「ブランド殺し」とまで言われた衝撃のリブランドを経て、ジャガーがついにその次世代EV「タイプ00」のプロトタイプを公開した。リアウィンドウを排除した物議を醸すデザイン、1000馬力級のパワー、そして2.8トンの巨体。この「問題作」は、果たしてジャガーの起死回生の一打となるのか? 氷上のテストドライブでその真価を探る。
ああ、あの悪名高き「ブランド殺し」のジャガー タイプ 00だ。「Live Vivid(鮮やかに生きろ)」だの、「Delete Ordinary(平凡を削除せよ)」だの、例のやつである
これはその展開における次のフェーズであり、世界で最も物議を醸している車を我々が運転する段階である。実際には、2台を運転することになる。1台目は「PT3」と呼ばれ、150台製造されたプロトタイプの中でも極めて初期のテスト車両の一つだ。シミュレーターは開発プロセスを加速させるかもしれないが、相関関係の確認と検証には、依然として物理的なテストカーが必要なのである。
ここにはボタンなどない。代わりにラップトップを開いた男が乗っている。PT3は2024年8月にフランケンシュタインの怪物のようなスタイルで命を吹き込まれて以来、過酷なテストの現場を走り回ってきた。シマウマ柄のカモフラージュの上からシューティングブレーク風のエクステンション(※1)を装着しており、それがただでさえ長いボディ形状をさらに長く見せている。
いい指摘だ。実際、どれくらい大きいのか?
実物は全長5.2m、全幅2m以上だが、全高は1.4mをわずかに下回る。大部分はアルミニウム製だが、重要な部分には高張力鋼が使われている。ジャガーはまだ詳細を隠しているが、確認できるのは、a)コンセプトカーは嘘をついていない、そして b)大量の偽装の下に埋もれていても、そのプロポーションは極端である、ということだ。ボンネットは永遠に続き、その先端はキャビンとは別の郵便番号(ポストコード)の場所にありそうだ。
黒で仕上げれば、バットマンが間違いなく電話をかけてきて、ダッシュボードと前車軸の比率を再確認するだろう。その他の重要情報:そのスーパーヒーローのようなシルエットにもかかわらず、タイプ 00は50:50の重量配分、特筆すべき低重心を持ち、その構造はレーシングカー並みの剛性――実に50,000Nm/deg――を誇る。つまり、見た目は奇抜かもしれないが、そこには合理的な思考が働いているのである。
他のスペックも思い出させてくれ
床下には120kWh(実効値)のバッテリーが搭載されている。これはNMC(ニッケル マンガン コバルト)のセットアップで、200個の角型セルを使用し、ジャガー独自の構成になっている。すべて自社専用設計だ。端子は上部ではなく側面に配置されており、高さが数ミリ増えるごとに、より多くのエネルギーを詰め込める計算になる。
バッテリー、インバーター、モーター間で電力を分配するHP(ハイパフォーマンス)バスバーは、バッテリーパックの前から後ろまで統合されている。これらはケーブルよりも出力密度と熱特性に優れ、スペース効率も良い。このハードウェアをパッケージングしつつ、車の派手な形状を維持するのは大きな成果だ。今度出るフェラーリのエレットリカ(EV)でさえ、形状は準クロスオーバーなのだから。
で、3モーターなんだろう?
