自動車メーカーの引き出しの奥底には、「一体、何を考えていたんだ?」と書かれたフォルダが眠っている。今回は、そこから発掘された最も奇妙な実例たちを、白日の下に晒そう。
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ビュイック シグニア[1998]
これは、プレスされた鋼鉄の山から現れた、最も醜い代物だろうか? 断言は難しいが、おそらくは。ビュイック シグニアは、1998年のデトロイトショーで発表された。職場での飲酒が、今より社会的に許容されていた時代の産物である。この奇妙なコンセプトは、その挑戦的なエクステリアと、古典的に醜いアールデコ調のインテリアを結婚させた。意図的に高くされた車高は、どうやらこのクルマをより実用的な提案にするはずだったらしい。スマートなウォールナット張りのリアフロアは、スライドして荷物の積み込みを少しだけ簡単にしてくれた。他の人々に見られる外に立つ時間を少しでも減らすためなら何でもやるわ、と我々は思う。
プリマス ボイジャー III[1990]
我々は、自動車メーカーがカーデザインの常識に挑戦し、我々が当たり前だと思っていたことを、別のやり方でやろうとするのが大好きだ。時には、少々やりすぎてしまうこともあるが。このプリマスのコンセプトのように。文字通りスーパーミニとMPVを合体させ、8人乗りのファミリーワゴンから、数秒で2ドア3人乗りに変形できる、このメガゾード [※パワーレンジャーの巨大ロボ ]のようなハイブリッドカーを創り出したのだ。両方のセクションにはそれぞれエンジンがあり、アイデアとしては、前の部分を何にでも――キャンピングカー、ピックアップの荷台、あるいはバンに――連結できる、というものだった。誰も尋ねていない質問に対する、手の込んだ答えである。
BMW E1[1991]
この小さなBMWは、時代を遥かに先取りしていた。19kWhの硫酸ナトリウムバッテリーは、印象的な250kmの航続距離を実現し、2時間で急速充電できた。1991年のフランクフルトモーターショーで公開され、電気自動車に未来があるかどうかを試す、はじめて水に足を入れるような試みだった。彼らがその件でどんな結論に至ったかは知らないが、その後は少し静かになってしまったようだ。実話だが、オリジナルのコンセプトカーは、充電中に始まった火災で焼失した [充電していた隣の建物の一部も道連れにした]。そこでBMWは1993年に別のコンセプトを作り、今度は消火器を手元に置いておいた。
クライスラー アトランティック[1995]
ほとんどのコンセプトカーは未来を向いているが、クライスラー アトランティックは30年代のクーペの壮大なレンダリングだった (ブガッティ アトランティークにインスパイアされたと言われ、それが名前の由来だ)。ボンネットは非常に長く、その下には2.0リッター4気筒ユニットを2つくっつけた、直列8気筒エンジンが収まっていた。人々(アメリカ人)はそのルックスに熱狂したが、あの細目のフロントエンドは、2000年にモーガン エアロ 8がもっと上手くやったし、クーペの残りの部分は、2代目日産 マーチをベースにした奇妙なキットカーのように見える。それでも、アトランティックはミシガン州のクライスラー博物館で人気の展示物だったと言われているが、残念ながらその博物館は2016年に閉館した。
シトロエン ベルランゴ ベリーヌ ビュル[1996]
一部の自動車メーカーは、自社のアイコンに完全に取り憑かれている。ジャガーで、すべての新型車が何らかの形で60年代のEタイプと比較されるのが、どんな気分か想像してみてほしい。シトロエンには、よだれが出そうなDSから、元気な2CVまで、選べる選択肢がいくつかある。この切り刻まれたベルランゴのようなコンセプトカーが、何の助けにもならないことは言うまでもない。傾斜したルーフは、シトロエンの*お買い得ベストセラー [2CV ]*を模倣し、感情の琴線に触れるようデザインされた。ベリーヌ ビュルは1996年のパリモーターショーで発表されたが、悲しいことに、市販されることはなかった。
ホンダ 不夜城[1999]
ホンダ 不夜城は、1999年の東京モーターショーで公開された。その名は、おそらく、こんなモノが夜の街を徘徊していると知ったら、誰もがどれほど恐怖に駆られるか、ということを指しているのだろう。実際のところ、このクルマの背後にあるアイデアは、一晩中クラブで踊り明かす若者たちにアピールすることだった(当時は、それが若者のやることだったのだ)。インテリアはナイトクラブの雰囲気を表現。4人分のスペースしかなかったが、ダッシュボードはDJデッキを模しており、入場料は£8(1,600円)で、ドリンクはひどい味だった、みたいな感じ。
トヨタ セリカ クルージング[1999]
トヨタは、その魅力的なセリカクーペを、1920年代スタイルのホットロッド ピックアップトラックのようなものに改造した。この大胆な行動は、2004年のMTVの独創的な番組『ピンプ マイ ライド』(※ボロボロの車を改造する番組)を誕生させたに違いない。このけばけばしい黄色の創造物は、「クルージング」のために設計されたリアデッキを持ち、ラウンジエリアと、リアウイングに固定されたヘッドレストがあった。そうすれば、君が連れているであろう複数のパートナーを、走りながら自慢できる。このコンセプトカーには、ジェットスキー用の、お揃いのトレーラーも付属していた。なぜかって?なぜだめなんだ? 奇妙なことに、このクルマは市販されなかった。
