ディーラー探訪でブランドの今が見えてくる:MUTT浜松

浜松と聞けば世界的なオートバイメーカーである「ホンダ」「ヤマハ」「スズキ」の創業の地であることはすべてのバイク乗りなら誰でも知っている事実であろう。そんなバイクの聖地とも言える浜松にもMUTTの正規販売店が存在する。土地柄、これらの国産ブランドのバイクに乗る方が多いかと思いきや、実際にはバイクメーカーに勤務するプロがMUTTを購入するケースも少なくないという。バイク偏差値の高いこの地でMUTTの魅力を伝え続けるMUTT浜松の小林辰槻(こばやしたつき)店長にMUTTが愛される理由を聞いてみた。

MUTT浜松はMUTT静岡と同じく株式会社GT-AXELが運営する正規ディーラーである。一般的な街道沿いの店舗とは異なり、倉庫を利用したスタイルの店舗はユニークで、倉庫に並べられた無数のバイクに囲まれると、まるで異空間に迷い込んだかのような感覚になる。バイク好きが集まる「アジト」という言葉が、一番しっくりくるかもしれない。コンセプトはMUTT静岡と同じく「ガレージスタイル」で、訪れると自分だけの秘密の遊び場に立ち寄ったような感覚になる。

MUTT浜松はJR東海道線の「天竜川」駅から徒歩7分くらいの浜松市中央区飯田町に位置する。車で来られる場合は東名高速の「浜松」ICが最寄りで国道1号線から入ってすぐのアクセスのいい場所にある。店舗には十分な駐車場も完備しているので、車での来店も安心である。

なかに入るとその「アジト」の奥にMUTTのコーナーがある。この位置も大事なものを一番奥に隠し持っている感があって面白い。展示車両は常に15台ほどあることからもまだ購入モデルを絞りきれていないお客様には多くの実車を一度に見ることのできる贅沢な空間と言えるだろう。

MUTT浜松の小林辰槻(たつき)店長はまだ26歳という若さで、建設業界の営業から キャリアチェンジしてきた若者である。コストだけではなく製品の魅力やストーリーをお客様に伝えられるバイク業界に憧れて転職したという異色の経歴をもつ。

浜松のようなバイクの聖地でMUTTを販売してゆくのは大変じゃないですか?と尋ねたところ、確かに土地柄、バイクに詳しい人やメーカーに勤務するプロも多く、お客様から多くのことを学んでいるという。「自分も一生懸命その人たちの会話に追いつきたくて勉強していますが、MUTTに求められているものが違うと感じています」と語る。

そのようなベテランライダーはMUTTのスペックもパフォーマンスも全て知った上で、そのスタイルと世界観に憧れて来店していることに気がついたという。「バイクそのものの話より、ブランドストーリーやファッションといったカルチャーの話を積極的にするようになってから、順調に販売できるようになりました」と小林店長は笑う。スペックやパフォーマンスよりもMUTTの「かっこよさ」「スタイリッシュさ」「おしゃれ感」が経験豊かなベテランライダーさえも魅了していることがわかる。

接客でもうひとつ大事にしていることはお客様の不安材料を取り除くことだという。「輸入バイク」ということで漠然とした不安を持たれているお客様も多いという。特に気にされるのは品質への不安で、その点はGT-AXELが一番大事にしている徹底した納車前整備の話をし、納得していただく。これまで多くのバイクを取り扱ってきたショップの豊かな経験から、将来起こり得るトラブルを未然に防ぐ「安心パッケージ」なども提案することで、納車後のトラブルの連絡はほぼないという。これはお客様にとってもMUTTを買っても後悔させない大きなポイントではないだろうか。

MUTT全体の特徴であるがMUTT浜松のお客様もやはりファッショナブルで、美的感度の高い人が多いという。SNSなどで積極的に情報を収集して来られる方がほとんどで、人気モデルはHILTSがダントツの1位だという。その購買理由はシンプルでありながら無骨なスタイリングと、色のあるモデルであることだという。現在はグレーとグリーンのモデルを販売しているがここではなぜかミリタリーカラーのグリーンが圧倒的な人気だということも他の店舗と違い面白い。黒いモデルが多い中でHILTSのグリーンは存在感のあるモデルに映るのであろう。オフロードパターンのタイヤを履き、ちょっと高めに設定されたハンドルのHILTSは乗る人をカッコよく映しだすだけでなく「特別なものに乗っている」という満足感もお客様には感じていただけているようだ。

