英国の道路に、ポットホール(路面の穴やくぼみ)を過去のものにするかもしれない、画期的な新素材が導入された。グラフェンとアスファルトを組み合わせた特殊舗装が、ポットホール発生の抑制に期待されている。
英国の道路事情は、決して良好とは言えない。しかし、朗報もある。英国政府がポットホール対策特別基金を設立したことに加え、科学者たちがグラフェンとアスファルトの複合素材を試験導入し、道路の穴ぼこ発生を根本から防ごうとしているのだ。
そもそも、グラフェンとはなんだろうか。グラフェンは、炭素原子がハチの巣状(六角形)に結合してシート状になった物質だ。その厚さは炭素原子1個分(約0.3ナノメートル)という、極めて薄い物質である。この特異な構造から、以下のような驚異的な特性を持っている。
高い強度: 鋼鉄の約200倍の引っ張り強度を持つ。非常に薄いにもかかわらず、非常に丈夫だ。
優れた電気伝導性: 銅よりも電気を通しやすく、電子の移動速度が非常に速い。
高い熱伝導性: 銅の約10倍の熱伝導率を持ち、熱を非常に効率的に伝えてくれる。
柔軟性: 薄くて柔軟性があり、折り曲げたり、伸ばしたりすることができる。
透明性: 光をよく通すため、透明な導電性材料としても利用できる。
軽量性:非常に薄いため、非常に軽量。
グラフェンは、まだ研究開発段階の素材であり、本格的な実用化はこれからという段階だ。しかし、その潜在能力の高さから、世界中で研究開発が進められており、一部では製品化も始まっている。日本では、大学や研究機関、企業で活発に研究開発が行われており、電子デバイス、エネルギー、複合材料、医療など、幅広い分野での応用が期待されている。一部の企業では、グラフェンを使用した製品(例:タッチパネル、バッテリー、塗料など)を開発・販売している。
アメリカでは、国防、航空宇宙、エネルギー分野での応用研究が盛んで、中国では大規模な研究開発投資が行われており、グラフェン製造技術や応用製品の開発が進んでいる。韓国では、電子デバイス(特にディスプレイ)分野での応用研究が活発だ。イギリスでは、グラフェンの発見者であるガイム博士とノボセロフ博士がノーベル物理学賞を受賞した国であり、基礎研究が強い。
研究開発中を含む具体的な応用例としては、高速トランジスタ、フレキシブルディスプレイ、透明導電膜、センサーなどの電子デバイス、高性能バッテリー、スーパーキャパシタ、太陽電池、高強度・軽量複合材料(自動車、航空機、スポーツ用品など)の複合材料、ドラッグデリバリーシステム、バイオセンサー、人工臓器などの医療分野、海水淡水化フィルター、汚染物質除去の環境分野、塗料、潤滑剤、防錆剤が挙げられる。
Universal Matter GBR社とTarmac社の共同開発による「Genable Pavement(ジェナブル・ペイブメント)」は、グラフェンをベースとしたポリマー複合材だ。両社は、この新素材が路面のひび割れを最小限に抑え、ポットホールへの耐性を高めることで、道路の寿命を延ばすことができると確信している。ポリマー複合材: 複数の素材を組み合わせ、それぞれの素材の長所を活かし、短所を補うように設計された材料。
この驚くべき性能は、「フラッシュジュール加熱(FJH)」と呼ばれる画期的なプロセスによって実現する。FJHは物質に瞬間的に大電流を流すことで、ジュール熱を発生させ、急速に加熱し、炭素をグラフェンに変換する技術だ。グラフェンは、超伝導性、超耐久性、超薄型、超柔軟性を備え、鋼鉄の200倍の強度、アルミニウムの5分の1の軽さを誇る、まさに夢のような素材だ。
150トン以上のアスファルトにグラフェン添加剤を混ぜることで、ティーズサイド(Teesside)のフラッツ・レーン・カントリー・パークの入り口は、ポットホール知らずの新しい路面を手に入れた。そして今後、世界はこの道路がどれだけ長くその状態を保てるのか、その目で確かめることになる。果たして、グラフェンは悪名高きポットホールを永遠に駆逐できるのだろうか?期待せずにはいられない。
今後、自動車業界でグラフェンの話題を耳にすることが増えるだろう。Universal Matter社は、グラフェンをコンクリート、塗料、コーティング剤、タイヤなどにも応用されている。さらに、グラフェンは電気自動車のバッテリー寿命を延ばす救世主としても、長年期待されている。科学の進歩を待つ間、当面の優先事項として、ポットホール対策は非常に合理的だと言えるだろう。
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=海外の反応=
「超伝導性は、電気自動車が走行中にワイヤレス充電を継続できる可能性を示唆している。道路全体が感電しないように、充電経路を分離できればの話だけど!」
「ジェームズ メイが考案した、古タイヤを使ったポットホール充填剤はどうなった? 100万ドルのアイデアになる可能性があり、燃やされる古タイヤの量を減らせるかもしれない」