腕に搭載するV12エンジン級ユニット リシャール・ミル RM 41-01、それはサッカーのためのプロトタイプレーシングマシンだ

レーシングカーがラップタイムを刻むように、試合時間を計測しゴールを記録する。リシャール・ミルが5年を費やしたサッカー専用機の驚くべき中身。

我々の世界には、特定の目的のためだけに、ゼロからマシンを創り上げるという狂気的、いや、崇高な行為が存在する。ル・マンで勝つためだけに設計されるプロトタイプレーシングカー。特定のラリーを制覇するために生まれるグループBモンスター。レギュレーションという名のルールブックと物理法則だけを頼りに、「真っ白なキャンバス」から唯一無二の戦闘機械を創造する。そのプロセスこそ、我々エンジニアリング信奉者の心を捉えて離さないものだ。

もし、その情熱と技術のすべてを、腕時計の世界で、それも「サッカー」という競技のためだけに注ぎ込んだ者がいるとしたら…?

リシャール・ミルが発表した「RM 41-01 トゥールビヨン サッカー」は、まさにその狂気の産物だ。これは単なる時計ではない。5年の歳月をかけてゼロから開発された、サッカーの試合を完全に支配するための機械式リストコンピューターであり、我々の言葉で言えば、「サッカーというレギュレーションのためだけに生まれた、究極のプロトタイプレーシングマシン」なのである。

前代未聞のメカニズム

リシャール・ミルが放つ最新作「RM 41-01 トゥールビヨン サッカー」は、同ブランドが過去に発表してきたサッカーウォッチのコンセプトを、異次元のレベルへと昇華させたモデルだ。その目的はただ一つ、「キックオフから試合終了まで、試合の流れと得点を完全に機械式で記録する」こと。この前人未到の挑戦のために、全く新しいキャリバーが開発された。

5年の歳月が生んだ専用パワーユニット「キャリバーRM41-01」

このモデルの心臓部は、オーデマ ピゲ ル・ロックルとの共同開発により5年がかりで生み出された、特許取得済みのトゥールビヨン フライバッククロノグラフ キャリバー「RM41-01」だ。650個もの部品で構成されるこの超複雑ムーブメントは、2つの革新的な機構をその身に宿している。

マッチフェーズインジケーター: 9時位置に配置され、フライバッククロノグラフをリセットするたびに、試合の進行状況(前半→後半→延長戦前半→延長戦後半)を段階的に表示する。これは、レースにおけるスティント管理やセクタータイム計測にも通じる、競技に特化した表示機能だ。

機械式ゴールカウンター: 2時と4時のプッシャーで、ホームとアウェイチームのゴールをそれぞれカウントアップ。最大9ゴールまで記録し、自動でゼロリセットされる。これはもはや、腕に搭載されたピットボードと言っても過言ではない。

新素材「バサルトTPT®」を纏ったF1級シャシー

この複雑なエンジンを保護するケースには、最新の複合素材「バサルトTPT®」が採用されている。火山岩である玄武岩の繊維から作られたこの素材は、カーボンTPT®同様、卓越した機械的性能と耐性を誇る。まるでレーシングカーのカーボンモノコックのように、軽量でありながら内部の精密機械をあらゆる衝撃から守り抜くのだ。事実、ケースとストラップを合わせて約800もの部品で構成されるこの時計は、5,000gの衝撃耐性テストを含む、ブランド独自の過酷な試験をクリアしているという。

この驚異的なタイムピースは、レッドカーマインバサルトTPT®とダークブルークオーツTPT®の2バージョンが、それぞれ世界30本限定で生産される。

この“戦術兵器”は、誰の腕に巻かれるべきか

では、このRM 41-01は、どのような人物にふさわしいのか。

それは、ただフットボールを観るのではなく、「読む」男だ。ピッチ上の22人の動きを俯瞰し、フォーメーションの噛み合わせや戦術の変更点を瞬時に見抜く。モータースポーツの世界で言えば、モニターの前に陣取り、無数のテレメトリーデータから最適な戦略を導き出すレースストラテジストのような人間である。

チャンピオンズリーグの決勝戦、あるいはワールドカップのファイナル。彼はこの時計のクロノグラフをスタートさせ、試合の潮流をその腕の上で完全に掌握する。劇的なゴールが決まれば、歓喜の雄叫びとともにゴールカウンターのプッシャーを押し込む。ハーフタイムにはリセットボタンを押し、マッチフェーズが「2nd HALF」に切り替わるのを確認し、後半の戦術を予測する。

それはもはや、単なる「観戦」ではない。試合という名の壮大なドラマの、記録者であり分析者になるという、まったく新しい知的な体験だ。リシャール・ミル「RM 41-01」は、我々エンジニアリングを愛する者にとって、異なる競技の中に同じ“勝つための哲学”を見出すための、究極のツールなのである。

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