その通り。永久磁石同期モーターだ。フロントのモーターは350英馬力相当、リアの2基は950英馬力を発揮する能力がある。合計トルクは1000lb ft(約1355Nm)強とされているが、この強大な力が常にフルに発揮されるわけではない。長いノーズがあるからといって、巨大なフランク(フロントトランク)があるわけではない。フロント構造は、巨大なダイキャスト製アルミニウムノード(結合部)のおかげで、最大限の衝突保護と衝撃エネルギー分散を実現するよう慎重に(そして高価なコストをかけて)設計されている。
これと、シングルスピードギアボックスの上にパッケージされたフロントの「eマシン」により、エンジニアは通常よりもはるか前方に、さらに32セルのバッテリースタックを追加することができた。リアのドライブユニットは、インバーターを含めて効率的な巡航のために停止させることができ、必要となればリアのEDU(エレクトリック ドライブ ユニット)は2ミリ秒未満で復帰できる。大型の冷却パックは、ボンネットの高さを抑え、充電中の空気の流れを最大化するために、珍しい角度で傾けて配置されている。
賢いな。もっと教えてくれ
この車は850ボルトのアーキテクチャを採用しており、最大350kWで充電できる。ジャガーは航続距離400マイル(644km:EPA基準――ジャガー曰く、こちらの方が正確なテストだという)、WLTP基準では434マイル(698km)を目標としている。また、同社がこれまでに生産した中で最も空力特性に優れた車でもある。充電ポートはフロントの両側にあり、ジャンクションボックスはフロントのストラットブレースに組み込まれている。これはジャガーが特許を取得したソリューションだ。
また、「サーマシスト」と呼ばれる熱管理システムがあり、700以上の異なるパラメータを常に評価してバッテリーの最適温度を決定する。マイナス10℃から熱を回収することができ、効率の向上、室内快適性の強化、航続距離の延長を目的としている。
乗り込んだ感じはどうだ?
実のところ、70年代のロシアの体操選手のようなゴム人間並みの柔軟性がない限り、乗り込むのは少々厄介な車だ。しかし、一度収まってしまえば、そこは素晴らしい場所だ。あるいは、ドラマチックなフルレングスのセンタースパイン(背骨)と高級素材を備えた完成車になれば、そうなるだろう。ジャガーのサプライヤーは極薄の軽量シートを開発し、可能な限り低い位置に取り付けている。車の上に座るのではなく、間違いなく車の中に座っている感覚がある。
実際、パッケージングの点ではFタイプに似ており、これは並大抵のことではない。これにより、現在入手可能な他のどの車とも異なる前方視界が得られる。ロールス ロイス スペクターも同様に尊大な雰囲気を持っているが、あちらはずっと背が高く、ヒップポイントも高い。キャデラック セレスティックは宇宙船のような雰囲気があるが、GTというよりは超豪華クルーザーだ。それに、両車ともジャガーよりもはるかに高価になるだろう。
そして、リアウィンドウがないんだよな?
その通り。PT3に加えて、TG.comは「ゴールデンカー」またはADV(属性開発車両)と呼ばれる車両も体験した。シャシーのハードウェアとソフトウェアに関する最新の考え方がすべて盛り込まれているため、そう呼ばれている。古いテスト車両とは異なり、こちらには後部座席もあり、新しいジャガーの後部が…「親密」であることは疑いようがない。フルレングスのガラスルーフが閉所恐怖症の兆候を和らげてくれるが、リアウィンドウを削除するのは依然としてリスクの高い動きだと我々は考えている。すでに多くのブランド資産(エクイティ)を投げ捨てている車にしては…。

トップギアはタイプ 00のライバルであるポールスター 5も運転したことがあるが、後部コンパートメントには慣れが必要だと断言できる。しかし、ジャガーの後部座席は、下にバッテリーパックがあるにもかかわらず、包み込まれるような快適さがある。リムジンではないが、乗員の膝が耳の横に来るようなことはない。
インテリアの他の部分は?
PT3では、ダッシュボードの最低限の部分しか見えない。メインディスプレイはドライバーの真正面にある細長いスクリーンだが、グラフィックは仮のものなので、見た目や有効性について判断することはできない。空調やその他の重要機能用には、より小さなセカンダリースクリーンがある。
ここに見えるものに基づくと、エクステリアほど境界を押し広げているわけではない。しかし、いくつかの革新はある。従来のスピーカーを室内に散りばめるのではなく、ジャガーはフロントガラスの基部に沿って走るサウンドバーを採用している。そして、バックカメラのディスプレイは、そのすぐ下のダッシュボードの中央にある。ちらっとしか見られなかったが、エンジニアたちは、カメラミラーが近すぎると多くの人々(あえて言えば、特に高齢のドライバー)が焦点距離を合わせるのに苦労することを認識している。
ステアリングコラムにはパドルシフターはなく、ドライブコントローラーとウィンカーレバーがあるだけだ。ステアリングホイール自体は見ていて落ち着くデザインだ。タイプ 00は、「真のラグジュアリーとは、エレガントに実行されたシンプルさである」という考えに傾倒している。
さあ、本題だ。運転した感じは?