メルセデス 190E シュタットヴァーゲン[1981]
これこそが、最終的にAクラスにインスピレーションを与えたクルマだ、知らなかっただろう。シュタットヴァーゲンはドイツ語で文字通り「シティカー」を意味し、メルセデスは、人々が街中を運転するための、素敵な小さなクルマを作ることを検討するため、190Eのプロトタイプテストカーの一台を切り刻んだ(どうせ捨てられる運命だったのだろう)。190Eの下に、エントリーレベルのモデルを収める、小さなスペースがあったのだ。あるいは、彼らはそう考えた。正直、我々は歩いた方がマシだと思う。このクルマはどこにも行き着かなかったが、エバーハルト シュルツという、自身のチューニング会社を持つ男にインスピレーションを与え、彼はVWゴルフサイズの、実はかなりクールな、190Eのハッチバックバージョンを自作した。
フォルクスワーゲン フューチュラ[1989]
5人乗りのフォルクスワーゲンと言えば、長年ゴルフを意味してきた。しかし、1989年のフランクフルトモーターショーで公開されたフューチュラ コンセプトは、別の道があり得ることを示唆した。もちろん、未来が未来になるまでには30年余りを要したが、ID.3電気自動車には、フューチュラの匂いがプンプンするではないか。このコンセプトは、西暦2000年のクルマのビジョンであるはずだったが―おっと―我々がファミリーカーでガルウイングドアや四輪操舵を楽しむには、まだ道半ばだが、これは暗闇の中での、なかなかの試みだった。
ポルシェ C88[1994]
C88は、1994年に、格安自動車メーカーのポルシェによって、中国市場向けに作られたプロトタイプだ。え、何だって? その通り、これはポルシェだ、ジム。だが、我々が知っているようなものではない。それは、同社によって4ヶ月ででっち上げられ、中国政府が、この地域で製造したいと思うかもしれないクルマを提案するよう企業に要請した後、1994年の北京モーターショーで展示された。「まだ手付かずの10億人市場に、最初に惹かれたのは何ですか?」云々。C88は現在、シュトゥットガルトのポルシェ博物館に鎮座している。おそらく、トイレのドアの隣、それがふさわしい場所に。
ルノー ズーム コンセプト[1992]
パリに行ったことはあるか?パーキングセンサーは必要ない。前後のクルマのバンパーを使って、明らかにボロボロの古いハッチバックには狭すぎるスペースに、無理やりねじ込むだけだ。1992年のルノー ズーム エレクトリック コンセプトは、そのすべてを助けてくれただろう。それはパリモーターショーで発表され、信じられないほど縮むホイールベースを特徴としていた。伸びた状態では、楽しい都会のスーパーミニとなり、150kmの航続距離で、君を何度もル シュペルマルシェ(スーパーマーケット)へ連れて行き、そして家まで連れ帰ってくれただろう。後輪を格納すれば、ズームを歩道に顔から駐車できた。幸いなことに、ルノーは他のパリのドライバーたちのことを考えており、他の誰かが君のかわいそうな駐車中のクルマにぶつかった時のために、自己修復塗装が施されていた。
プジョー e-ドール[2000]
フランスは、その小さなエンジンと小柄なサイズのおかげで、16歳から運転できる奇妙なクワドリシクルで有名だ。すべては全くの理論上の話だが。なぜなら、その規定に合うように作られるクルマは、あまりに絶望的にダサいので、もし自尊心のあるティーンエイジャーが、その一台に乗っているところを目撃されたら、その者は生涯、まともな社会の果てまで追放されるだろうから。ノートルダムのあのカジモドに起こったことは、基本的にはそれだ。彼はエクサム(※フランスの小型車メーカー)で店にひょっこり現れたところを見られたのだ。それでも、プジョーは、この子供向けの電動モビリティスクーターで、そのすべてを解決するつもりだった。3人乗りのレイアウトと、街中を操るためのオートバイのハンドルバーは、フランスの不良少年たちにとって、マタタビのようだっただろう。そして念を押すために、プジョーはe-ドールの後部に、取り外し可能なショッピングカートを取り付けた(何のために、プジョーさん?)。デモンストレーションのため、それはプラスチックのボールプールのボールで満たされていた。ズュット アロール!(※ちくしょう!の意)
ボルボ T6 ロードスター[2005]
2000年代初頭、休暇中だった。ある朝、父が口ひげと、ほとんどの髪を剃り落として、キャラバンに戻ってきた。議論の余地はあるけれど、なぜもっと早くそうしなかったのかと尋ねることもできただろうが、彼は40歳になったばかりで、堅実な靴を脱ぎ捨てたのだ。ここに、子供やワードローブを運ぶ者なら誰でも選ぶ、頼りになる選択肢、ボルボがいる。そしてそのブランドは、シャルドネを3杯飲んで、少しばかりクレイジーになっている。2005年、このスウェーデンの会社は、この3.0リッター ターボチャージャー付き直列6気筒を搭載した美しいクルマを発表し、世界は安堵のため息をついた。最も堅実で、きちんとした会社でさえ、少しは羽目を外すことができるのだ、と。そうそう、その後、父はバイクを買ったんだよ。
アルファ ロメオ 33 ストラダーレ/ランド ノリス✕R32 東京ナイトドライブ/R35日本取材:トップギア・ジャパン 068
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