルクリンクを50周も走破しているのだ。そしてニュルブルクリンクにおいて、熱狂的なポルシェのテストドライバーであるラース ケルンは、この車が「超高速域でも極めて安定しており、正確だった」と語っている。任務完了(ミッションコンプリート)、というわけだ。
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新車にリースで乗る 【KINTO】
=海外の反応=
「ポルシェから、この規模のゾンダーヴンシュ(※特別注文)プロジェクトがもっと計画 実行されることを願うよ。
1. 収益と利益を回復させるため。
2. アド ペルソナム(※ランボルギーニ)、Q(※アストンマーティン)、MSO(※マクラーレン)、フェラーリのパーソナライゼーションなどよりも優位に立つため。
3. ポルシェのモディファイ業者やレストモッド業者に対し、誰が本当の生みの親であるかを見せつけるため。
エンジニアリングの検証用プロトタイプに関する逸話には本当に感銘を受けた」
↑「見た目は素晴らしいが、935 GT2 RS(2018年発表のサーキット専用車)と比べると、どこか大人しく感じるな」



