書評コーナーは、ホンダ スーパーカブ。ホンダのベストセラー、スーパーカブはどうして誕生し、発展したかを探る。
近年の人気モデルである2代目のクロスカブ、ハンターカブ・CT 125など、2023年4月までの新型車やマイナーチェンジモデル等のカタログを収録した1冊が刊行された。
本田宗一郎は、スーパーカブの前モデルとなるカブF号の開発コンセプトを「世界で一番軽い、スマートで、取り扱いの簡便な、燃料消費の少ないこと」と社内報で記している。これこそがまさに現在のスーパーカブにまで連綿とつながる重要なキーワードなのだ。
スーパーカブは、仕事やレジャーに使われる小型実用オートバイとして世界各国で1億台以上が生産されている。そのスタイルはほとんど変えずに、エンジンをはじめ様々なところに手を加えながら“進化”。また、その実用性の高さから、これをベースとしたレジャーモデル、クロスカブなども登場し、さらに台数を伸ばしていくことになる。
本書では1952年に登場したカブ号にまでさかのぼり、その開発エピソードなどを交えながらその歴史を紐解いている。後半では歴代スーパーカブのカラーカタログが掲載されているので、そこから当時の様相がうかがえる。
本書は2018年刊行の同書に、新たな情報を追加・改訂を施し、装丁を一新した増補三訂版で、ホンダモーターサイクルジャパンと本田技研工業全面協力のもと、2018年9月から2023年4月までの5年間のスーパーカブに関係する情報だけでなく、スーパーカブ110やクロスカブ110の新型モデルの開発担当者である瀬川健太郎氏のインタビューを掲載。また、近年人気が高いCTシリーズに関しては、“ハンターカブとCT、60年の軌跡”という章を新たに収録。さらにヒット作の新型のハンターカブ・CT125に関してもできるだけ多くのページを割いて解説した、まさにスーパーカブ集大成の一冊といえるだろう。(内田俊一)
ホンダ スーパーカブ〈増補三訂版〉 世界を駆けるロングセラーの軌跡
編者:責任編集 小林謙一
発行:三樹書房
定価:3,960円
ISBN978-4-89522-805-3
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