一言で言えば、魅惑的だ。2024年末にあの広告キャンペーンが始まったとき、ジャガーはネットを炎上させ、世界中の話題をさらったかもしれないが、開発チームはタイプ 00がジャガーの過去から十分に情報を得ていると主張している。だから、顔を真っ赤にして嘆く伝統主義者たち(※2)がどれだけ喚こうとも、核となる価値観は実際に尊重されているのだ。
そして、それは真実だ。これは21世紀のXJであり、ただとてつもなくパワフルで、ダイナミックな面でより外交的になっただけだ。この新型車は、50メートル走っただけでその良さがわかるテストを難なくパスする。エアサスペンションとアクティブダンパーにより、呼吸をするようにスムーズに走る(最初の印象は、我々が走っている凍った路面のせいで多少曖昧になっているが)。緻密に設計されていると感じられ、操作系の重さは素晴らしく調整されており、1000馬力(約1014 PS)もあるにもかかわらず、バンジージャンプで地平線に放り出されるような加速ではなく、静かな威厳を持って速度を上げていく。
子供っぽいEVドラッグレーサーの一つではない、ということか
これについては全員が同意するわけではないが、ジャガーの連中は狂ったように速いEVのファンではない。0-100km/h加速は約3.3秒だが、もっと速くすることも可能だ。最高速度は155mph(250km/h)に制限されている。ロールス ロイス スペクターのように、このジャガーは「何を出すか」ではなく「何を予備として持っているか」によって定義される。
おそらく、ソフトウェアがここでの大きな話題なのだろう
イエスでもあり、ノーでもある。いつものように、0と1(デジタル制御)が作用する前に、基本が正しくなければならない。シャシー剛性、賢いパッケージング、長いホイールベース、そして重量配分。これらすべてが、攻め込んだ瞬間にドライバーの味方をする。この車が本当に2.8トンもあるなんて信じられるか? バッテリーのサイズを考えればこの質量は避けられないが、ここには非常に印象的な敏捷性と調整能力がある。
どうやってそれを実現したんだ?
ドライブラインのダイナミクスを抜け目なく管理することによってだ。ここで重要なのは「インテリジェント トルク ベクタリング(略してITV――英国の読者はテレビ局と混同するかもしれないが。ジャガーはまだ「ブレーキ バイアス コントロール(BBC)」というシステムは導入していない)」だ。古いテストカーでは、ウェット/アイス、デフォルトのコンフォート設定、そしてダイナミックモード(DSCオフを含む)で「スカンジナビアン フリック(フェイント)」を練習するまで、幅広いシャシーモードを試すことができた。エンジニア(あるいはおそらくマーケティング担当者)はこれを「ドリフトモード」と呼ぶことは避けた。代わりに、これは明快で明確に定義されたハンドリングパラメータを持つ車なのである。
個人的にはステアリングにもう少し手応えが欲しいところだが、過度に反応の良いフロントエンドと高速安定性のトレードオフはうまく管理されている。従来のデファレンシャルとは異なり、ITVは車の左右に正と負のトルクを与えてヨー(回転運動)をバランスさせることができる。いやはや、実によく機能する。
他に注目すべき点は?