MONGRELとAKITAの人気がその次に続くというが、先日、最終的に迷った2モデルをコイントスで決められたお客様がいたと聞いて驚いた。どちらかに決められないのは、どちらも欲しいことの同義語なのだろう。MUTTの魅力はそこにある。AKITAの大きなタンクもカッコいいし、SABBATHの漆黒のスタイルも捨てがたい。MASTIFFの完成されたヴィンテージ感も自分の何かを変えてくれるような予感がする。さまざまな葛藤のなかでお客様は真剣にそしてときには楽しく自分に合うMUTTを選ばれている様子がわかる。

MUTTの最大の魅力はその「世界観」だと小林店長はいう。古い映画から飛び出してきたようなヴィンテージスタイルのバイクが新車で買えることはユニークな体験で、このようなカスタムバイクに乗りたいけれど、知識がないとか、初心者だからという理由で購入を諦めてしまうのはもったいなく、MUTTに乗ることで新しい世界が広がることを知ってほしいと語る。

そして、小林店長は唯一の水冷モデルのDRK-01をおすすめモデルとして紹介してくれた。ヴィンテージスタイルにLEDライトなどの現代的な装備が共存するネオクラシックタイプのモデルだが、ホイールなどのデザインなどはあとからカスタムできない形状で、他の人が真似のできないユニークさが魅力だという。ひとつひとつの部品の品質や機械的な信頼性が高いのもおすすめできる理由で、特にこの古さと新しさが共存したスタイルは人とは違う何かを求めている感度の高い人にぜひ乗ってほしいという。

ご自身の好きなモデルはMONGRELで、理由は「シンプルでスタイリッシュ」だから。シンプルが故にどんなシーンにでも似合い自由にバイクを楽しめるという。「モッズファッションで、あえてギトギトにバイクを汚したままで乗りたいですね」と語る。
MUTTのバイクはこのようにどんなファッションでも乗る人をカッコよく見せる懐の深さを持つ。

「最終的にはかっこ良さだけでバイクを選んで良いんですよ」と小林店長はいう。
「一緒に時計や洋服を選ぶ感覚で、格好いいバイク、似合うバイクを見つけませんか? というスタンスです。バイクショップというより、アパレルショップに近いアプローチでお客様に接しています」
MUTT浜松には従来のバイクショップ、特に旧車を扱うショップにありがちな敷居の高さや、威圧感や押し付けがましさは一切ない。バイクを売らず、バイクのある新しいライフスタイルを提案する小林店長の接客は、バイク初心者には新しく楽しい世界への背中を押し、ベテランライダーにはこれまで味わったことのない新たなバイク観を与えてくれる。

「俺たちはただバイクを売ってるんじゃない。走ることの“自由”と“喜び”、そして“自分を表現する”ライフスタイルを創っているんだ」というMUTTのブランドポリシーを色濃く反映しているのがMUTT浜松だと感じる。

【編集後記】
MUTT浜松もMUTT静岡も同じく株式会社GT-AXELが運営する正規ディーラーである。世界中のちょっと変わったバイクを取り扱うだけでなく、カスタムなども得意とするお店である。在庫を見ていただくと圧倒的に黒を中心としたモノトーンのバイク、またヴィンテージスタイルのバイクが多く、この分野を最も得意とするディーラーであることがわかる。

そしてそれはMUTTの世界観に通じ、すべてを知り尽くしている人から購入できる安心感を生み出している。
また、この両店舗の最大の特徴は「出荷品質へのこだわり」で、徹底した納車前点検と特には部品交換のアドバイスなども行われる。これは多種多様なモデルを取り扱ってきた経験の証である。お客様がバイクに、そしてブランドに、そしてバイクライフに失望しないようプロフェッショナルとしての気配りだと感じる。

そんな、お店の安心した体制の上で、小林店長がMUTTの魅力をお客様に伝える。ありがちなバイクショップの店長とはスタイルが異なり、お客様のライフスタイルに合わせた最適なバイクをアパレルショップのように一緒に見つけ出していくというスタイルである。「私はただお客様の背中を押してあげるだけですよ」と謙遜するが、話していくと、彼が若者視点で感じたであろう、従来のバイクショップに対する「少し入りにくい」といったイメージを払拭することで、同世代の若者や女性、初心者ライダーが気軽に来店できる環境を整えているのだと感じた。特に初めてバイクを購入するお客様はお店選びも不安が大きいのではないだろうか。もしあなたがそう感じているなら、小林店長の笑顔とMUTTへの熱い想い、そして柔らかな語り口は、あなたをMUTTの世界へ導く最良のゲートウェイになるだろう。

MUTT 浜松
435-0028 静岡県浜松市中央区飯田町338
TEL:053-411-2388
営業時間:10:00-19:00
定休日:月曜日

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