「病院を現場に運ぶ」世界一危険なマン島TT、ライダーの命を守る“奇跡の医療チーム”の舞台裏

単なる応急処置ではない。生け垣のそばで、舗装路の上で、彼らは開胸手術すら行う。平均時速217kmの世界で、人命を救うために何が可能か。マン島TTの医療は、我々の想像を遥かに超えていた。

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マン島TT。世界で最も危険なモータースポーツイベント。モーターサイクル・ロードレース最後の砦であるTTは、安全性を軽視しているのだろうと、そう思い込みたくなるかもしれない。平均速度は今や時速135マイル(217km/h)を超え、一度に80から90台のバイクがサーキットを駆け抜ける、全長37.7マイル(60km)ものコース。ここでの緊急医療は、あるべきレベルに達していないのだろう、と考えてしまうのも無理はない。なぜなら、まあ、それはあまりに無謀な要求に思えるからだ。

しかし、現実はその逆だ。 TTは、医学的に可能なことの最先端を走っている。「ほとんどのサーキット、F1やMotoGPでさえ、彼らは患者を安定させてから搬送するでしょう」と、マン島TTの最高医療責任者であるギャレス デイヴィス医師は言う。「しかし我々は今、病院そのもの、つまり蘇生チーム、緊急手術室を、患者の元へ運び、その場で死に至るプロセスを止めることができるのです」

これは革命的であり、そして物流的には非常に複雑だ。TTの救急医療チームには、80名の救急救命士、医師、看護師、救急隊員、そしてフル装備のBMW X5が7台、少なくとも2機のヘリコプター、そして数台の高速対応メディバイクが含まれる。

デイヴィス医師は救急医療のコンサルタントで、ロイヤル ロンドン病院で30年間勤務し、同時にロンドン航空救急隊の医療ディレクターも務めていた。「ロンドンでは、我々は常に負傷した時点から15分遅れていました。しかしここでは、2、3分で現場に到着します。これは唯一無二の医療分野です。怪我は非常に複雑になる傾向があるため、我々は舗装路の上、野原の中、生け垣のそば、本当にもう、どこででも、大規模な外傷手術を行うために必要なすべての機材を携帯しています」

それは単に迅速に対応するだけの問題ではなく、必要な場所に支援部隊を配置することでもある。「我々には100年以上にわたるクラッシュのヒートマップがあります。ですから、起こりうる危険箇所を把握し、それに応じて対応チームを配置します。しかし、彼らが今持ち込むコーナリングスピードは、ライダーをより先の地点まで飛ばしたり、新たな場所で問題を引き起こしたりしています」

「私がTTで働き始めた1990年当時と比べ、ライダーの安全装備は劇的に向上しました。ボディエアバッグ、PPE(個人防護具)、そしてヘルメットの基準向上などです。しかし、TTの魅力とユニークさは、その本質的な危険性にあり、それを軽減するためにできることには、自ずと限界があります」

医療チームは、レースチームからいくつかの教訓を得ている。彼らは今、メカニックが工具で行うのと同じように、処置を始める前にすべての機材が正しい場所にあることを確認するため、シャドーボード(工具の形をかたどったボード)を使用している。また、広範なチェックリストも用いる。コース周辺に配置された140個の医療バッグ、そのそれぞれに100点以上の機材が入っていることを考えれば、これは不可欠だ。

しかし、デイヴィス医師は、彼の代理であるサリー シモンズ氏とポール ハンコック氏、そしてMRMS(マン島ロードレース医療サービス)チームの他のメンバーと共に、さらに先を行き、事故予防にもっと取り組もうとしている。「今年初めて、すべての競技者がレース出場を許可される前に、完全なメディカルチェックを受けました。加えて、我々は今、ライダーたちと協力し、レースの身体的負担を調べるための自主的な研究プログラムも行っています。様々なパラメータを測定し、レース中に彼らをモニタリングするのです」

「我々はこのデータを見て、レースがどれくらいの長さであるべきかを考えています。なぜなら、6周を過ぎると、人々は大量の水分を失い、握力を失い、集中力を失っていくことが分かってきたからです」

アルファ ロメオ 33 ストラダーレ/ランド ノリス✕R32 東京ナイトドライブ/R35日本取材:トップギア・ジャパン 068
【tooocycling DVR80】
箱バン.com




=海外の反応=
「素晴らしい。関係者全員、よくやった」
「ものすごく印象的な記事だ。支援体制がこれほど複雑で、大規模だとは全く知らなかった」

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