ビークルエンジニアリングディレクターのマット ベッカーは、電動パワーステアリングはまだ調整中だと述べ、意図的に中心付近を軽くしていると認めている(注:ラックはピニオンの動きを減らし「フィール」を向上させるため、3箇所で強固にマウントされている)。また、彼が「うわっ、ヤベェ(Oh s***)」ロックと呼ぶ機能もある。これは、状況が許せばどのような角度まで到達可能かを示唆するものだ。広大な凍った湖の上の巨大なハンドリングアリーナでは、状況がそれを大いに許してくれるわけだが。
楽しんでもらえて何よりだが…
すべては実証的な事実収集の名の下に行われたことだと保証しよう。本当にドリフトのためではないのだ。システムはヨーレートを目標とし、ステアリング入力と速度に基づいてドライバーがコーナーの半径を維持できるようにする。それは後輪の真に独立した制御を提供することであり、アクティブリアアクスル(最大6度)と組み合わせることで、結果として崇高なレベルの後輪駆動寄りのバランスが生まれる。ほとんどの場合、前後配分は30:70である。
ADV、つまり「ゴールデンカー」では、コンフォートモードのみだ。これは面白みには欠けるが、間違いなくより啓発的だ。この特定のハンドリングパッドの路面はあまりに滑りやすく、直立することさえほぼ不可能だ。しかし、システムのおかげで、カウンターステアを当てることなく、時速55マイル(約88km/h)程度で旋回し続けることができる。この巨大な電動ジャガーは、ただ溝(グルーヴ)に収まり、感知できないほど微細にコーナリングラインを修正し、実際には存在しないグリップと動きを見つけ出す。アクティブアンチロールバーもない。なぜなら、車のロール剛性はそのままで十分だからだ。これにより、重量、コスト、複雑さを抑えることができる。
感銘を受けたようだな
重要な収穫は、特にヨーレートに伴ってステアリングの操舵力が増していく様子が、完全に自然に感じられることだ。また、トルクベクタリングとリアステアが車の挙動を修正する方法も、作為的ではなく本物に感じられる。何よりも素晴らしいのは、もっと小さく軽い車のようなダイナミックな実力を備えていることだ。ドライブモードを「キュレーション(編集)」して、ダイナミックなシャシーと快適なスロットル設定を組み合わせることもできる。ブレーキも自然な感触で、最初の段階は回生エネルギーに依存し、その後摩擦ブレーキがブレンドされる。ディスクはFNC(フェリティック ニトロ カーバライジング)コーティングされている。
最後に、様々な「スプリットミュー(左右で摩擦係数が異なる)」路面で実験を行い、ITM(トラクションコントロール)のアルゴリズムがいかに不気味なほど優秀かを確認した。最も滑りやすい政治家よりもさらに滑りやすい路面でスロットルを床まで踏み込んでも、即座にグリップが呼び起こされる。ジャガーはピレリと共同で専用タイヤを開発しており、ピレリも喜んで限界に挑戦した。23インチホイールが標準だ。乾燥した路面で試すのが待ちきれない。少しロールするだろうとは思うが、それでいい。これはスーパーカーではなくGTなのだから。
宇宙船のような「ヒュイーン」って音はするのか?
サウンドは現在TBC(確認中)だ。実際、社内でもまだ議論されている最中だ。フェラーリはエレットリカでリアインバーターが自然に発生させる周波数を増幅することに強気だが、ジャガーのチームはそれほど確信を持っていないようだ。TGとしては、車の他の部分がEV形式で再起動された「古き良きジャガーのダイナミックな価値観」に忠実であろうとしている以上、偽物のSFサウンドをキャビンに流すことにほとんど意味はないと考える。おそらくタイプ 00は、ドアミラーに当たる風のささやき以外、何の音もさせる必要はないのだろう。
つまり、これは「当たり」か
実物はもうすぐ見られるだろう。ジャガーは、EV専用へのリブランドが正しいことだったと世界の流行仕掛け人たちに思い出させるために、やるべきことが山積しているのは明らかだ。ジャガーのマネージングディレクター、ロードン グローバーは、「パック(アイスホッケーのパック)が現在ある場所ではなく、これから向かう場所へ滑っていくこと(※3)」について語っているが、問題のパックの軌道を予測するのは地獄のように難しいことが判明している。車を開発しているエンジニアたちは、完成したマシンが基準に達していることを確実にするために全力を尽くすことしかできない。今回の証拠に基づけば、彼らがそれを成し遂げたと、我々は強く確信している。
【補足・注釈】
※1 シューティングブレーク: クーペとステーションワゴンを融合させたような、流麗なスタイルのワゴン。狩猟用(シューティング)の馬車(ブレーク)が語源。
※2 顔を真っ赤にして嘆く伝統主義者たち: 原文の"Gammony"は、燻製ハム(ガモン)のように顔を真っ赤にして怒る、典型的には保守的な中高年白人男性を指す英国のスラング。
※3 これから向かう場所へ滑っていくこと: 伝説的アイスホッケー選手ウェイン・グレツキーの名言。「名選手はパックがある場所へ滑るが、偉大な選手はパックが向かう場所へ滑る」からの引用。市場の先を読むことの比喩。
ジャガーが気になった方へ
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=海外の反応=
「少なくとも、こいつを見て『カッコいい車だ』と勘違いする奴はいないだろうな」




