100%EVのポルシェ タイカン、2020年日本へ導入




環境負荷低減とパフォーマンスが両立したタイカン

ポルシェ初の100%電気自動車の生産が来年から開始される。これまで「ミッションE」と呼ばれていたコンセプトスタディモデルの正式名称が、タイカン(Taycan)に決定した。東洋的なこの名称は、1952年以来、ポルシェ クレストの中心にある跳ね馬のイメージに基づき、「生気あふれる若馬」を意味する。この名称は、「ポルシェ スポーツカー70周年」のセレモニーの一環として発表された。

ポルシェの初EV、タイカン「ポルシェの新しい電動スポーツカーはパワフルで高い信頼性を備えます。長距離を確実に走行することが可能で、まさに自由を象徴するクルマです」と、ポルシェAG取締役会会長のオリバー ブルーメは説明している。600PSを超えるシステム最高出力を発生する2基の永久磁石シンクロナス・モーター(PSM)の0-100km/h加速は3.5秒以下で、0-200km/h加速タイムは12秒を下回る。こうしたパフォーマンスに、電気自動車では前例のない連続的な出力レベルも付加されている。つまり、性能を損なうことなく幾度ものジャンプスタートを連続して行うことが可能で、航続距離は500km以上(NEDC : 新欧州サイクル)となっている。

ポルシェの初EV、タイカンポルシェはフォルクスワーゲングループの中でスーパープレミアムというジャンルに属している。ベントレー、ブガッティやランボルギーニと一緒のグループだ。
昨年のポルシェグローバルでの営業利益は41億ユーロ(5300億円)となり、17.6%という高い営業利益率を誇っている。売上高は235億ユーロ(3兆円)で、前年比プラス5%、生産台数は246,375台でプラス4%と、どの項目も好成績を維持している。全体の自動車販売のシェアとしてはポルシェはわずか0.3%しか占めていないが、ポルシェのエクスクルーシブな競争戦略を今後も強めていきたいという。
そして70周年を越えた先には、環境にコンシャスなパフォーマンスカーを目指していくようだ。

7月21日に正式発表される予定の新型カイエンをはさみ、執行役員マーケティング部長の山崎香織氏(左)と代表取締役社長の七五三木敏幸氏(右)

7月21日に正式発表される予定の新型カイエンをはさみ、執行役員マーケティング部長の山崎香織氏(左)と代表取締役社長の七五三木敏幸氏(右)

昨年のポルシェ車が全体で出したCO2排出量は、前年の39%と大幅に低減された。またヨーロッパで、2018年第1クォーターのパナメーラのPHEVシェアは60%である。ポルシェの顧客もまた、パフォーマンスの高さを求めながらも環境への意識が著しく高いのだといえよう。そして2025年までに、全販売車種の中でEVとPHV比率が50%となることを目標としている。そのためにポルシェは、2022年までに、当初計画の2倍に相当する66億ユーロ(8,500億円)をE-モビリティへの投資を計画している。追加された30億ユーロ(3,800億円)のうち、約5億ユーロ(650億円)がタイカンの派生モデルの開発に利用され、既存のモデルレンジの電化とハイブリッド化に約10億ユーロ(1,300億円)、生産拠点の拡張に数億ユーロ、さらに、新しいテクノロジー、充電インフラおよびスマートモビリティに約7億ユーロ(900億円)が投資される予定だ。

日本で行われた「ポルシェ70周年記念」の記者会見では3.55平方メートルと言う世界最大折込広告がギネス記録認定されると言う演出も行われた

日本で行われた「ポルシェ70周年記念」の記者会見では3.55平方メートルと言う世界最大折込広告がギネス記録認定されると言う演出も行われた

今回のタイカンも2020年の早い段階で日本に導入される。ポルシェジャパンでは、911、パナメーラ、マカンなどといった車種の、高いリセールバリューが特徴だ。車種によっては他メーカーのクルマと2倍近く変わってくるものもあるほどだが、概して高いレベルを維持している。また、販売台数も、2009年の3,214台から比べると、昨年は6,923台と215%の伸び率を示している。
そして日本でのPHEVのシェアも2016年に15%弱だったものが、2018年には30%ほどに急激に増加するという見込みがある。やはり日本のポルシェの顧客も、環境に敏感なのだということが言えると思う。そのような中で2020年にタイカンを導入するというのはベストなタイミングなのではないかという風に思える。

新型カイエン新型カイエン
タイカンが生産されるにあたり、ツッフェンハウゼンのポルシェ本社では、新しい塗装工場、タイカン専用の組み立てエリア、塗装済みボディとドライブユニットを最終組み立てエリアに輸送するコンベアブリッジが現在建設中だ。エレクトリックドライブを製造するために既存のエンジン工場が拡張され、ボディ工場も増設される。ヴァイザッハ開発センターへの投資も予定されている。タイカンの生産は、ツッフェンハウゼンだけで約1,200の新たな雇用を創出している。

会場の外には、1986年のパリ・ダカールラリーで活躍した959も置かれていた

会場の外には、1986年のパリ・ダカールラリーで活躍した959も置かれていた

さて、ポルシェのモデル名は、たいていの場合その特徴との具体的なつながりがある。ボクスターは、ボクサーエンジンとロードスターデザインを組み合わせたもので、カイエンは刺激を意味し、ケイマンは鋭敏と俊敏性、そしてパナメーラは標準的なグランツーリスモを超えて、かつてのカレラ・パナメリカーナのような長距離レースで優勝する性能を持つことを表している。マカンは、柔軟性、パワー、魅力、およびダイナミクスの意味を含むインドネシア語の「虎」に由来している。ここで、若馬「タイカン」が投入されることで、全世界のポルシェ市場はさらなる活況を呈すように思われる。このタイカンの登場によって、電気自動車の勢力図も変わってくるのではないだろうか。

なお、トップギア・ジャパン017号では、ミッションE クロスツーリスモの特集を組んでいるので、そちらもどうぞ。












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