98年の時を経て行幸通りにEVがズラリと並んだ。JAIAカーボンニュートラル促進イベント in 東京が2021年の東京、2022年の大阪、2023年の神戸に続く4回目として、丸の内エリアで開催されたのである。
98年の時を経て行幸通りにEVがズラリと並んだ。JAIAカーボンニュートラル促進イベント in 東京が2021年の東京、2022年の大阪、2023年の神戸に続く4回目として、丸の内エリアで開催されたのである。
行幸通りは、関東大震災後の帝都復興事業の一環として、1926年(大正15年)に、4列のイチョウ並木を持つ皇居から東京駅へ通じる通りとして整備された。「行幸」という名称は、天皇が皇居を出て外出することを意味しており、皇室の公式行事や外国大使の信任状捧呈式などに使用される由緒ある道路として設計された。大正期から昭和戦前期にかけて、行幸通り一帯には近代的なビルが建設され、「一丁紐育(いっちょうニューヨーク)」とも呼ばれるようになり、パリのシャンゼリゼ大通りと比較されることもある。いずれも、国家の中心的な場所に位置し、象徴的な意味を持つ通りとして設計されたこの行幸通りに、設計からおよそ100年を経て、電気自動車や水素燃料電池自動車が並ぶことを、誰が予想し得ただろうか。
11月15日(金)・16日(土)の2日間にわたり、カーボンニュートラルの実現をテーマとして東京の中心部である丸の内エリアにおいて、行幸通りをはじめ、丸の内仲通りに面した丸ビル屋外スペース、KITTEテラス(屋外)、東京ビルTOKIAガレリアといった複数会場を利用して、JAIA会員企業の輸入電動車の豊富なラインナップを一般の方々に楽しんでもらうことを通じて、日本の電動車市場の活性化に貢献していくという。あわせて、充電インフラ、バッテリー・リサイクル等の事業者にも参加を促し、電動化を推進していく上での課題を意識したイベントになっている。こういった取組を内外に向けてしっかり発信することによって、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していくことが期待される。
メイン会場である行幸通りには、JAIA会員企業8社から計17台の車両を展示。世界5大モーターショーの1つでJAIAが共催するJAPAN MOBILITY SHOW 2023に参加した車両、本年開催されたフォーミュラEで競ったレーシングカーのプロトタイプ車両、行幸通りをゴールとする東京マラソンの先導車両、マルチパスウェイの一環として最新のFCV(水素燃料を用いた燃料電池車)車両など。具体的には、フォルクスワーゲン ID.Buzz、メルセデス・ベンツ EQS 450+、G 580 with EQ Technology、アウディ Q6 e-tron quattro、Hyundai アイオニック 5、KONA N Line、NEXO、BMW i5 M60 xDrive TouringiX5 Hydrogen、MINI カントリーマン SE ALL4、BYD ATTO3、ドルフィン、ポルシェ タイカン ターボ クロスツーリスモ、99X Electric、ジャガー I-TYPE6。丸ビル屋外スペースには、マクラーレン アルトゥーラや、ポルシェ マカン 4、メルセデス-マイバッハ EQS 680 SUV、KITTEテラスには、ボルボ EX30/40、テスラ モデル Y/3なども並び、お昼時のビジネスマンたちの中には、興味深くクルマを見たり、説明を受けたりする人もいた。
行幸通りは1日のみのイベントとなったが、それ以外の会場では2日間にわたった展示となった。丸ビル屋外スペースでは6社8台、KITTEテラス(屋外)では4社10台(うち2台は二輪)、東京ビルTOKIAガレリアでは二輪2台となり、全会場で、合計12社37台の幅広い多様なラインナップの展示になる。
東京ビルTOKIAガレリアには、電動商用車に関わる展示の他、充電インフラやバッテリー・リサイクル事業者、自動車整備人材関連、その他電動化に関わる事業者が出展。15日(金)には、「EV市場の現状と今後の動向」、「充電インフラの環境整備」、「クルマ・社会・パートナーシップ大賞と地方連携」、「自動車整備人材の課題と取組」に関するトークイベントを開催し、YouTubeでもライブ配信を行った。16日(土)には、一般の方々を主な対象として自動車評論家等の運転による電動車同乗試乗会もあった。
フォルクスワーゲン ジャパン製品広報の中村康宏氏は次のようにコメントした。「フォルクスワーゲンでは、発売中のID.4の他にも、今回展示されたID.Buzzなどにより、積極的にEVの魅力、楽しさ、カーライフを発信していきたいと思います」
マクラーレン広報の根岸美穂子氏は「アルトゥーラをはじめとした、プラグインハイブリッドモデルを展開しており、今後もハイブリッド化を強化していく予定です。ただし、750Sのような純粋にドライビングを楽しめるモデルも大事にしていきたいですね」
さて、100年後の行幸通りには、どんな乗り物が展示されることになるのだろうか。残念ながらその回答については、2024年にここを読んでいる人たちは知る由もないのだが、未来を見据えた乗り物づくりについて多方面から考察を加えながら、段階的に歩みを進めるしか方法はない。
レッドブル RB17/C.チャップマンのセスナとロータス エメヤ/ランボルギーニ テメラリオ/マセラティ MCXtrema:トップギア・ジャパン 063